議会報告

2021年9月議会*本会議討論 市は十分な責任 果たしたか

10 月15 日、9 月議会本会議において、たけこし連市議が党市議団を代表して2020年度決算審査の討論をおこないました。

 2020 年度、市の決算は一般会計の歳入・歳出総額はどちらも過去最高の金額になり、実質収支額は77 億9000 万円の黒字となりました。この黒字額は、旧岩槻市が合併して以来、最高額です。

 一方で、市民のくらしぶりに目を向けると、現役世代の平均給与所得は375 万9000 円、平均税負担額は41 万8000 円でした。10年前と比較すると、所得は15 万6000 円増加しているものの税負担額も16 万円増えており、増えた所得を税負担額が上回りました。しかもこの所得額は新型コロナウイルスの影響を受けていない2019 年度の所得をもとにしているため、現在の市民所得はさらに下がっていると市も認めています。また、65 歳以上の高齢者世帯の平均所得は111 万4000 円、平均税負担額は8 万5000 円となっており、10 年前と比較すると、所得は27 万円の減少、税負担額は3 万円の減少と、現役世代以上に苦しいくらしぶりが明らかになりました。

 さらに審査によって、市が市民に提供する医療・福祉サービスが総額24 億2100 万円も削減されたことが明らかになりました。本市が2020 年度に投じた新型コロナウイルス対策費は総額1632 億円でしたが、全体の99.2% にあたる1619 億円が国・県・その他収入によるもので、市が独自で投じた金額はたったの13 億円に留まりました。

 たけこし市議は「130 万人が住む本市が十分な責任を果たしたかは甚だ疑問」として、決算を不認定としました。しかし他会派の賛成で、2020 年度決算は認定されました。

9月議会*決算(出資法人)文化振興事業団 下請労働者の権利を守る 責任明確に

 10月6日、決算委員会(出資法人)において、金子あきよ市議が文化振興事業団の経営状況報告について質疑しました。
 金子市議は昨年9 月議会の一般質問で、さいたま市文化センターの再委託先業者に社会保険の不加入などの不正常な実態があることを指摘し、その是正を求めた経過があります。

 昨年12 月時点でこの実態は改善され、必要な労働者はすべて社会保険に加入したという報告を受けていました。
 しかし、今回の経営状況説明書のなかでは、改善部分が確認できず「委託金のなかに労働者の社会保険事業者負担分が含まれているかどうかは各事業者内の労使関係なので市では分からない」という説明でした。

 

 金子市議は「それが不正を見過ごす結果になったという認識はあるか」と質しましたが、「業務委託仕様書に基づいた業務をしっかりと完了したというなかで支払い等もおこなっている」と、業者の不正を不問に付すかのような答弁でした。

 

 金子市議は4 月から11 月の未払い分は600 万円以上になるとの労組の試算も紹介し、遡って契約の不履行にあたらないかの調査が必要だと指摘しました。

9月議会*決算(出資法人)岩槻都市振興(株) 事業継続は可能か

 10 月6 日、決算委員会(出資法人)において、神田よしゆき市議が岩槻都市振興(株)の経営状況について質問しました。
 岩槻都市振興(株)は、岩槻駅の再開発ビル「ワッツビル」を経営する会社です。2010 年にはメインのテナントの撤退で経営危機に陥りました。そのため再生計画をつくり、さいたま市から5 億円を借り入れ、「ワッツビル」に岩槻区役所を移転するなどの支援をおこないました。

 神田市議は、2020 年のテナントの撤退とその影響、再生計画の目標と2020 年の到達について質しました。市は「テナントの撤退によって200 万円の収入減で2020 年度のテナントの空区画は9 区画、そのうち1 区画が解消できた。再生計画の目標は純利益で2000 万円、実績は4400 万円となり、プラス2400 万円である」と回答しました。

 経営状況は、再生計画を上回っているものの、借入金の返済などを考えると厳しい経営状況にあることが明らかになりました。

9月議会*決算(企業会計・上下水道)コロナ対策としての 水道料金の引き下げを

10 月5 日、決算委員会(企業会計)において、たけこし連市議が上下水道事業について質問しました。

本市の水道事業会計は、財政指標(累積資金剰余金、企業債残高、総収支比率、自己資本比率)が中期経営計画の目標値をいずれも上回り、特に累積資金剰余金(いわゆる内部留保金)の実績が、計画値の8 倍以上の85 億円にものぼることが明らかになりました。

 また、これまで毎年110 億円程度発生する収支不足額についても、その補填財源となっている損益勘定留保金が毎年80 億円程度発生しており(収支不足額はおもに補填財源と累積資金剰余金で補填している)、きわめて健全財政であることが確認できました。

 たけこし市議は、コロナ対策として県内水道事業者がおこなった減免措置の内容(水道料金100% 減免が34 事業者で平均3.6 カ月間、50% 減免が7 事業者で平均6.2 カ月間)を紹介し、「昨年度、埼玉県内の水道事業者56 事業者のうち75% にあたる42 事業者で新型コロナウイルスを踏まえた料金の減免措置をおこなった。これだけの健全財政である本市でも実施できたのではないか」と追及しました。

 しかし市は、「平時より、ひとり親や生活保護世帯等への減免措置を実施しているため、水道料金の減免措置をおこなわなかった」と説明。たけこし市議は「本市で1カ月間の水道料金を無料にした場合にかかる費用は7.5 億円。本市の財政状況であれば十分に減免措置を実施できた。本年度に減免措置をおこなってもなんの矛盾もない」として、コロナ対策としての水道料金の引き下げを求めました。

9月議会*決算(まちづくり)市民会館うらわの移転 総事業費が603億円に膨らむ

 10 月4 日、決算委員会(まちづくり委員会関連)において、とりうみ敏行市議が質問しました。

 浦和駅西口南高砂地区再開発は再開発組合が施工する事業ですが、「市民会館うらわ」の建て替えにあたって市は現在地ではなく駅前再開発ビルの中にいれる計画です。駅前再開発ビルにおいて「市民会館うらわ」の床を取得することから、総事業費が大きく膨らんでいることが明らかになりました。

とりうみ:これまで総事業費は、国、市の補助金175 億円、保留床処分で276 億円、総額451 億円と聞いているが、変更はあるか。
市:今年3 月に事業計画変更があり、補助金246 億円、保留床236 億円、「市民会館うらわ」の取得に121 億円、総額603億円となっている。
とりうみ:これまで保留床処分金に含まれていた「市民会館うらわ」の取得額121 億円が別建てになり、床単価は1 ㎡あたり約167 万円となっているが、商業床を買い取る(株)大和ハウスの床単価はいくらか。
市:(株)大和ハウスが取得する床の広さは6756 ㎡、約45 億円で、床単価は1 ㎡66 万円になっている。

 とりうみ市議は、「『市民会館うらわ』が166 万円で、商業床が66 万円では、あまりにも床単価に差がありすぎて妥当な価格とは言えない」と厳しく指摘しました。

「市民会館うらわ」の建て替えは、現地でおこなえば70 億円ですみます。駅前再開発ビルへ入れるのはまさに税金の無駄使いであり、直ちに見直すべき、と求めました。

とりうみ市議は、ほかに桜木駐車場用地問題、コミバス・乗り合いタクシー問題などを取り上げました。

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