2025年07月04日|質疑・討論|
2025年6月議会*本会議討論 子育て支援は社会保障予算の拡充で
7月4日、6月議会最終本会議で、党市議団を代表して池田めぐみ市議が議案、請願および補正予算について、それぞれ討論しました。提出議案38件のうち、32件に賛成し、6件に反対しました。おもな反対理由は以下のとおりです。
はじめに、令和7年度さいたま市国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号)について、この議案は2026年度から創設される子ども・子育て支援金制度に対応するため国民健康保険システムの改修をおこなうために約1063万円を計上しています。議案自体はシステム改修に関する費用ですが、背景にあるのは、児童手当の拡充、妊娠中、育休中の支援など「子ども・子育て支援金制度」に必要な財源を、社会保障削減と国民負担によって確保するという問題です。池田市議は「市民の望みは高すぎる国民健康保険税の引き下げなど、負担軽減だ。したがって、国に対して支援金制度の撤回を求め、子育て支援の充実は市民の負担増で進めるのではなく社会保障予算の拡充で進めるべきだ」と求めました。
また、公立保育所民間移管にともなう運営事業者選定委員会条例の制定議案について、池田市議は「この条例は、公立保育所を廃止および民間移管によって半減させる『公立保育所の在り方基本方針』に基づいて制定されるが、私たちはそもそも公立保育所を減らすことに反対。質疑でも、民間移管が実現しなかった場合は公募条件を緩和するという答弁があった。子どもの命を預かる現場で質を緩和することは認められない」として反対しました。
物価高騰対策
子どもひとり1万円の給付
続いて、物価高騰をうけて「家計負担軽減策」が追加補正予算として提出されました。このうち、18歳未満の子どもひとりにつき1万円を給付する特別給付金給付事業の予算は約23億円です。池田市議は「この事業自体を否定するものではないが、子どものいない世帯も多く、子育て世帯以外への支援も求められている」と主張しました。
また約16億円の予算がついた市民アプリ活用事業については「物価高騰対策よりも市民アプリのダウンロード数を増やすことが主目的になっていないか」と懸念を表明。「デジタル地域通貨の本来の目的は、地域経済を活性化させることだが、市民が大きくポイント還元を受け取るため、大規模店舗に利用が集中したという声が寄せられている。そもそもマイナンバーカードと紐づけなければ市民アプリは利用できない」と主張しました。現在、アプリのダウンロード数は約19万3000とのことですが、市内のアクティブユーザーは約10万人で、支援の対象人数が全市民を網羅しているとは言えません。池田市議は「私たちは、水道料金の引き下げなど、全市民を対象にした対策こそ必要と考える」として、本議案に反対しました。
所得税法第56条を廃止して
「所得税法第 56 条(以下、56条)を廃止するよう国や政府機関に意見書を上げること」の請願について、池田市議は「56条は、中小業者を支えている家族従業者(多くが女性)が働いた分、すなわち自家労賃は原則として必要経費とすることを認めていない。そのため事業専従者は、自立に必要な所得を得ることができないという経済的差別を受けている。国連女性差別撤廃委員会は、2016年に続いて2024 年にも『事業主のおよそ8割が男性であり、56条が家族従業女性の経済的自立を妨げていること』を懸念し、その改正を日本政府に勧告した」と主張し、「これまでも同趣旨の請願が出されており、全国の税理士会なども56条の廃止を求める意見書をあげている。地方議員が見直しの必要性を国に訴えるのは当然の責務」として、請願の採択を求めました。
最後に、請願「3000人規模の義務教育学校『武蔵浦和学園』建設計画の見直しを求めます」について池田市議は、入札が2度にわたって不調になり、このままでは設計金額が膨れ上がってしまうこと、大きく複雑な校舎ユニット制などの実験的なシステムによる教員や子どもへの負担、学区編成の硬直化などの問題が解決していないことを指摘し、「現状の大規模・過大規模校解決のために、さらに『超巨大規模校』をつくるという考え方には無理がある。本請願に緊急で寄せられた署名も1540筆となった。立ち止まって見直すべき」として、採択を求めました。