大型公共事業の見直し・廃止でも公共の役割を守るべき
この間、義務教育学校「武蔵浦和学園」建設事業や次世代型スポーツ施設アリーナ建設事業、中央区役所周辺公共施設再編事業などが入札不調となり、工事開始の見通しが立たない状況が続いています。建設資材や人件費の高騰によって工事費用が上昇、これまで設定されていた金額ではとても追いつかないのが実態です。
さいたま市教育委員会は義務教育学校「武蔵浦和学園」建設事業の3度目の入札に向けて、次回入札時の主な対応策として約51億円の予算増(220億円→271億円)を12月議会の補正予算案として提案します。また、入札公告期間の延長、工期の延長に加え、発注方式の見直しをおこなう、と子ども文教委員会に報告しました。「見積活用方式」「入札時バリューエンジニアリング方式」などを検討・採用し、入札参加業者とのやり取りのなかで工事金額を引き下げることができると説明していますが、公正な入札がおこなわれるのか、学校建設工事の品質を保ち、子どもたちの安全を保障することができるのか、といった懸念があります。
と畜場は突然の廃止
一方、見沼区宮ヶ谷塔に移転再整備するとしていた食肉中央卸売市場・と畜場について、さいたま市は計画を中止し、現在のと畜場を廃止すると発表しました。総合政策委員会への報告では、概算事業費が30年間の維持管理費を含めて1190億円にのぼること、市内利用者の減少、食肉の市場経由率が8.1%にとどまるなど、費用対効果が低いことを理由に、「本市が市場を整備し、その多額の整備費や将来的な運営経費を負担して、市場を継続するのは困難な状況」と結論づけました。しかし従来「廃止した場合は関連事業者への影響が非常に大きい施設」としてきたのに、突然「民間で対応可能」「市の役割が低下」というのはあまりに無責任な態度です。市はこれまで直営でと畜をおこない、衛生基準・検査体制・アニマルウェルフェアを高水準で確保してきました。これらを堅持し、市民の食の安全を守ることは行政に求められる責務です。
入札不調に見られる事業費の高騰に対して、事業のあり方を見直すことは必要です。しかし、その中で公共の役割を放棄する方向が強められることがあってはなりません。党市議団は引き続き、大規模公共事業の見直しを、市民生活を守る立場から進めることを求め、12月議会でもこれらの問題をとりあげていきます。





