議会報告

久保みき

座談会*6月議会をふりかえって(下) 請願審査から みえた他会派の態度

たけこし 今回の議会には市民からたくさんの請願が出されましたね。池田さん、はじめて審査に参加してどうでしたか。

 

池田 請願というのは、市民からの切実な願いですよね。私は総合政策委員会で3つの請願について賛成討論をおこないました。一方で、他会派の議員が「これでなんで不採択なんだろう」っていう理由で反対したことに大変驚きました。例えば核兵器禁止条約締約国会議の請願、さいたま市自身が平和都市宣言もして、平和首長会議にも入っているわけで、反対する理由はないはずなのに、最終的には12人中3人(日本共産党と無所属)しか賛成せずに不採択になるのを目の当たりにしました。

 

とば 池田さんは討論で、市長には責任があるということも、もうこれ以上被爆者をがっかりさせてはいけない、ということも言った。そうだそうだって思ったけれど、これをひっくり返す反対討論の情けなさ、ちょっと許せないですね。

 

池田 「被爆者の思いに耳を傾けて、心に問うてください」「自分の心で考えて、その言葉を発していますか」と言いたかったです。

 

全員 ほんとだね。

 

たけこし 保健福祉委員会では、加齢性難聴の補聴器助成を求める請願と、酷暑から市民の命を守ることを求める請願が出されました。

 

久保 採択の立場は私たちだけ。とても残念ですね。加齢性難聴の請願の反対理由は「さいたま市が国に補助金実施を要望してるから不採択だ」と。酷暑対策については、これだけの猛暑で、さいたま市でも過去に死者が出た事例があるのに不採択。エアコンの購入、修理、それから電気代の補助。これはどうにかしたいなと思いますよね。

 

とば 市民をひとりも死なせないっていう姿勢が市にはないよね。

 

久保 そう。市ができないっていうならば、じゃあ私たち超党派で市民の命を守るためにできることをやろうじゃないかっていう腹を割った議論もできない。

 

松村 行政の不十分さに対して、市民の請願を受けたかたちで、なんとか実現していくっていうのは、議員の役割のはずなんだけど、行政の言い訳に迎合してしまうところも問題だなと思いますね。

 

金子 多くの会派が「願意の一部は達成しているから、この請願は不採択」というわけですね。でも、その願意が達成されていないところが重要だから請願を採択してほしい、と請願者は言っているんですよ。一部達成でいいって言ったら、要求を押し込めることにしかならないのに、どうして採択できないんでしょうね。

 

たけこし やっぱり「立場」で反対なんですよね。中身じゃなくて、誰が提出したかっていうところで反対するっていうこともある。

 

池田 議会がそういう状態なんだということを、市民のみなさんにもっと知らせていかないといけませんね。

 

選挙公約に掲げたけど 議員になったら反対?

 

たけこし 学校給食費無償化の請願ですが、池田さんの一般質問もありましたけど、4月の統一地方選挙のときに公約に掲げたにもかかわらず請願に反対する議員がいました。

 

久保 それはありえないですね。

 

金子 自分たちは国に実施を求めているから、市議会では反対する、という、市民にとって分かりにくい反対理由でした。

 

たけこし どの会派も、市議会で市長に対してもっとはっきり要求してほしいですよね。

 

池田 インボイスの中止を求める意見書が通った自治体もあります。自治体によっては同じ請願や意見書でも他党の態度が変わるんですか。

 

松村 その自治体の首長との関係によって態度が変わるということは確かにあるね。

 

金子 私たちにとって大切なのはいつでも「市民」の立場に立つ、ということですけどね。

 

たけこし 最後に、どういう立場で今後の議会に臨むか、意気込みをお願いします。

 

松村 6月議会に出された請願を通して、今の市議会の状況、姿というのが強く刻まれたことと思います。数の上では私たちは少数ですが、そういうなかであっても、市民のみなさんの声を市政に生かし、届けるという姿勢を貫く以外ありません。市民の命とくらしを守るという立場は揺らいではならないと、あらためて思います。9月議会も引き続きがんばります。

これからも市民に寄り添う政策を ~6月議会報告会を開催~

党市議団はこれまで、議会ごとに団としての議会報告会をおこなってきましたが、この3年間はコロナ禍のもとで自粛してきました。新体制となった今期の市議団で議会報告会を再開するにあたり、今後は、4つの行政区(西区、北区、大宮区、岩槻区)を中心に、報告会を開催していこうと決めました。

 

7月16日、6月議会報告会が岩槻駅東口コミュニティセンターで開催されました。参加者66人のうち、35人が岩槻区からの参加者でした。議会全体の様子を伝えつつ、参加者のみなさんの声も聴く、双方向の報告会となりました。

 

はじめに松村としお市議が全体を振り返りました。議会初日の市長あいさつでは、さいたま市民の日のことや、浦和レッズ、レッズレディースの優勝の話が中心で、物価高騰でダメージを受けている市民のくらしに寄り添う発言がなかったことを紹介。補正予算の特徴については「マイナンバーカードの普及促進事業」や、「限られた農家や事業者対象の支援」「社会福祉施設を対象とした水道料金減免期間8カ月延長」など、市民負担を広く軽減するような事業はほとんどおこなわれなかったことを明らかにしました。党市議団では、水道料金の引き下げや、学校給食費の無償化、子ども医療費無料化の高校卒業まで延長などを求めましたが、清水市長から前向きにとりくむ姿勢が見えなかったこともあわせて報告されました。

 

次に、久保みき市議の代表質問の動画を上映。虐待禁止条例の制定や、農業支援、アニマルウェルフェア、犯罪被害者支援、学校給食時間の共食、旧埼玉県衛生研究所跡地利用についてなど、久保市議が市民のみなさんからの相談をもとに取り上げた質問に、共感の声が寄せられました。

 

続いて、初の一般質問に立った池田めぐみ市議が報告。「24時間使えるAEDの設置拡大」については、消防局や地域医療課、教育委員会、先進事例のある自治体など、事前にヒアリングを重ね、応援の声が行政からもあがったこと、質問の2日後に、読売新聞が「公立学校の正門にAED設置」の記事を掲載したことを紹介しました。  とばめぐみ市議は、請願審査に対する各会派の採択・不採択の態度について紹介しました。討論もせずに不採択とする会派も問題ですが、市民の切実な願いに不採択の立場で討論にたった議員のおよそ納得のできない理由に、会場からも驚きの声があがりました。

 

たけこし連市議は「さいたま市のレジャープールのあり方」と「さいたま新都心に移転する新市庁舎」について、パワーポイントを用いて説明をおこないました。レジャープールについては、まちづくり委員会で、市が管理する5つのうち4つを廃止する案が浮上。5つの施設合計で、年間3億6500万円の赤字を理由にプール廃止案を提案していますが、子どもたちが楽しみにしているプールを削ることが、市民の声を反映することか、と参加者に問いかけました。新市庁舎については、市庁舎と一体としながら民間企業のための建物を別に建てる案があることを説明。また、職員一人あたりの面積も、民間と土地を共有することから国の基準よりも小さい面積であることを説明しました。  会場からの質疑応答では、「補聴器の購入費補助、早く実現してほしい」「レジャープール廃止案には経産省が関わっているのか」「若い人向けの公約とともに、高齢者にはどのような対策をするのか」「マイナンバーカードに不安がある」などさまざまな質問や意見が出され、各市議が回答しました。

 

司会を務めた金子あきよ市議は「数年ぶりの、対面での議会報告会。次々と手をあげて発言する参加者のみなさんの姿に、意見交換の場の大切さを実感した。これからも党市議団は、市民に寄り添う政策を進めていく」と話しました。

 

 

参加者から寄せられた感想

●限られた時間のなかで充実した内容だった。各区でも開いてほしい

 

●各議員の個性や持ち味を知ることができた

 

●議員質問の様子を映像で見ることができてよかった

 

●市議会がとても身近に感じられた。今後も続けてほしい

座談会*6月議会をふりかえって(上) 誰のためのさいたま市か

6月議会が閉会しました。党市議団として6月議会を振り返った座談会、2回に分けて掲載します。司会はたけこし連市議です。

 

たけこし 今日は、市議会改選後の初めての本格的な議会となった6月議会を、全員でふりかえります。まず、議会冒頭の市長あいさつですね。内容はコロナ規制の緩和、さいたま市民の日、そしてサッカーの浦和レッズレディースと浦和レッズがチャンピオンになったこと。残念ながら、市民のくらしの「し」の字もないあいさつでした。

 

松村 浦和レッズが優勝したのはうれしいことですが、この間は、食品も電気料金も値上げの大変な状況でしたよね。市長は物価高騰の話や困っている人たちの話を聞くことがないのかなぁ。

 

久保 会ってる人が違うんじゃないですか。

 

とば なるほど、くらしに困っていない人と会っていて、その人たちの話を聞いているということですね。

 

レジャープール削減は認められない

 

たけこし 常任委員会では、いろいろな報告が行われました。なかでもレジャープールについては大変な反響があるようです。

 

金子 レジャープールは削減縮小という方向が前提となっていることがよく分かる「あり方方針(案)」の報告でした。なにより「維持費がかかるから」と言って市民の負担を大幅に引き上げる内容にも驚き。大和田市民プールは大人440円から1160円に値上げとはっきり示しています。

 

久保 そうそう、2.6倍。そうすると子ども料金は220円だったところが580円になりますね。もう、子どもたちも気軽に市民プールにいけないですよね。

 

たけこし 5施設で年間3.5億円の赤字っていうのが、廃止や値上げの理由として出されました。たしかに財政負担が多いんじゃないかって思う人もいるかもしれません。

 

松村 でも市営プールはもちろん、市の公共施設は基本的に収益施設ではないわけだから。赤字ってことを言い出したら、盆栽美術館だって人形博物館だって成り立たないですよ。

 

とば 文化とか市民の憩いの場というのはお金には代えられない。儲ける必要なんか全然ないですよ。

 

池田 市民プールは思い出の場所だから守ってね、とたくさんの人に言われます。市も「夏の思い出づくりに欠かせない施設」って言っているのに削減なんて、ひどいですよね。

 

公立保育所は半分に減らす

 

久保 「公立保育所のあり方に関する基本方針(素案)」も報告されました。

 

たけこし 今ある60園から33園に減らす計画ですよね。

 

久保 民間委託した場合、経営困難で撤退なんてこともありうると思うんですけど、その際の対策を質しても「これから考えます」という答弁でした。

 

とば 削減ありきで、対策はあとから考えるっていうのが今回の計画ですね。

 

久保 本来自分たちが守るべきものを守ってないということですよ。他部局から保育所を減らせと言われても、さいたま市はこれだけ「不承諾」があるから、そんなことはできませんと言ってほしいのに、担当部局がこの削減計画をみずから考えたっていうんだから、私、本当に驚きました。

 

とば 自分たちの仕事は子どもの幸せを実現するためにある、と思ってないのは残念です。 水道料金減免は広く市民を対象に たけこし 今回の議会では、入所系福祉施設に限定して水道料金を10%減免する期間を8カ月間延長する補正予算議案が出され、私たちは反対しました。

 

とば 水道料金の減免については、県内9割の自治体がなんらかの方法で減免にとりくんできました。私たちは「さいたま市の水道料金は特別高いのだから、市民全体に行き渡る減免をするべき」と求めてきました。ところがさいたま市の減免は入所系福祉施設のみ。こんなに対象を絞り込んで、料金の引き下げをやったかのように見せるっていうところが本当に許せなかったですね。

 

たけこし しかも全額国費。結局、市は水道事業単体では1円も出していません。自分たちの市に住んでいる市民のくらしがどういう状況なのかっていうのを本当に分かってないのかなと思いますね。

 

金子 とば市議は農業支援や中小企業支援の補正予算案についての審議でも、私たちのもとに届いている業者のみなさんの実態を切々と語って、これじゃ足りないっていうことを求めていましたよね。

 

とば でも市は「支援はこれで充分」と。農業用水使ってない農家の人はいないので、みなさんにいきわたりますと。では肥料や飼料の値上がりはどうケアするんだっていうところにはまったく言及しなかったですね。

 

松村 やっぱり財源は基本的に国費の地方創生臨時交付金で、一定のメニューが決まっていて、その中からチョイスするものだから、限定的なんですよね。

 

久保 メニューにあることだってやってないですよ。

 

池田 メニューの選び方も、本当に誰の味方か。誰のためのさいたま市か。率直に言って市民の味方じゃないですよね。議案審査しながら、がっかりしてしまいました。

 

(次号へ続く)

2023年6月議会*保健福祉委員会議案外質問 ケアラーへの支援を求めて

さいたま市は子育て支援医療、心身障害者医療、およびひとり親家庭等医療の対象となっている市民の医療費は無料(窓口払いはなし)です。そして、医療行為としてのあんまマッサージや鍼灸など、柔道整復師の施術も無料で受けられます。訪問治療も可能です。しかしそのことをほとんどの方が知りません。障がい者のなかには通院が難しい方がいるため、訪問治療が受けられると知れば、大変よろこばれます。

久保みき市議は、チラシ等での周知を求めました。障害福祉部長は「受給者証交付の際のお知らせに記載するなど、効果的な周知の方法について検討したい」と前向きな答弁をしました。

 

さらに久保市議は、「ケアラーは日々の介護で腰などを痛めることは日常茶飯事。ケアラーこそ対象にすべき」とケアラーへの支援を求めました。障害福祉部長は「現時点ではケアラーに特化したあんまマッサージ等の現物給付は考えていないが、ケアラー支援の方策として引き続き研究したい」と答えました。

2023年6月議会*代表質問 市民の願い実現求めて7つの質問

質問をおこなう久保市議

6 月12 日、6 月議会本会議で、久保みき市議が代表質問に立ちました。今期初の代表質問ということで、ひとつ目に党市議団が求め続けてきた水道料金の引き下げと子ども医療費を18 歳年度末まで無償にすることを求めました。
長引く物価高騰で市民のくらしは大変な状況です。このような時に地方自治体は市民のくらしを応援する責務があります。しかし市の答弁は後ろ向きでした。

 

2 つ目には「虐待禁止条例の制定」を求めました。2020 年9 月定例会の代表質問で久保市議が求めた時、市長は「必要があれば検討できるとは思う。今は既存の法律、条例のなかで実効性をもっていくことが可能」と答弁していました。久保市議は、「本年2 月に南区、桜区で相次いで猫の死体の一部が発見されるおぞましい事件が起きた。既存の法律、条例では不十分であることが明らかになった。今こそ、市独自の子ども、高齢者、障がい者、動物を対象とした虐待禁止条例を制定すべき」と迫りましたが市長は答弁に立たず、副市長は条例制定を否定
しました。

 

3 つ目の質問は農業支援についてでした。オーガニックビレッジ宣言にむけて、計画と目標をもつことを求め、さいたま市の貴重な伝統野菜、特産物を紹介し、これらを守るためにも地産地消を進めて地域の種を守る条例の制定を求めました。市は伝統野菜、特産物の価値を認め、条例制定には踏み切らないものの種を守ることに力を注ぐ、と約束しました。

4 つ目の質問はアニマルウェルフェアについてでした。緑区で鶏の平飼いをおこなっている農家を紹介し、こうしたアニマルウェルフェアの取り組みを広げるために「認証制度」を設けることを提案しました。また、と畜場でのアニマルウェルフェアを求め、市は気温と湿度の管理、および給水設備や作業員における人道的な家畜の取り扱いを約束しました。

 

5 つ目は、犯罪被害者支援について。殺人・強盗・傷害・性暴力など犯罪被害は、被害者の心身に深刻な影響を与えます。多くの被害者はPTSD に苦しみます。治療においては臨床心理士によるカウンセリングが必須で、本市の犯罪被害者支援条例でもカウンセリングの必要性は示されており、助成金もあります。しかし、3 年以内という期限がついています。PTSD 等の精神疾患は長期にわたり被害者を苦しめ、多くの被害者は働くこともできなくなり、生活保護を受けざるを得なくなります。臨床心理士等の心理療法の多くは保険外診療としておこなわれるため、到底、生活保護受給者には捻出できません。久保市議は、犯罪被害者におけるカウンセリング費用は医療扶助として認めるべきと質しました。市は生活保護法の関係で医療扶助にはならないが、「精神療法」としてのカウンセリングは保険適用となり、医療扶助の対象になるとし、被害者に寄り添った支援を約束しました。

 

6 つ目は学校給食時間の共食を大切にすることを求めました。学校給食は食育に位置づけられ、食事を通して人間関係をよりよくすることや給食の時間が楽しい食事の時間であることが求められます。この3 年、コロナ禍で子どもたちは黙食を強いられて来ました。コロナ対策の名を借りて、子どもの権利を侵害するような実態がありました。そして今でも班にならず前を向いたまま「共食」からほど遠い給食の時間になっている学校があります。子どもたちの97% が「班にして食べたい」と回答した保護者実施のアンケート結果を示し、共食を求めた久保市議に対し、教育長は共食のすばらしさを認め「校長会でさらに強く言っていく」と答弁しました。

 

最後に、旧埼玉県衛生研究所跡地利用についてとりあげました。さいたま市はここにスポーツシューレを整備しようと動いています。2018 年に「住みよい桜区をめざす連絡会」が市に公園と高齢者の集いの場所の設置を求める
要望書を提出し、公園の設置は約束されていました。ところが、スポーツシューレの整備が決まったため、久保市議は、スポーツシューレの敷地の一部に公園の整備を求めました。

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