議会報告

2021年06月

6月議会*議案討論 契約書面のデジタル化 障がい者の利益を損なうおそれ

本会議で議案に対する討論をおこなう金子あきよ市議

 6 月16 日、6 月議会の先議議案について本会議で討論・採決がおこなわれ、金子あきよ市議が「さいたま市指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備、および運営の基準等に関する条例等の一部改正」について、反対の討論をおこないました。

 この議案は、乳児院の長の任用要件を厳格化することや、指定障害福祉サービス事業者等や児童福祉施設、家庭的保育事業者などがデジタルで記録を保存することを可能とするとともに、障害福祉サービス施設、事業所が利用者に対して提供する支援サービスの内容を決定する契約時に取り交わされる書面等をデジタル化してもよい、という内容です。

 

 障がい福祉サービスは制度上も多岐にわたり、障がい支援区分によって受けられるサービスや費用負担について違いがあるなど、大変複雑なしくみです。障がい者や家族などが契約の内容を理解するうえで、確実に紙で契約内容が手元に残ることが大切です。障がいの状況、程度などによっては、書面をデジタル化することの承諾をどう取るのかも問題になります。

 金子市議は「デジタル化されたときに、契約や同意に関わるトラブルが生じる懸念があり、国において講じるべき防止策が現時点ではまったく明確になっていない。このまま交付・説明・同意等のデジタル化だけを進めるのは、障がい者の利益を損なうことになりかねない」として反対を表明しました。

6月議会*一般質問 いまこそ市立の知的障がい特別支援学校設立を

本会議で一般質問をおこなう久保みき市議

 6 月15 日、6 月議会本会議にて久保みき市議が一般質問にたちました。

 はじめに、市立の知的障がい特別支援学校の設立を求めました。久保市議は10 年前から、特別支援学校の教室不足問題を議会でとりあげ続けてきました。いま、市内の特別支援学校の教室不足は深刻化し、待ったなしの状況です。久保市議は「人口100 万人以上の政令市で、市立の知的障がい特別支援学校がないのは全国でさいたま市だけ」と述べ、教育長に対して早期の決断を迫りました。教育長は「2021 年3 月に県・市の両教育長で意見交換をおこない、双方の強力な連携のもと具体的な方策を検討することにした」と答弁しました。久保市議は「協議している間に子どもたちは卒業してしまう。具体的な方策は学校の設立しかない」と強く求めました。

特別天然記念物サクラソウを守れ

 次に、久保市議は、2018 年の一般質問に引き続き、田島ヶ原サクラソウ自生地(桜区)のサクラソウが絶滅の危機に瀕している問題をとりあげました。2018 年の質問の際に久保市議が求めた要注意外来生物のトウネズミモチの伐採が実施され、国庫補助がつき、サクラソウのDNA 解析や、生育環境調査なども実施されました。その結果、サクラソウの株数は2020 年47 万株とさらに減少したものの、今年は61 万株と10 年ぶりに上昇しました。しかし、ピーク時の2003 年の235 万株に比べれば、約4 分の1 です[図1]。

 

[図1]サクラソウ推定生育個体数の増減(さいたま市資料をもとに作成)

 サクラソウ自生地はA 区からE 区に区分けがされています。分布を見てみると[図2]A 区では減少が著しく、大変な状況です。一方、B 区では増えてきていることが分かります。B 区では、2019 年にかん水チューブが設置されました。専門家が「かん水チューブの効果でサクラソウが増えた」と評価していることも踏まえ、久保市議はA 区においてもかん水をおこなうよう求め、市も前向きな答弁をしました。

 

 

[図2]サクラソウ分布比較(「さくらそう通信」をもとに作成)

 また、田島ヶ原サクラソウ自生地はサクラソウのほかにトダスゲ、レンリソウなどたくさんの絶滅危惧種が生息しています。大都市のなかでこれだけの絶滅危惧種が見られる場所は世界でもまれです。この自然を全力で守り抜く市の決意と、保全予算を増やすことについても確認しました。

説明会は義務ではない

 続いて久保市議は、障がい者のグループホーム設立時の説明会について質しました。グループホームは障がい者施設と違って、やや大きめな戸建て住宅というのがほとんどです。利用者にとって、朝仕事に出かけて夜帰ってくる、住み慣れた地域で生きていく「家」です。さいたま市は障がい者のグループホームの必要性を認め、増やす方向性を示していますが、設立は100% 民間事業者まかせです。しかも本市の場合、設立にあたっては近隣住民を集めて説明会を開催しなければならず、近隣住民の理解得るための市の支援は得られず、民間事業者の負担が大変重いのが現状です。

 久保市議はそのことを指摘し、「説明会の開催は、義務ではないはずだ。法律でも義務にはできない。ところが本市は説明会の開催を必須にしている。その理由はなにか」と質しました。市は「障がいのある方が、地域のなかで自立して生活していくうえで、地域住民の理解と協力が必要であるから、説明をお願いしている」と答弁。久保市議は「ほかの政令市を調査したが、本市のように説明会を必須にしているところはない。改善すべきではないか」と迫りました。市は「説明会が義務でないこと、また、住民に同意を求めるということではないことは十分に理解している。今後は時期や方法について他市の状況を見ながら検討していく」などと答弁しました。

 その他、桜区の水害対策、動物愛護行政についてもとりあげました。

6月議会*代表質問 市民のいのち最優先の市政へ

本会議で代表質問をおこなう松村としお市議

 6 月15 日、6 月議会本会議にて松村としお市議は、4 期目となった清水勇人市長に対し代表質問をおこないました。

さいたま市議会インターネット議会中継(録画)

https://saitama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1843

ワクチン接種の改善求める

 

 新型コロナウイルスのワクチン接種については市民のみなさんからさまざまな声が寄せられています。すでに党市議団として申し入れなどで求めてきたことですが、不十分なため、あらためて改善を求めました。

松村 コールセンターの回線増、フリーダイヤル化、ネット予約のサーバー強化、予約支援をする公共施設増を提案する。

副市長 コールセンターを166 回線から200 回線へ増やした。フリーダイヤル化は、コールセンターの状況を見つつ検討する。予約システムを改良し、アクセスの改善と安定稼働を図る。窓口に会計年度任用職員を配置して相談体制を整える。

松村 保育士や学童、学校、通所型福祉施設などのエッセンシャルワーカーへの優先接種の検討を求める。

副市長 まずは小中学校の教員、保育士等の優先接種を考えたい。

 

東京オリンピックは中止を

 

松村 オリンピックを強行すれば感染拡大を招きかねない。国は安心・安全の大会を開くというが、市長の認識はどうか。

副市長 開催する以上は安心・安全な大会でなければならない。感染症対策に万全を期したい。

 

松村 人の流れが起きることによるリスクをどう考えるのか。関係機関に大会中止を申し入れるべきだ。

副市長 安心・安全に最大限努力する。大会実施の可否について申し上げることはない。

市民負担軽減を求める

 

 松村市議は「コロナ禍で多くの自治体が水道料金や給食費の負担減に踏み出している。しかし、さいたま市は逆に給食費を値上げした」と指摘し、市民の厳しいくらしを支えるためにも負担軽減を求めました。答弁は教育委員会と水道局から「財源がない」などとするものでした。松村市議は「まさに財政措置が必要。市長の決断を求める」と迫り、市長が答弁に立ちましたが「将来のことを考えると減額は困難」と、いま苦しんでいる市民に心を寄せない冷たい答弁でした。

市庁舎移転よりコロナ対策を

 

松村 マスコミの市長選出口調査では市庁舎移転について反対の声が多かった。コロナ対策を優先してほしいという市民の願いにこたえ、計画は延期・凍結すべき。

市長 新型コロナ対策に全力で取り組む。同時に、将来を見据えたまちづくりも重要。考えをしっかり説明し、理解を得られるよう努めたい。

選択的夫婦別姓「取り入れられるべき」

 大野県知事が4 月に選択的夫婦別姓制度に賛成する発言をしました。松村市議は「日本社会の大きな課題であるジェンダー平等を前に進めるもの」と評価。「私も旧姓で生活している。改姓による苦労や苦痛の解決のために選択的夫婦別姓制度を心から願っている」と表明し、市長の認識を質しました。

 答弁は副市長でしたが「改姓により不便さや不利益を被ることがあると認識しており、選択的夫婦別姓制度は取り入れられるべきものと考える」と賛意を表明しました。

学校のコロナ対策を科学的に

 

 さらに学校生活におけるコロナ対策について松村市議は、保護者から寄せられている声の一例として、子どもの机ごとにアクリル板を設置したある中学校では、うしろの席から黒板が見えづらいこと、アクリル板の消毒もしないなどの疑問が寄せられていること、また屋外でおこなう体育の授業であってもマスクをしたままで走っていることをあげ、科学的に見て一貫性のない感染対策が子どもの健康や学びをかえって阻害していることを指摘しました。富山市では小児科医を入れた新型コロナ感染症対策検討会議を立ち上げ、医学的・科学的見地から保護者や教員、子どもに納得できるよう対応していることを紹介し、「富山市にならって科学的な見地から助言をもらうしくみづくりを」と提案しました。

 教育長は「小児科医の監修で対策マニュアルをつくり改訂もしてきた。現場に赴き意見交換しながら生きたシステムにしている」と答弁。松村市議は「日常的に専門家にアドバイスを聞けるしくみをつくって保護者の疑問や声にこたえてほしい」と重ねて求めました。

6月議会*新型コロナ対策補正予算など19議案が明らかに

 6 月9 日に開会した6 月議会には、新型コロナウイルス感染症関連の補正予算や条例議案など19 議案が出されました。

 

 国の緊急支援策決定にともない、低所得の子育て世帯に児童1 人あたり5 万円を支給する事業を実施する専決処分の報告議案が提出されました。保育施設、放課後児童クラブ・学童保育など各施設における新型コロナウイルス感染拡大防止のため、マスク、消毒液の購入などの経費に約3 億1000 万円、また新型コロナワクチン接種事業として、16 歳以上60 歳未満の集団接種実施のための予算約24 億5000 万円が計上されています。

 2021 年の成人式はコロナ禍のためにオンラインでの開催となりました。2022 年は成人式を入れ替え制で開催するために会場使用時間を延長するための予算、および2021年成人式の対象者に対して「再会の機会」を設けるために必要な経費として2600 万円が予算計上されています。引き続き感染症対策が求められるなか、検討が必要です。

 市長選でも争点となった新庁舎移転計画では、本庁舎整備および現庁舎地の利活用に係る基本構想策定に要する経費として996 万円が計上されました。

 条例議案では、桜区で発覚した生活保護費の不正支出をめぐって市のおこなった内部調査の報告が出ていますが、その内容の検証と再発防止の提言をおこなうための第三者委員会を設置する条例制定が諮られます。

 新型コロナウイルス感染の収束が見通せないなか、党市議団は市のコロナ対策と市民生活の支援を求めてきました。6 月議会でも命とくらしを守る施策実現のための議論をおこなっていきます。

6月議会*議案質疑 新型コロナ対策は不十分 市独自の対策に踏み出せ

本会議で議案質疑をおこなうとばめぐみ市議

 6 月10 日、6 月議会本会議において議案に対する質疑がおこなわれ、党市議団からとばめぐみ市議が登壇しました。市長が専決処分をした予算議案を含め、新型コロナウイルス対策を中心に質しました。

 

とば 6 月議会に上程された「新型コロナ感染症への対応」にかかる事業数、事業総額と財源の内訳は。

市 子育て世帯給付金事業など16 事業。事業総額46 億3974 万円。財源の内訳は国が約45 億256 万円、県が約4606 万円、市が約9112 万円。

とば 新型コロナワクチン接種事業について、高齢者のワクチン接種の到達と今後の見通し、高齢者施設での進捗は。

市 6 月8 日現在、400 の高齢者施設のうち109 施設で入所者と従業者あわせて1万4868 回の接種を終了。施設入所者を
含む高齢者の接種は、1回目の接種終了者が6 万6000 人(20.5%)。

とば 国がかかげる7 月末までに65 歳以上の接種を完了させるためには、1 週間に何件接種が必要か。体制や供給の見通しは。

 

市 本市の高齢者約32 万人のうち、接種希望者を7 割と見込んでいる。7 月末までに2 回接種を終了するためには1週間あたり約5 万回で、個別医療機関、区役所等の集団接種などで確保できると想定。ワクチンは7 月中旬までに高齢者約32 万人分の供給が受けられる。

とば 医師や看護師の確保は。

市 医師会にお願いをしている。大規模接種会場は委託業者を通じた派遣、看護師協会への協力依頼も考えている。

コロナ対策の不十分さ明らかに

 次に、成人式がオンライン配信となった今年の新成人に再会の機会を保障する事業について質問。1 万3000 人を対象に「埼玉スタジアム2 ○○ 2」で予定されています。とば市議は「大勢が集まるとりくみは慎重にすべき。開催可否の判断基準を示すべきではないか」と質しましたが、市は「感染状況や国の施策を注視し判断する」との答弁でした。

 

 また、感染症対策として無料低額宿泊所の個室化工事へ補助する事業について、とば市議は「感染者が自宅療養になった場合、これで十分か」と質問。市は「施設長が責任を持って対応する。感染者が出た施設にはゴーグル、手袋等を配布し、消毒費用も補助する」と答弁しました。

 続いて、保育所・学童保育等の児童福祉施設の消毒液やマスクの購入、事業所等の消毒などの経費への補助事業について、とば市議は「現場が求めているのは人手。市として人手を確保する必要性を検討したか」と質問。市は「国の交付金は人件費にも使える」として、各施設で人手を確保し人件費を計上するよう示しました。

 また、市庁舎移転にかかる約1000 万円の予算の内訳は、基本構想の策定や調査業務、ワークショップの運営等であることが明らかになりました。

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