議会報告

委員会

2025年9月議会*議案外質問(保健福祉委員会)手話通訳者と要約筆記者の処遇改善を

質問するとばめぐみ市議

とばめぐみ市議は、手話通訳者と要約筆記者の処遇改善を求めました。

手話通訳者と要約筆記者は、難聴者・中途失聴者・聴覚障害者等の情報保障の担い手として、重要な役割を果たしています。本市の登録手話通訳者は54人、要約筆記者は筆記者8人、パソコン9人。聴覚障害者等の要請にはほぼ応えられているということですが、通訳者・筆記者ともに平均年齢は50歳を超えており、キャリアは10年以上の方がほとんどで、今後もこの体制が維持できるか大変懸念されます。後継者を育てることが重要であるため、とば市議は養成講座の拡充と、合併以来20年以上据え置きとなっている報酬の引き上げを求めました。また、区役所に「設置通訳者」がいることや「筆談します」等の掲示を入り口から一目でわかるように改めることも求めました。市は改善を約束しました。

そのほかとば市議は孤立死・孤独死の対策として「緊急通報機器」や「慢性疾患」の条件の拡充、また精神疾患患者の急増に伴い、さいたま市立病院の精神科が果たす役割等を質しました。市立病院は「市の基幹病院として診療体制の強化や診療内容の充実を目指しつつも、精神科はまったくの医師不足で日々を回すことで精一杯」であることを率直に答弁。全体として深刻な経営難と医師不足・看護師不足が浮き彫りになりました。とば市議は「保健衛生、医療、福祉はもっと予算が必要。ひとつひとつ実現するまで求めていく」と語りました。

要約筆記者とは…聴覚障害者のために、話された内容をリアルタイムで要約し、文字に変換する専門家

設置通訳者とは…主に聴覚障害者のために、公共の場や窓口で待機し、手話や筆談を通じてコミュニケーションを支援する通訳者

2025年9月議会*議案外質問(子ども文教委員会)多文化共生へ 日本語教育の充実求める

質問する松村としお市議

松村としお市議は外国にルーツを持つ子どもが言葉の壁でつまずくことなく生きる力を身に付けるため日本語教育の強化を求めました。松村市議が市内で日本語指導が必要な子どもの推移を確認したところ、5年間で約2倍に増え、昨年度は524人いることが明らかになりました。会計年度任用職員の日本語指導員が1日2時間教えていますが、松村市議は担任との連携、クラスでなじめるよう配慮することなどを求めました。

公民館のエレベーター設置の推進も求めました。今年度は与野本町公民館で設置が予定されており、今後は南箇公民館(浦和区)、三室公民館(緑区)で設置することが明らかになっています。松村市議の質問に、南箇公民館は2027年度以後に実施設計、三室公民館は2026年度実施設計し2028年度以後工事の見通しが示されました。他の設置可能な公民館についても進めるよう求めました。また熱中症対策の一環として市内公共施設に設置されている「マイボトル給水スポット」が公民館では一部に限られているため、市民からの増設の要望を紹介し、設置場所の拡大を求めました。市は「設置事業者から無償で提供されているが、拡大について事業者と相談していく」との考えを示しました。

また松村市議は市長が6月議会で「子どもの権利条例」の制定を表明したことを受けて、実効性ある条例にするために全庁的な議論をすることと、権利侵害から子どもを守る第三者委員会の設置を求め、いずれも前向きの答弁がありました。

放課後子ども居場所事業で民間学童に影響大

2025年6月議会の子ども文教委員会に「放課後子ども居場所事業」(以下、居場所事業)の現状と、2026年度からさらに12校増やし25校で実施する計画が報告されました。

 

今年度から「居場所事業」が始まった9校のうち8校には学区内に民間学童クラブがあります。これらの学童クラブでは利用児童数が昨年度664人から今年度350人(前年度比52.7%)に激減しました。中にはほとんど減らなかった学童クラブもありましたが、もっとも減ったのが尾間木学童クラブ(緑区)の114人でした。

 

市は「居場所事業」の影響として「入室児童数の減少、それにともなうクラブの統合、クラブ統合にともなう職員の人員整理や賃借物件のクラブ室の原状回復、入室児童数減少にともなう利用料収入および市からの委託料収入の減少等があった」と認めました。それでいて「支援策は12月に議会に示す」というのはあまりに遅い対応であり、報告を受けた松村としお市議は「このまま居場所事業を進めるのは問題」と話しました。

2025年6月議会*追加補正予算 すべての市民を対象にした支援こそ

審査に参加するとばめぐみ市議

市長は議会冒頭、「市民の生活を足元からしっかりと支える」として、「家計負担軽減」を掲げましたが、6月議会終盤に追加提出された43億円超の補正予算案はまったくその言葉に見合うものではありません。18歳以下の子どもを養育する世帯に対して子ども1人につき1万円を給付する施策と、市民アプリを使った15%ポイント還元については、1面の池田めぐみ市議の本会議討論でもふれていますが、その他、学校給食費への支援が表明されたものの米価高騰分にとどまり、多くの自治体が実施している無償化には踏み込みませんでした。

 

また、農業・中小企業支援も「省エネ・省力化投資」に限定され、体力のある一部の事業者しか対象になっていません。市内には約3000戸の農家がありますが、畜産農家への飼料補助のみで、その対象はわずか12戸にとどまっています。

 

予算委員会で審査したとばめぐみ市議は「あまりにも限られた支援。生きるか死ぬかの市民の暮らしや営業の苦しみをわかっているのか。本市は国民健康保険税を9年連続で引き上げ、県内最高。水道料金も県内トップ。『家計負担軽減』を本気で掲げるのであれば、国保税や水道料金の引き下げ、給食費の無償化、光熱費や原材料費、家賃補助など、すべての市民を対象にした支援こそやるべきだ」と述べました。

市が公共施設料金の引き上げねらう

審査に参加する金子あきよ市議

2025年6月議会の総合政策委員会に「公の施設に係る使用料見直しの基本的な考え方(骨子案) 」についての報告がありました。市は、施設の維持管理費が上昇しており、公の施設の経費負担のあり方に検討が必要だとしています。つまり「受益者負担」の原則から使用料徴収の基準を明確にし、より多くの施設で使用料を取る、または引き上げることをねらっているのです。

 

現在「公の施設」として使用料等が徴収されている施設はコミュニティセンター、市民会館、体育館、プール、駐車場・駐輪場、美術館・博物館などがあります。今回の検討対象には、現在は使用料を徴収していない公民館なども含まれるとされています。

 

今後は今年度中に「基本的な考え方」を策定、来年度以降「各施設での使用料見直しに向けた検討および実施をしていく」予定と示されています。施設固有の役割や目的を考慮せず受益者負担を強調し、市民負担増を求める方向性は問題です。市民意見を踏まえた検討をおこなうよう求めていきます。

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