政策と活動

2度目の入札不調 義務教育学校「武蔵浦和学園」

義務教育学校「武蔵浦和学園」(南区)の建設事業が、今年2月に続いて5月の入札も不調となりました。そのため、当初計画されていた2028年4月の開校が見込めない状況です。教育委員会は7月13、14日に保護者・地域住民に対する説明会を開き、今後、事業者に対する聞き取りをおこない、設計金額・工期や発注方法について検討、工事発注に向けた対応策が整いしだい、議会へ予算関係議案を提出すると説明しています。現時点では約220億円とされている総事業費が、大幅に上積みされることが予想されます。

 

この入札不調の事態を受けて、6月議会に、義務教育学校計画を見直し校舎併設型の小学校中学校を建設することを求める請願が地域住民から提出され、党市議団は紹介議員となって採択を求めました。請願は不採択となりましたが、このまま建設が大幅に遅れれば、当該地域の学校の過密状態と教室不足が放置されることになってしまいます。住民団体とともに運動を進めてきた金子あきよ市議は「子どもたちの最善の利益を守るためにも、あくまで計画の見直しを求めていきたい」と話しました。

「学校3部制」を視察 ~奈良県天理市~

 

人口減少・少子高齢化・財政難・施設の老朽化が進むなか、政府は2014年以降、全国の自治体に「公共施設等総合管理計画」の策定を求め、施設の総量縮減と長寿命化・効率化を促すとともに、PFI(民間資金活用)やPPP(官民連携)の活用も推進しています。小学校、中学校及び高校の統廃合が加速し、2002年以降、全国で約8580校が廃校となりました。

 

そうしたなか、党市議団は、奈良県天理市(人口約6万人・小学校9校・中学校4校)が学校の統廃合を避けるために導入した「学校3部制」に注目し、7月29日にとばめぐみ、金子あきよの両市議が視察しました。

 

この制度は、学校を統廃合しないことを掲げ、学校を地域の拠点と位置づけ、第1部「通常授業」、第2部「学童保育・アフタースクール」、第3部「公民館活動・多世代交流」の3部構成としたしくみです。2024年度から市内全小学校で全面導入し、2025年度には山の辺小学校・柳本小学校の老朽化校舎建替えで、3部制に対応した新校舎整備が開始される予定です。

 

学校教育を「第1部」に特化することで教員が授業に集中できる体制を整備し、過重労働の緩和をめざし、2024年度には教員退職・休職者数が激減したという成果も報告されました。

 

建替えは、設計・発注支援・プロポーザル支援などをコンサルティング会社に委託し、「従来の鉄筋コンクリートではなく、規格品、既製品での建設も視野に入れている」との説明でした。「統廃合回避、小学校を減らさない」「教職員の負担軽減」という効果に注目しましたが、残念ながら実態は、義務教育・学童保育・社会教育それぞれの専門性を軽視した「連携」「統合」であり、「公共施設面積の縮減」という大目標が最優先されていることがあきらかになりました。

 

とば市議は「子ども・教員・地域住民のねがいから出発していないことは残念だ。天理市は、コスト削減のための企業の提案について、地域住民に対して説明会を開いて説得してきた。学校を統廃合しないかわりに、公民館は学校に吸収され、平日昼間の活動は縮減されることになってしまった。得をするのはコンサル会社であり、公共政策や施設整備で何より重視すべき住民の最善の利益は二の次になっていた」と厳しく指摘しました。

住民福祉の向上のため 積極的な対応を市に求める

懇談に参加する(左から)池田めぐみ市議、とばめぐみ市議

7月22日、埼玉県社会保障推進協議会(県社保協) の「2025年度自治体要請キャラバン」がおこなわれ、党市議団からとばめぐみと池田めぐみの両市議が出席しました。

 

住民の立場から、医療・介護・子育て・福祉・税・教育などの社会保障制度の改善を要望し、さいたま市の各担当課との話し合い(懇談)を通じて課題を明らかにすることが目的で、地方自治体として国の制度に従うだけでなく、独自施策や地域特性に応じた柔軟な対応と、福祉の向上のための積極的な役割を果たすよう働きかけています。

 

国民健康保険税の税額軽減や運用改善について、市は「制度は国基準に忠実」との姿勢を強調し、柔軟な対応はみられませんでした。介護や障がい者福祉については、参加した市民から「実態把握が不十分」との指摘がありました。実態を把握し、施策が求められます。子どもの医療費助成や高齢者の補聴器助成を求める声に関しても、市は慎重な対応に終始しました。特に生活保護制度については、申請権の周知や相談体制に課題があり、市民が必要な支援を十分に受けられていない実情も明らかにされました。参加者からは「生活保護が権利であることを示すポスターを公共施設に掲示してほしい」との要望がありましたが、市はかたくなにポスター掲示を拒みました。

 

懇談に参加したとば市議は「国保税も水道料金も県内一高いさいたま市。長引く物価高騰で市民の暮らしが厳しいなか、他市がおこなっているお米券の配布や水道料金の引き下げ、学校給食の無償化など、すべての市民を対象にした支援がひとつもないのは問題だ。住民福祉の向上という地方自治体の重要な役割を果たさせるため、今後も具体的な生活支援策を議会で求めていく」と述べました。

核のない平和な世界への思いあらたに ~埼玉県原爆死没者慰霊式~

慰霊式に参加した(左から)金子あきよ市議、とばめぐみ市議、清水勇人市長、池田めぐみ市議

7月20日、埼玉県原爆被害者協議会(しらさぎ会)主催の「埼玉県原爆死没者慰霊式」が浦和コミュニティセンターホールで開催され、党市議団から池田めぐみ、金子あきよ、とばめぐみの各市議が参加しました。この慰霊式には大野元裕県知事、清水勇人市長も参加し、それぞれのメッセージを読みあげました。

 

式典では、県立浦和高校の生徒が「広島への修学旅行の事前学習として被爆体験を聞くとりくみを通じて平和への願いと決意を強くした」と語りました。また、秩父ユネスコ協会の高校生が韓国高校生との文化交流を通じて、韓国人被爆者の実相を知った貴重な経験について発言しました。

 

金子市議は「若いみなさんが『核のない平和な世界をつくるために努力し続ける』と決意を述べていることに大きな希望を感じた。さいたま市でも引き続き平和と核兵器廃絶のとりくみを市民とともに進めていきたい」と話しました。

特集:今かんがえる子どもの放課後 子どもたちが豊かに過ごす放課後とは

視察した市内の放課後児童クラブ

小学生の放課後の過ごし方は多種多様です。なかでも、保護者の就労などにより、下校しても家におとながいない子どもたちのために、安全で豊かな放課後を保障するための学童保育のニーズは高まっています。

 

これらは平成初期まで自治体や地域団体が運営し、名称も「学童保育」や「学童クラブ」などバラバラでしたが、1997年に児童福祉法が改正され、「放課後児童健全育成事業」として制度が整い、「放課後児童クラブ」という名称が、法律上の正式名称とされました。「学童」を「保育」をする場が「放課後」に「児童」が集まる「クラブ(共通の目的や趣味を持つ人々が集まる団体)」に置き換えられてきたわけです。さらに現在、本市がモデル事業を展開している「放課後子ども居場所事業」は子どもに居場所を提供する事業であり、学童を保育する場ではありません。

 

 

放課後子ども居場所事業の問題点は

 

党市議団はこれまでも「放課後子ども居場所事業」の実施そのものの問題点を指摘してきました。学童保育は「ただいま」と帰る場所であり、ここで過ごす時間は、遊びや生活を通して「豊かな体験や学び」「仲間や、信頼できる大人との人間関係づくり」を継続的に積み上げ、子どもの成長を促す時間です。放課後子ども居場所事業のように、日によって来る子どもが違い、来ても来なくてもよく、安全な居場所を提供すればいいというだけでは、豊かな人間関係はつくれません。

 

本市の放課後児童クラブの待機児童が多い問題は、放課後児童クラブと学童保育の充実で乗り越えるべきです。「放課後子ども居場所事業」への置き換えは、子どもの育ちにまったく配慮しない、問題のすり替えでしかありません。「放課後子ども居場所事業」が広がることで、結果的に、公設放課後児童クラブを廃止し、民設の学童保育・学童クラブに存続の不安を与えています。また、学童保育が「放課後子ども居場所事業がつまらない」と言って登録をやめた子どもの受け皿になっているケースもあります。

 

党市議団は、子どもたちに豊かな放課後を保障するために、本市が国の委託金や助成金のすべてを活用して放課後児童クラブと学童保育の充実をはかることを強く求めていきます。

 

 

公設放課後児童クラブを視察

 

 

党市議団に「放課後児童クラブに入室を希望したが入れなかった」「利用している放課後児童クラブの施設が狭すぎる」などの声が複数寄せられています。そこで実態を把握するために、6月4、5、6日の3日間、本太(浦和区)、大門(緑区)、大谷口(南区)の3クラブ室を池田めぐみ、松村としお、とばめぐみ、金子あきよの各市議が分担して視察しました。

 

それぞれのクラブ室では、子どもたちが机に向かって宿題をしたり、好きな本を読んだり、絵をかいたり、ゲームに興じていました。また校庭での自由遊び、室内でのドッジボールなど、弾けるように体を動かす子どもたちの姿があり、ここでの活動が楽しいものであることがうかがわれました。クラブ室では子どもたちは大好きなおやつを食べます。その様子は笑顔いっぱいでとてもうれしそう。当番活動、準備や後片づけなど多くのことを学ぶ機会でもあります。おやつは子どもたちにとって大切な「活動」であることがわかりました。

 

一方で、課題も見受けられました。どのクラブでも、入室の希望が定員を大幅に上回っているため、優先度の高い1年生の人数が圧倒的に多くなります。そのため、上の学年の子どもが下の学年の子どもと活動する機会が少なく、支援員が面倒を見ないといけない場面がほとんどです。これでは活動の内容を支援することに力を注ぐのがむずかしくなります。89人が入室している大門クラブでは、支援員が名簿を手にしながら子どもの点呼に追われている実態がありました。

 

視察した金子市議は、「保護者・市民から強く望まれている放課後児童クラブの拡充が必要。対策を求めたい」と話しました。

 

放課後子ども居場所事業で民設学童の運営が不安定に

 

 

5月25日、プラザウエストで、さいたま市学童保育連絡協議会の定期総会が開かれ、久保みき、とばめぐみ、池田めぐみの各市議が参加しました。冒頭、西栄一郎会長から、市連協が提出した「常勤職員2名以上配置した際の適用条件見直しを求める請願書」が2月議会で国に対する意見書として採択されたことについて感謝のあいさつがありました。

 

一方で、さいたま市の学童保育は、公設62カ所、民設263カ所(2025年4月現在)で、民設に依存してきた経緯がありますが、昨年度から「放課後子ども居場所事業」が始まったことで、民設学童への影響を心配する声が多く寄せられました。総会では、放課後子ども居場所事業がはじまった岸町小学校の民設学童クラブ「太陽の家」の指導員と保護者からそれぞれ発言があり、「専門性のある指導員がいるからこそ、貴重な体験ができる」「5、6年生がリーダーとして活躍し、異年齢のかかわりがあることで、子ども同士の育ちあいの場所になっている」など、居場所事業ではなく、あえて民設を選んでいる理由などが語られました。

 

また、鈴谷小学校区の民設放課後児童クラブ「シリウス」の保護者からは、居場所事業の影響で、児童数と委託金が減少した現状が報告されました。

 

総会では、各区の市議が区ごとに学童の保護者や指導員と話す機会が設けられ、池田市議は「子どもたちが安心して過ごせる第二の居場所として、放課後のあり方について現場の声を聞き、市議会に届けたい」と話しました。

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