政策と活動

南区

さいたま市政検証vol.2 ひとごとじゃない とめよう児童虐待

市内の児童養護施設の施設長から話を聞くとばめぐみ市議(左)

 7 月、東京都大田区で、8 日間もひとりきりで家に置き去りにされた3 歳の女の子が亡くなりました。大変痛ましい事件です。

 

 今回のように母親が若く、ほかに養育者がいない場合、社会的な支援がどうしても必要です。大田区や通っていた保育所、要保護児童対策地域協議会の中で情報共有が適正にされていたのか、検証する必要があります。

 

 児童虐待防止法は2000 年11 月に施行されましたが、その後も児童虐待は増え続け、30 年連続で増加しています。全国212 カ所の児童相談所が対応した児童虐待相談件数は15 万9850 件、さいたま市では2937 件の虐待相談件数がありました(平成30 年度)。国として、すべての子どもの命を守り切るための対策が求められますが、不十分と言わざるをえません。

 

 党市議団はこれまで、虐待で亡くなる子どもをひとりも出さないという立場でさまざまな提案をおこない、とくに市内に2 つ目の児童相談所を増設するよう求めてきました。本市では今年4 月から、より迅速に対応するためとして児童相談所の組織を南部(旧浦和・与野)と北部(旧大宮・岩槻)のふたつの組織体制に変更しましたが、同じ建物の中であり、児童相談所を増やしたわけではありません。

 

妊娠期から切れ目のない支援を

 

 昨年、さいたま市女性の活躍を推進する議員連絡会が「世田谷版ネウボラ(※)」を視察し、とばめぐみと金子あきよの両市議が参加しました。

 

 世田谷区は「虐待防止と子育て支援はセットで行うべきである」との理念のもと、「世田谷区妊娠期から子育て家庭を支える切れ目のない支援検討委員会」を立ち上げ、地域と医療の連携で虐待を防ぐしくみ作りにとりくみました。そのなかで、専門家として日本助産師協会が大きな役割を果たしました。

 

 専門家を中心に据えた地域との連携は、区内5カ所の各総合支所の相談窓口に、保健師などの専門職で構成されたネウボラ・チームを設置し、妊娠期から子育て期の不安や悩みに対する相談支援をおこないます。また産前・産後サービスが利用できる1 万円分の子育て利用券を配布し、区が提供する産後ケアサービスや住民主体の子育て支援活動に利用でき、地域と繋がるきっかけとなっています。

 

 2019 年9 月議会の保健福祉委員会では、とばめぐみ市議が「世田谷版ネウボラから学び、さいたま市でも妊娠期からの切れ目のない支援のしくみを作るべき」と求めました。

 

児童養護施設は最後のとりで

 

 一時保護された子どもたちは、原則2 カ月以内に家庭復帰、または児童養護施設や里親等に措置されます。さいたま市内には3カ所の児童養護施設があります。

 

 7 月15 日、とばめぐみ市議は市内の児童養護施設を訪問し、現状と課題を調査しました。施設長からは、多くの課題を抱えた乳幼児から思春期まで、幅広い年齢の子どものケアをおこなう児童養護施設において、その処遇の低さから職員の確保が難しく、定員通りに子どもを受け入れるのが厳しい現状や、この間の新型コロナウイルス感染拡大にともなう一斉休校から、約3 カ月にわたり子どもたちが施設内で過ごすなかで、デジタル授業への対応の苦労等が切々と語られました。

 

 児童養護施設は、保護された子どもにとって最後のとりでです。ここで働く職員にも市の「保育士宿舎借り上げ支援事業」を適用させるなど、党市議団として抜本的な処遇改善にとりくみます。

 

※ネウボラとは? フィンランド発祥の、妊娠期から就学前まで、ひとりの母親につきひとりの専門職(助産師や保健師)が継続的に母子とその家族の相談・支援をおこなうしくみ

 

■子どもの虐待相談連絡先

・児童相談所虐待対応ダイヤル/24時間・365日通話料無料/℡ 189

 

・さいたま市北部児童相談所/平日8:30~18:00/℡ 048-711-3917

(西・北・大宮・見沼・岩槻区)

 

・さいたま市南部児童相談所/平日8:30~18:00/℡ 048-711-2489

(中央・桜・浦和・南・緑区)

 

・24時間児童虐待通告電話/24時間・365日/℡ 048-711-6824

 

■さいたま市の妊娠・出産・子育ての相談窓口

・妊娠・出産の電話相談/毎週火曜13:00~16:00/℡ 840-2217

 

・妊娠・出産包括支援センター:助産師等の母子保健相談員等専門の職員が妊娠の届出受理や母子手帳の交付をおこなう。妊娠・出産・育児に関する相談に対応/平日8:30~17:15

 西区(区役所1F)℡ 620-2705

 北区(区役所3F)℡ 669-6102

 大宮区(区役所4F)℡ 646-3100

 見沼区(区役所1F)℡ 681-6100

 中央区(区役所別館1F)℡ 840-6112

 桜区(区役所3F)℡ 856-6200

 浦和区(浦和区保健センター内)℡ 824-5000

 南区(サウスピア7F)℡ 844-7202

 緑区(区役所3F)℡ 712-1200

 岩槻区(ワッツ東館4F)℡ 790-0223

 

・保健センター:保健師が育児不安についての相談に対応/平日8:30~17:15

 西区役所保健センター ℡ 620-2700

 北区役所保健センター ℡ 669-6100

 大宮区役所保健センター ℡ 646-3100

 見沼区役所保健センター ℡ 681-6100

 中央区役所保健センター ℡ 840-6111

 桜区役所保健センター ℡ 856-6200

 浦和区役所保健センター ℡ 824-3971

 緑区役所保健センター ℡ 712-1200

 岩槻区役所保健センター ℡ 790-0222

 

・家庭児童相談室:児童に関する様々な相談を受付。匿名相談、電話相談も可/相談場所は各区役所支援課内/平日9:00~17:00(正午から13:00除く)

 西区支援課 ℡ 620-2663

 北区支援課 ℡ 669-6063

 大宮区支援課 ℡ 646-3063

 見沼区支援課 ℡ 681-6063

 中央区支援課 ℡ 840-6063

 桜区支援課 ℡ 856-6173

 浦和区支援課 ℡ 829-6144

 南区支援課 ℡ 844-7173

 緑区支援課 ℡ 712-1173

 岩槻区支援課 ℡ 790-0164

 

・子育て不安電話相談/平日10:00~16:00/℡ 881-0922

 

・なんでも子ども相談(あいぱれっと内):子どもに関するあらゆる相談。おおむね15歳までの子どもとその保護者、関係者向け/月・火・木・金曜10:30~18:30、土・日・祝9:00~16:30/℡ 762-7757/メール nandemo-kodomo@city.saitama.lg.jp

 

そのほかにも様々な分野の相談窓口があります。

https://www.city.saitama.jp/002/001/016/001/p033924.html

困難抱える女性を支援するしくみづくりを急いで

講演する戒能民江(かいのうたみえ)名誉教授

 さいたま市議会の全会派の女性議員が参加する「さいたま市女性の活躍を推進する議員連絡会」は、7月22 日、お茶の水女子大学の戒能民江(かいのうたみえ)名誉教授を講師に「女性の人権に関する問題と支援のあり方」をテーマとした研修会をおこないました。

 

 戒能氏は、婦人保護政策の変遷と課題を歴史的に解明しながら、性搾取、虐待、DV 被害などの事例をあげ女性たちの現状を詳しく報告。売春防止法に基づく事業として運用されている「婦人保護事業」を「困難な問題を抱えた女性支援法」へつくり直し、ニーズに応えた支援をおこなうことが課題であると提起しました。

 

 講演後の質疑と意見交換のなかで、金子あきよ市議は女性の支援にあたる相談員の処遇改善、専門職としての位置付けの重要性について発言。閉会のあいさつに立った久保みき市議はDV 被害者支援について「講師から提起された被害者の実態に寄り添い、人権が守られる支援のあり方は、私たちもめざすところ。さいたま市でもぜひとも実現したい」と話しました。

各種給付金の扱い 生活保護への負い目を助長

生活福祉課から聞き取りをおこなう(右から)とりうみ敏行、金子あきよ、とばめぐみ市議

 ひとり10 万円の特別定額給付金は、生活保護における収入認定はされません。しかし、給付金の申請書も届かないうちに、福祉事務所から「給付金を受領した場合は収入申告書を提出するように。預貯金の保有は認めるが、生活保護の趣旨・目的に反すると認められる物品の購入は資産とみなされる場合がある」との手紙が届き、利用者から不安と混乱の声が党市議団に寄せられました。さらに、市独自のひとり親家庭等への臨時特別給付金(一世帯3 万円)には、使途を例示した「自立更生計画書」の提出を求めています。

 

 6 月24 日、生活福祉課に聞きとりをおこなったところ、「生活保護の制度上、収支に変動があった場合、福祉事務所に届け出が必要。収入申告したうえで、各種給付金は収入として認定しない(生活保護費を減額しない)という対応をしている」と説明。とばめぐみ市議は「自立更生計画書を受け取った女性は、悔しくて泣いていた。なぜ生活保護の利用を屈辱だと感じるようなものを出させるのか」とただしました。担当者は、市独自の給付金で給付対象を限定する場合、収入認定しないためには生活保護世帯に「自立更生計画書」を提出させる必要があると答えました。党市議団は、「厚労省の通知とはいえ、市が生活保護制度への負い目や偏見を広げるような対応はすべきではない」と強く抗議しました。

若者自立支援ルーム開設 若者の自立に向けて多面的にサポート

金子由美子所長から話を聞く(右から)金子あきよ、とばめぐみの両市議

 南区に、市で2カ所目の「若者自立支援ルーム」(さいたま市ユースサポートネットが受託運営)が開設され、とばめぐみ、金子あきよの両市議が視察をしました。

 

 若者自立支援ルームは、不登校や引きこもりなど社会に生きづらさを感じている16 ~39 歳の若者たちに、プログラムやイベント、居場所を提供しながら、自立を支援する施設です。学校や医療機関との連携を図り、家庭の問題、メンタル面での問題や障害などにも対応できるよう教職経験者や臨床心理士などの専門職も配置し、個別相談にも応じています。

 

木製のいすや机であたたかく明るい雰囲気の1階受付の前のロビー。

 

 金子市議は「自立支援ルームを訪れる若者の生活実態が、精神的にも経済的にも深刻な実態がよくわかった。コロナ禍で社会的困難が広がり、子どもの貧困も社会問題となる中、若者たちの自立に向けた活動を支えられるよう、行政としても連携を十分図れるようにしていく必要がある」と話しました。

新型コロナ対策で埼玉県副知事と懇談

埼玉県副知事に要望書を手渡す(左から)とりうみ敏行、神田よしゆき、金子あきよ(右)の各市議

 党市議団は5 月29 日、埼玉県知事に対して「新型コロナウイルス感染症に対する要望書」を提出、橋本雅道副知事(写真右)と懇談しました。神田よしゆき、とりうみ敏行、金子あきよの各市議が出席し、医療・検査体制の強化や、中小企業支援などについて県のとりくみを求めました。

 

 

 神田市議は「さいたま市でも小規模事業者への経済支援がようやくはじまったが、まだまだ足りない。県からもぜひ支援策を」と求めました。副知事は、休業した業者への支援金の追加分(10 万円)を実施すること、NPO 法人活動サポート事業に新型コロナによる減収に対する「緊急応援枠」を追加したことを紹介。

 

 さいたま市立病院旧病棟活用の要望について副知事は、「人材確保が課題だ」としましたが、とりうみ市議は「医師会や看護協会のネットワークを活用するなど、前に進めるための知恵を出し合っていくべき」、金子市議は「県の医療体制の脆弱さを改善するためにも、市と連携して市立病院旧病棟の活用を進めてほしい」と述べました。

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