議会報告

座談会 2月議会をふりかえって vol.2

前回に引き続き、2月議会をふりかえって座談会をおこないます。今回は、2月議会でかちとった成果や前進面がテーマで、参加者は久保みき市議、池田めぐみ市議、司会はたけこし連市議です。

 

 

たけこし はじめに、非常に注目されている地域の公共交通について、成果と前進面を教えてください。

 

久保 この間、党市議団はコミュニティバスを便利にすることを求めて学習会を開催し、公共交通政策を作成し、市に提案してきました。このたび、交通政策で求めてきた、インターネットや電話で予約でき、好きなときに乗れるオンデマンドバスの実証実験が西区と桜区で実現し、高齢者の乗合バス料金の補助が検討されることになりました。

 

たけこし 地域住民の足の確保は、どの行政区でも非常に関心が高いです。党市議団として、今後のとりくみの目標は?

 

久保 デマンド交通の実施やコミュニティバスの存続を求めながら「多様な交通体系」で市民の足を確保することをめざします。

 

たけこし 課題は運転手不足ですよね。

 

久保 そうなんですよ。私も公共交通のあり方検討特別委員会で議論していますが、運転手不足は本当に悩ましい問題だと思っています。今後、課題を明らかにして対策を打ちたいですね。

 

たけこし 難しい問題ですよね。久保さんには特別委員会で政策実現のために奮闘してもらいたいと思います。続いて池田さん、いわゆる「ネット安心条例」について教えてください。

 

「ネット安心条例」が制定

 

池田 1年間、党派を超えてとりくんできました。そもそもは、インターネット上で誹謗中傷を受けて、亡くなってしまう方がいるという現状を踏まえて、さいたま市でなにかできないかということでプロジェクトチームが設置され、条例制定をめざしてきました。メンバーは12人、全会派から選ばれて、党市議団からは私が出席しました。条例づくりのため、大学教授の講演をはじめ、「いじめ防止シンポジウム」で小中学生がネット上でどんないじめを受けたのか事例を聞いたり、群馬県の相談窓口にメンバー全員で出向いて相談員の方にお話を聞いて、とりくみや課題をうかがいました。こうした議論を経て、2月議会で議案が提案され、全会派一致で条例が制定されました。

 

たけこし この条例で、今後どのような効果が期待できますか?

 

池田 自分が被害者や加害者にならないためにネットリテラシー向上のための施策を実施することになりました。そして被害者の方のための相談窓口をつくり、弁護士など必要な機関につなげられるようにしていく予定です。

 

たけこし この条例に罰則はありますか?

 

池田 パブリックコメントを取ったときには、罰則規定を設けてほしいといったような内容もあったんですけれども、罰則はありません。どうしたら誹謗中傷が起きないか、起こさせないかを重視した条例になりました。

 

たけこし 誰でもネットにアクセスできる環境だからこそ必要な条例なんですね。続いて、久保さんが長年とりくんでいるDV被害者支援でも大きな進展がありましたね。

 

DV被害者支援が前進

 

久保 これまでは、DV被害者が市の支援を受けるため、相談窓口ごとに、つらかった話をしなければなりませんでした。そのつど同じ話を、です。しかし、共通相談シートの導入を求め、それが実現し、1回の相談で済むようになりました。もうひとつは「支援を受けるためには市の窓口に来てね」と言うだけでは、心身ともに疲れ果てた被害者はなかなか足が向きません。そのため、本人の希望があれば同行者の帯同を認めるべきだということを主張してきたんですけど、同行支援事業が実施されることになりました。提案当初は「真の手助けとは甘やかすことではない」などと言われましたが、今議会では「同行支援は必要で、しっかりと手を差し伸べてやっていきたい」との答弁でした。涙が出ましたよ。

 

池田 私たち議員って市民の代弁者なんだなってずっと思っていて、これは、心が苦しい方々に対してすごく寄り添った政策ですよね。本当によかったなって思います。

 

AEDのガイドライン 18年ぶりに改善

 

たけこし 池田さんが議会質問で求めたAEDの設置も大きな前進がありましたね。

 

池田 はじめての議会質問で24時間使えるAEDをさいたま市に増やすことを求めました。そうしたら、18年ぶりにAED設置のガイドラインが変わりまして、公共施設のAEDも屋外設置が基本になりました。すごくうれしいです。あとAEDの場所って分かりづらいですけど、公共施設内はトイレのそばに設置するということもガイドライン化されました。みなさんが「AEDはどこだろう」と思った時に思い出してもらえるように情報発信していきたいなって思っています。

 

たけこし その他にも、地球温暖化対策の実施など、成果がたくさんあります。引き続き、課題を明らかにしつつ、市民のくらしや行政サービスの向上のために党市議団一丸となってがんばります。(おわり)

座談会 2024年2月議会をふりかえって

3月14日に閉会した2月議会について、党市議団としてふりかえる座談会をおこないました。メンバーは、予算委員をつとめた金子あきよ、とばめぐみの両市議、議案に対する質疑をおこなった松村としお市議、司会はたけこし連市議です。

 

くらし応援の予算求めて「反対」

 

たけこし 2月議会の予算委員会で党市議団が新年度予算案に反対した理由をうかがいます。

 

とば 市長は「選ばれる都市・新時代への進化」と銘打って、過去最大の1兆1816億円という予算を組みましたが、コロナと物価高騰で痛みきった市民の暮らしを支えるものではありませんでした。2都心4副都心開発には152億円もつぎ込む一方で、他市がおこなっている学校給食費の無償化や水道料金の引き下げ、中小企業や農業への直接支援はまったくない。検討すらしない。高齢者や障がい者、医療関係予算は削減や制度廃止の繰り返し。国保税は8年連続値上げ、介護保険料も値上げです。まちづくり関連では、市役所移転と跡地利用、地下鉄7号線延伸と中間駅建設、首都高延伸、大宮駅GCS化構想など大開発のオンパレードですが、一方で公立保育所は半分に減らす、レジャープールも削減、さらに公的介護施設「グリーンヒルうらわ」(緑区)の廃止も示されました。もちろん、予算案には歓迎できる事業も含まれていますが、予算に対する賛否というのはひとつひとつの事業に対して賛否を表明することができず、全体の予算に対して賛成か反対か、という表明の仕方しかできないルールになっています。そのため、全体として予算案には反対しました。

 

松村 くらし応援の予算は235億円ですが、ほとんどが国からのもので、市が出すお金は10億円にも満たない。市独自のくらし応援はしていません。借金が増え続けているのも問題です。建設関係大型公共事業目白押しで大丈夫かと懸念します。市庁舎移転総事業費は400億円に、地下鉄7号線延伸も1300億円に膨れあがり、際限がありません。上限を決めて事業費を抑えるしくみが必要だと提案しましたが、市は受け入れませんでした。その結果がくらしや福祉の予算の削減です。党市議団は予算組み替えも具体的に提案し、予算案のほんの2%を組み替えるだけで、くらし・福祉・防災対策を充実できると示しましたが、とりくもうとしないのが現実です。

 

たけこし 大型公共事業予算には上限を設けていないと財政局長が明言しており、非常に問題だと感じます。

 

市職員の非正規化は問題

 

とば 市の職員の非正規化についてもとりあげました。本市の職員は2万1000人を超えますが、半分以上が非正規です。4116人の会計年度任用職員のうち167人に雇止め通知を出していることが明らかになりました。また、常勤職員の給与改定は今年度4月に遡って支給されるのに、会計年度任用職員は翌年からです。常勤と同じように遡及支給するよう国から再三通知が出され、全自治体の6割が実施しても、本市は実施しません。

 

たけこし 職員の働き方が市民サービスに直接影響することについては、松村市議も代表質問でとりあげましたよね。

 

松村 会計年度任用職員の8割が女性であることから、女性に対する間接差別だという認識はあるかと質しました。これは国の制度なので、日本共産党は国会でも非正規ワーカー待遇改善法を提案し、会計年度任用職員も希望すれば無期雇用に転換できるようにすべきこと、長年勤めてきた会計年度任用職員を新規採用といっしょに公募に応募させるルールを廃止して、公募は新規採用に限定することを求めています。連携したとりくみが必要です。

 

たけこし これは制度そのものが大きな問題ですね。さて、学校の問題では金子市議、いかがでしょうか。

 

市民にあたたかいまちづくりを

 

金子 教室不足が深刻です。市長は「昨年12月に出された人口推計で、本市の人口ピークを10年先延ばしすることができた。とくにゼロ歳から14歳までの子どもの転入超過数が全国1位だ」と自慢していますが、その結果、来年度は10校76教室がプレハブ教室になります。大型マンションができて子どもの数が激増した大宮南小学校は、体育の授業ができず、県立大宮高校の校庭を借りています。浦和別所小学校もプレハブ建設で校庭が使えず、子どもは3日に1回しか校庭で遊べないとNHKでも紹介されました。

 

たけこし まちづくりを進める時には住民第一という視点が必要ですよね。地下鉄7号線延伸についてはどうでしょうか。

 

松村 1300億円かけて18年くらいかかりそうだということが分かりました。これだけのお金をかけるなら、バスやデマンド交通など、市民のみなさんの日常的な移動手段の充実にこそ使うべきだと思いますね。

 

たけこし 上下水道についてはどうでしょうか。

 

とば 水道の基本料金を1カ月無料にするのに必要な予算は9億円です。市は毎年50億円余の黒字を出しながら、減免の検討もしません。なにより問題なのは下水道整備の受益者負担金です。一切徴収していない政令市は6市もあり、徴収していても1㎡200~500円です。本市は810円と高すぎることによって負担金が1000万円を超えた市民が複数存在します。払えなければ延滞金まで課すしくみは改めるべきです。

 

たけこし 予算から、市民に冷たい市政が浮きぼりになりましたね。(次号に続く)

 

2024年2月議会*本会議討論 住民福祉の増進をかかげる地方自治体の役目を果たせ

2月議会に市長から提出された議案90件について、党市議団は75件に賛成し、15件に反対しました。3月14日、最終本会議にて議案・請願に対する討論がおこなわれ、池田めぐみ市議が登壇しました。

 

はじめに、2023(令和5)年度一般会計補正予算の「戸籍住民基本台帳事務事業」について反対の立場から、「すでに戸籍に記載されている人の名前のフリガナについて、本人からの届け出がなければ職権でフリガナがふられる可能性があり、今後生まれてくる子どもの名前も『一般的な読み方であるかどうか、行政が審査をおこなう』ことは命名権の侵害にあたり、職員に膨大な作業を課す事業には賛成できない」と述べました。

 

次に池田市議は、8年連続となる国民健康保険税の値上げについて反対を表明。「物価高騰の中、市民の暮らしの現状を考慮せず、毎年判を押したように値上げするやり方は、住民福祉の増進をかかげる地方自治体として姿勢が問われる」と批判しました。介護保険料の改定についても、区分設定が12段階から15段階に増えたにもかかわらず、引き下げは第一段階のみで、ほかのすべての段階では10万円の控除がなくなることから引き上げになることを指摘し、「基金の取り崩しや一般会計からの繰り入れをおこない、保険料をこれ以上引き上げないことこそ市民の願いだ」と主張しました。

 

さらに、追加提出された「養護老人ホームの設備及び運営の基準に関する条例等の一部改正」の議案について、「この議案は生産性の向上のため介護機器を導入し職員の負担を軽減するとあるが、介護現場の人材不足改善のための議論こそ必要。また、本改正によって利用者の負担が増えることは問題だ」と指摘しました。「指定障害福祉サービスの事業等の人員、設備及び運営の基準に関する条例等の一部改正」の議案での「地域連携推進会議の義務化」について、「人材不足や運営困難が叫ばれている現場への支援をないがしろにして監視だけ強めても、障がい者福祉は前進しない」と述べ、「就労選択支援に係る事業」についても、「障がい者が『一般就労』 をめざしていくには事業所でさまざまな体験、学習、支援を受けながら、ていねいに就労への道を開いていく必要があり、一般就労への移行ばかりを進めるやり方には大きな懸念がある」と指摘し、拙速な改正の議案に反対しました。

 

市民の願い 請願の採択求める  

 

続いて池田市議は、請願について述べました。

 

「(仮称)次世代型スポーツ施設を与野中央公園に建設する理由を説明してください」については、市民に納得のいく説明がなければますます市民からの反発を招くことは必至なため、採択を主張。また、請願「武蔵浦和駅周辺地区義務教育学校において4年までと5年以降の校舎を分けるメリットを説明してください」についても、「とくに沼影校舎でおこなわれる運動会や文化祭は、義務教育課程で全国の子どもたちが経験する行事とあまりにもかけ離れている。通常の小学校で高学年として下級生をひっぱっていく5・6年生が、沼影校舎では低学年の位置づけになる」など問題点を指摘し、「党市議団はそもそも義務教育学校の建設に反対をしているが、保護者や当事者にはさらにていねいな説明が必要であり願意は妥当」として、いずれも採択を求めましたが、他会派などの反対で不採択となりました。

 

「ネット安心条例」可決  

 

池田市議もプロジェクトチームに所属し、全7会派参加の超党派でとりくんできた「インターネット上の誹謗中傷等の防止と被害者支援に関する条例(ネット安心条例)」が可決しました。

 

ネットで傷つく人が増えないように、専門家や児童生徒、他市の相談員などにヒアリング、市民からのパブリックコメントも全メンバーで確認しました。さいたま市の責務として、被害者や行為者を発生させないための施策を実施し、相談支援体制を整備することを規定しており、4月1日から施行されます。

2024年2月議会*総合政策委員会議案外質問 市内の戦争遺産・ 防空壕の把握を

池田めぐみ市議は、浦和駅近くの個人宅の庭に残されている防空壕を視察しました。高さ170㎝、広さ5畳ほど、ひんやりとした空気が流れており、所有者の方の「空襲警報が鳴るたびに駆け込んだ」というお話は、浦和でも空襲があったことをリアルに感じられます。

 

池田市議が、この視察内容をもとに、市内の防空壕の実態を把握しているかを問うと市は「分からない」との答弁。神戸市は昨年、情報提供を呼びかけ38基を確認し、ホームーページで公開しています。池田市議は「本市でも、現存している防空壕の調査をしてほしい。近隣学校の児童生徒の防空壕体験もおこなわれているが、所有者のご厚意に頼るだけでなく、市が責任を持つべき」と求めました。

2024年2月議会*総合政策委員会議案外質問 見沼区で次々と施設の中規模修繕が延期に

公共施設マネジメント計画で予定されていた区役所と片柳小学校(いずれも見沼区)の中規模修繕が延期されました。片柳小学校は義務教育学校の検討がはじまったことを理由に、見沼区役所は躯体調査をおこなった結果、3年程度の耐久性があることを理由に、修繕の延期を決定した、とのことです。

 

とばめぐみ市議は「どちらの現場も中規模修繕を機会に安全で使いやすい施設にするために、さまざまな準備をしていた。現場に対してくわしい説明や聞き取りもなく、話し合いもせずに一方的に延期を通知するやり方は改めるべき」と求めました。

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