議会報告

代表・一般質問

2021年12月議会*一般質問 あらたな感染拡大に備えた対策をいそげ

一般質問を行う神田よしゆき市議

 11月30日、12月議会本会議で神田よしゆき市議が一般質問をおこないました。

 

 はじめに、新型コロナ対策について質しました。神田市議は「今年の夏の第5波では、感染爆発と医療崩壊といえる状況がさいたま市でも起こった。次の感染拡大に備えてしっかりと総括することが必要」と述べました。その上で、「医療体制については、9月時点では、ベッドの確保は314床、自宅療養者が1万1017人となった。新規感染者が1万を超える状況では現状のベッド数は少なすぎる。2~3倍のベッドの確保が必要。臨時の医療施設も準備するべき」と求めました。

 

 市は、「埼玉県では第6波に備えた医療体制の拡充として新たな『保健・医療提供体制確保計画』を策定し、最大病床数を2176床(9月末での病床数は、最大で1904床)と計画している。さいたま市としては市立病院が最大51床確保から、増床を検討している」と明らかにしました。

 

 次に神田市議は、検査体制について「さいたま市の積極的疫学調査は範囲が狭く極めて不十分なものになった」として、今後の課題として広範囲でPCR検査が受けられる体制を求めました。しかし、市は「医師会や医療機関の協力を受け、検査体制を拡充、症状のある方、濃厚接触者といった検査が必要な方に身近な場所で検査できる体制を確保している」として、検査の範囲を広げることは拒否しました。

 

 また、今年の夏は各区の保健センターから保健師10名、全庁から事務職を50名動員して保健所に配置しました。神田市議は「流行していない今の時期に抜本的に正規の保健師の確保を進め、保健所体制の強化を図るべき」と求めました。

 

 しかし市は「第5波の課題を踏まえ、感染初期の段階で庁内の保健師、事務職、民間の協力で必要な人員を配置する」として、正規の保健師の増員にはふれませんでした。そのため、神田市議は「第5波の医療崩壊から学ぼうとせず、医療も検査も保健所体制も多少の拡充で乗り切ろうという姿勢は問題だ」と批判しました。

 

 さらに神田市議は、コロナ対策として3回にわたりおこなわれた経済対策(小規模企業者給付金)の継続を求めました。市は、「小規模企業者等への給付金については、引き続き市内の経済動向を注視し、事業者や経済団体のご意見を踏まえ必要な経済対策を実施する」と表明しました。

 

地域医療構想の撤回・見直しを

 

 厚生労働省は、新型コロナ感染症が猛威をふるっていた昨年の段階においても、国が決めた「地域医療構想」による公立、公的病院の病床削減を強行しました。その結果、2020年だけで3700床のベッド削減がおこなわれています。神田市議は、「コロナ対策として病床確保が重要な時、病床削減を求める地域医療構想は一旦停止し、見直すべき。全国知事会や市長会にも働きかけ、国に意見を上げるべき」と求めました。

 

 市は「現時点では撤回や見直しを求めることは考えていない」と述べましたが、地域医療構想については、全国市長会から①地域医療構想等、地方との協議をおこない、その意見を施策に反映する②地域の実情に応じた支援策③コロナ感染症対策の実施によって地域住民の命を守る公立公的医療機関が担う役割の重要性が改めて認識されたことを踏まえ、再編統合を前提とすることなく地域医療を確保する観点から検討することの3点を要望していることを明らかにしました。

 

温室効果ガス 市の削減目標が低すぎる

 

 続いて神田市議は、気候危機についてとりあげ、「さいたま市の地球温暖化対策実行計画によれば、さいたま市の温室効果ガス削減目標は35%であり、国の目標よりも低い」と指摘。目標数値の見直しを求めました。市は国の目標よりも低いことを認めたものの、「地球温暖化対策推進法の改正によるあらたなとりくみで、目標の上積みは可能と考えている。現在策定を進めている『ゼロカーボンシティ戦略』のなかで実効性のある目標となるよう検討する」と答えました。

9月議会*一般質問 義務教育学校の計画は撤回を 子ども・地域にあたえる影響は深刻

本会議で一般質問をおこなう金子あきよ市議

 9 月8 日、9 月議会本会議にて金子あきよ市議が一般質問に立ちました。義務教育学校「武蔵浦和学園」の計画について、3 点にわたって問題点を指摘、市と教育委員会の見解を質しました。

 

 大規模校の解消にならない義務教育学校 

 

 全体で3600 人、80 〜90 学級が想定されている今回の計画は、法律施行令に定められた義務教育学校の適正規模(18〜27学級)に合致しないのではないか、との質問に、教育長は「文科省より地域の実態その他により
弾力的な運用をおこなうものとの回答を得ている。学級数のみをもって適正規模に合致しないということはない」と答弁しました。しかし金子市議は、茨城県つくば市の義務教育学校では児童生徒数が多すぎて、プールの授業も組むことができない、図書室の本を借りる日が、学年やクラスごとに週に1 回と決められている、休み時間のトイレも行列になるなどの深刻な実態を紹介し、この教訓にこそ学ぶべきではないか、と質しました。

 教育長は、学園を700 〜800 人単位の5つのユニットで構成する、というユニット制の導入によって「大きいけれどもアットホームな学校」「大きい学校であってもきめ細やかな教育」を目指す、という構想を示しました。金子市議はこれに対して、義務教育学校「武蔵浦和学園」は、選択して入る学校ではなく地域の学校であり、そこで新しいことを工夫してやらなければならない、という状況は子どもたちに負担と混乱をもたらすことになる、と批判しました。

 

「小6 問題」リーダーの役割を発揮できない

 金子市議は、これまで小中一貫校の子ども調査結果をもとに、「小6 問題」の顕在化を指摘しました。つくば市教育評価懇談会がおこなった調査報告書「つくば市の小中一貫教育の成果と課題」で「子ども同士や教師との対人関係、支援関係、レジリエンス(くじけても負けない力)などにおいて、一体型校の指数は相対的に低く、この傾向は6 年生において顕著に見られた」と、義務教育学校の整備に対する警鐘を発したとして、武蔵浦和学園の計画においてはこうした問題点が無視されているのではないかと見解を求めました。教育長は文科省の小中一貫校を対象にした調査結果を示し、小・中学校の接続に成果が認められている、と答弁しました。金子市議は、「実際に制度を運用してきた学校教員に対する調査では否定的な回答は出にくい。だからこそ、子どもたち自身の声、保護者の声を聞くことが大切なので、調査をしっかり踏まえるべき」と求めました。

 

プール存続求める市民の声を聞くべき 
 
 この義務教育学校の計画は沼影市民プールを廃止することが前提ですが、市民からは存続を求める強い声が上がっています。市のスポーツ界にとっても貴重なプールの廃止は、市にとって甚大な損失となり、市長の目指す「笑顔あふれる日本一のスポーツ先進都市」の実現と矛盾するのではないか、プールを利用している市民は「市長はプールに来て実態を見てほしい」と言っている、その声にどう応えるのか、と市長の見解をただしました。市長は、「(2028 年度の学校開設以降に)隣接地に体育館とプールを整備予定」として、6 年以上におよぶ工事期間中プールが使えなくなることについてはまともな答弁をしませんでした。

 金子市議は、「義務教育学校計画は、この地域の教育環境を改善することにも、子どもたちの健やかな成長と発達に寄与することにもならず、むしろ地域住民の文化と健康を損ね、分断をもたらす結果を招く。義務教育学校の計画は撤回し、適切な分離新設のための土地を確保する努力をすべき」と求めましたが、教育委員会は計画推進のメリットを主張する答弁を繰り返しました。金子市議は、引き続き、住民とともに義務教育学校計画の問題点を明らかにしていく、と表明しました。

 金子市議はこの他、放課後児童クラブ保育料の公民格差解消、南消防署(南区根岸)の早期建て替えを強く求めました。

 

■さいたま市議会インターネット議会中継(録画)

https://saitama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1875

9月議会*代表質問 130万市民の命を守れ 市独自の感染症対策を

本会議で代表質問をおこなうとりうみ敏行市議

 9 月6 日、9 月議会本会議にて、とりうみ敏行市議が代表質問をおこないました。はじめに、とりうみ市議は市長の政治姿勢について質しました。

とりうみ 安倍・菅政権は東京五輪・パラリンピックを強行し、爆発的な感染拡大を起こした。医療崩壊を招き、原則自宅療養の「入院制限」など、感染症にまで自己責任を押し付ける失策である。市長の評価は。

副市長 国はコロナ対策に総力を挙げている。都道府県に緊急事態宣言やまん延防止重点措置を発出し、人流の抑制、医療提供体制の確保、ワクチン接種などさまざまなとりくみを適宜おこなっている。

 

とりうみ これまでの市のコロナ対策は施策も財源ももっぱら国頼みで、市独自の感染症対策が少なすぎるのではないか。

副市長 国等の財政的支援措置を最大限に活用し、そのすき間を埋める市独自の支援等を展開してきた。昨年度の新型コロナウイルス感染症対策費の総額は1632 億円、今年度予算額は9 月補正も含め約436 億円となっている。

 とりうみ市議は「入院制限の撤回を国に求めるべきではないか」と追及。副市長は「入院制限ではないとの認識のため、撤回を求めることは考えていない」と答弁し、安倍・菅政権のコロナ対策に対する直接的な評価についても明言を避けました。また、昨年度のコロナ対策費1632 億円のうち、市の一般財源の占める割合は0.8%、約13 億円に留まっており、市の独自施策の少なさは際立っています。

 

保健所・医療体制の強化 自宅療養者への支援は急務

 

 次に、とりうみ市議は保健所・医療体制の強化と自宅療養者への支援について質しました。

とりうみ 自宅療養を強いられる患者が急増しているが、市の対策は。

副市長 強い危機感を持って対応を強化している。8 月に2 度体制強化を図った。8 月28 日から8 日間全庁から50 名の職員を緊急動員し、対象者への健康観察等を集中して実施した。

とりうみ 1 カ所の保健所体制では自宅療養者への十分な連絡とケアが不可能ではないか。緊急にもう1 カ所保健所を設置して体制強化を図るべき。

副市長 緊急的な課題に対し集約された人材や機能のもと、迅速かつ的確な対応ができるよう1 カ所の設置にしている。各区保健センターとの綿密な連携体制を速やかに構築していく。保健所の設置は「地域保健法」に定められており、緊急・臨時的に設置するものではない。

とりうみ 自宅療養者などの「緊急搬送困難事案」も増加している。臨時医療施設や、戸田市のような入院待機ステーションを本市独自で設置すべきではないか。

副市長 県の設置した施設の状況を踏まえて検討していく。本市としては、酸素を常備し、入院搬送先が決まるまでの間、酸素吸入等の処置ができる「特設救急隊」を運用する。

とりうみ 入院病床の確保とともに、在宅医療を支える体制の抜本的強化が必要だ。

副市長 入院病床の確保に協力した医療機関には、県の支援に加え、本市でも補助制度(1 床あたり1 日8,000 円)を設けてきた。また、在宅医療では自宅療養者に対する外来受診やオンライン診療の調整、パルスオキシメーターの全世帯配布をしてきた。

 

「いつでも、どこでも、何度でも」検査ができる体制を

 とりうみ市議は、PCR 検査の対象を濃厚接触者とクラスター対策に狭めてきた市の姿勢を改め、「いつでも、どこでも、何度でも」検査が可能な体制の構築を求めました。市は、「クラスター拡大を防ぐべく、無症状者を含む幅広い対象者に検査をしている」「症状のある方や、患者の濃厚接触者などが身近で検査を受けられる体制を確保している」と従来の枠を出ない答弁をしました。

 また、今後のワクチン接種の計画や、若年層の接種について、市は「集団接種会場の増設、予約枠の拡大、接種会場の受付時間の延長などで若年層に合わせた接種体制を構築し、11 月末までに希望者全員の完了を目指す」と答弁しました。

 とりうみ市議は最後に、市長が一度も答弁に立たなかったことをあげ、「これが130 万市民の代表である市長がとるべき態度か。会派を代表して厳しく指摘する」と、強く抗議しました。

 

■さいたま市議会インターネット議会中継(録画)

https://saitama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1863

6月議会*地下鉄 7号線延伸見直せ 身近な交通政策の充実求める

地下鉄7号線問題について質疑をおこなう松村としお市議(2021年6月議会・代表質問)

 埼玉県とさいたま市は地下鉄7 号線を浦和美園駅から岩槻駅(東武線)まで延伸する計画を進めています。公共交通機関の充実は生活の便利さにつながりますが、計画が長期間進んでいません。その理由のいちばんは市民負担が巨額なことにあります。

 6 月議会の代表質問で松村としお市議がこの問題を取り上げました。市が試算した建設費870 億円に地質調査や設計費、埋蔵文化財調査費などが含まれていないこと、地下鉄乗客を増やすための「成長・発展プラン」にこれまで約700 億円、今後300 億円見込んでいることが明らかになりました。さらに延伸区間の「中間駅」関連費用はいまだ不明です。

 松村市議は市民負担の認識を質問。副市長は「非常にお金がかかる」「巨額のプロジェクト」と答弁し、市民負担が大きくなることを事実上認めました。さらに開通時期も質しましたが答えられませんでした。

 

 松村市議は地下鉄延伸計画を見直し、コミュニティバスなど身近な公共交通を全市的に充実させることを提案。副市長は「延伸は意義がある」「鉄道とバスは違う」と拒否しました。

 清水市長はこれまでも「将来は人口が減少し市の財政が厳しくなる」と繰り返し強調し、「持続可能な制度にするため」と高齢者や障がい者の支援制度を切り捨ててきました。その一方で「将来をみすえて積極的にとりくむ」と地下鉄7 号線延伸や大宮駅グランドセントラルステーション化構想、市役所移転と跡地開発構想など大型開発を推進しています。

 大型公共事業による巨額の負担を見通しも示さず市民に押し付け、福祉や教育を削減・抑制する市政の基本姿勢から見直すことが必要です。

6月議会*一般質問 いまこそ市立の知的障がい特別支援学校設立を

本会議で一般質問をおこなう久保みき市議

 6 月15 日、6 月議会本会議にて久保みき市議が一般質問にたちました。

 はじめに、市立の知的障がい特別支援学校の設立を求めました。久保市議は10 年前から、特別支援学校の教室不足問題を議会でとりあげ続けてきました。いま、市内の特別支援学校の教室不足は深刻化し、待ったなしの状況です。久保市議は「人口100 万人以上の政令市で、市立の知的障がい特別支援学校がないのは全国でさいたま市だけ」と述べ、教育長に対して早期の決断を迫りました。教育長は「2021 年3 月に県・市の両教育長で意見交換をおこない、双方の強力な連携のもと具体的な方策を検討することにした」と答弁しました。久保市議は「協議している間に子どもたちは卒業してしまう。具体的な方策は学校の設立しかない」と強く求めました。

特別天然記念物サクラソウを守れ

 次に、久保市議は、2018 年の一般質問に引き続き、田島ヶ原サクラソウ自生地(桜区)のサクラソウが絶滅の危機に瀕している問題をとりあげました。2018 年の質問の際に久保市議が求めた要注意外来生物のトウネズミモチの伐採が実施され、国庫補助がつき、サクラソウのDNA 解析や、生育環境調査なども実施されました。その結果、サクラソウの株数は2020 年47 万株とさらに減少したものの、今年は61 万株と10 年ぶりに上昇しました。しかし、ピーク時の2003 年の235 万株に比べれば、約4 分の1 です[図1]。

 

[図1]サクラソウ推定生育個体数の増減(さいたま市資料をもとに作成)

 サクラソウ自生地はA 区からE 区に区分けがされています。分布を見てみると[図2]A 区では減少が著しく、大変な状況です。一方、B 区では増えてきていることが分かります。B 区では、2019 年にかん水チューブが設置されました。専門家が「かん水チューブの効果でサクラソウが増えた」と評価していることも踏まえ、久保市議はA 区においてもかん水をおこなうよう求め、市も前向きな答弁をしました。

 

 

[図2]サクラソウ分布比較(「さくらそう通信」をもとに作成)

 また、田島ヶ原サクラソウ自生地はサクラソウのほかにトダスゲ、レンリソウなどたくさんの絶滅危惧種が生息しています。大都市のなかでこれだけの絶滅危惧種が見られる場所は世界でもまれです。この自然を全力で守り抜く市の決意と、保全予算を増やすことについても確認しました。

説明会は義務ではない

 続いて久保市議は、障がい者のグループホーム設立時の説明会について質しました。グループホームは障がい者施設と違って、やや大きめな戸建て住宅というのがほとんどです。利用者にとって、朝仕事に出かけて夜帰ってくる、住み慣れた地域で生きていく「家」です。さいたま市は障がい者のグループホームの必要性を認め、増やす方向性を示していますが、設立は100% 民間事業者まかせです。しかも本市の場合、設立にあたっては近隣住民を集めて説明会を開催しなければならず、近隣住民の理解得るための市の支援は得られず、民間事業者の負担が大変重いのが現状です。

 久保市議はそのことを指摘し、「説明会の開催は、義務ではないはずだ。法律でも義務にはできない。ところが本市は説明会の開催を必須にしている。その理由はなにか」と質しました。市は「障がいのある方が、地域のなかで自立して生活していくうえで、地域住民の理解と協力が必要であるから、説明をお願いしている」と答弁。久保市議は「ほかの政令市を調査したが、本市のように説明会を必須にしているところはない。改善すべきではないか」と迫りました。市は「説明会が義務でないこと、また、住民に同意を求めるということではないことは十分に理解している。今後は時期や方法について他市の状況を見ながら検討していく」などと答弁しました。

 その他、桜区の水害対策、動物愛護行政についてもとりあげました。

ページトップへ