議会報告

2023年9月議会*文教委員会議案外質問 建設予定のアリーナ施設 地盤調査で重大な懸念

9月議会 常任委員会議案外質問(9月19日)

 

たけこし連市議は、5000人収容アリーナを含む(仮称)次世代型スポーツ施設が建設されようとしている与野中央公園の地盤について質問しました。

 

たけこし 与野中央公園の地盤調査の結果はどうなっているか。

 

スポーツ部長 地表面に対して33メートル以深の平均N値(※)が48.7となっており、杭打ち施工ができると想定している。

 

たけこし 33メートル以深は丈夫だが、それよりも上層の地盤は。

 

スポーツ部長 表土から地層ごとに示すと腐植土層の平均N値が0.1、次の沖積粘土層が0.2、その次の洪積第1粘土層が5.4、次の洪積第1砂質土層が15.9、レキガ層が33.5となっている。

 

たけこし この地層について専門家に所見を聞いたところ、「33メートル以深はN値も大きく、建物を支える岩盤があるが、浅い層は軟弱地盤なので、大規模施設を建設した場合は、地震やそれにともなう洪水の影響が懸念される場所だ」とうかがった。必要な地盤改良の費用はこれまで示してきた予算51億円に含まれているか。

 

スポーツ部長 現時点では入っていない。

 

たけこし市議はほかに、与野体育館の利用状況と地元説明会について質疑しました。

 

※N値とは、重りを自由落下させ、30センチ地盤に埋まるまでの回数。N値が大きいほど地盤が硬い。通常0〜60までの数字で示す。

2023年9月議会*総合政策委員会議案外質問 パブコメを 市の政策にいかして

9月議会 常任委員会議案外質問(9月19日)

池田めぐみ市議はパブリックコメント(以下、パブコメ)について質しました。

 

本市は2003年度からパブコメを実施。20年間でもっとも意見の多かった案件は、2006年度の「路上喫煙及び空き缶等のポイ捨て防止の条例案」で1046件。この夏に実施された「レジャープールのあり方方針案」に対する意見数710件は、歴代2番目の多さでした。

 

今回のパブコメの周知について、池田市議が原山市民プールで撮影した写真を提示し「パブコメ実施中の案内は、現地ではほとんどおこなわれていなかった」と迫り、担当課の職員も広報不足を認めました。池田市議が「市民の声を聞きましたという既成事実になっていないか。これまで、パブコメの意見によって計画をストップした案件はあるのか」と質すと、担当課は「パブコメは賛否を問う制度ではないため、中止に至った案件はない」との答弁でした。しかし、パブコメの制度要綱第2条には「市民の意見を市の政策に反映させる制度」と明記されています。池田市議は1000件近くの市民の声を無視することのないよう、強く求めました。

 

続いてインボイス制度について、実施延期を国に求める請願は、6月議会では不採択になりました。池田市議がこれまでのとりくみを質すと、市は「会計ソフト導入などを補助するさいたまDX推進補助金の交付は81件、セミナー8回、相談85件」と答えました。インボイス制度がスタートしたあとの対策について市は「3年間の経過措置と支援機関へ相談を」と答弁。池田市議は「市内の業者が廃業に追い込まれる危機が迫っている。市独自の支援を検討すべき」と求めました。

 

2023年9月議会*総合政策委員会議案外質問 市内農家への支援を求める

9月議会 常任委員会議案外質問(9月19日)

国連は2019年から2028年までを「家族農業の10年」と定めて、「小農と農村で働く人びとの権利に関する国連宣言」(2018)を発しました。

 

宣言では、輸出入で農業をビジネス化することや経済効率を求める農業開発では、環境や働く人の生活や人権を脅かすことを示し、小さな農家の訴えを国際的に認めています。

 

本市の総農家数は20年間で2000軒以上減り、全職業に対する農家率も20年間で半分以下、0.5%まで下がっています。現在、法人24件・個人2998戸のうち、物価高騰に対する支援の利用は水稲経営次期作支援交付金事業634件、肥料価格高騰対策事業補助金189経営体のみ。多くの農家はまったく支援がありません。市は6月補正予算で水利組合に対して電気料金の高騰分を補助しましたが、農家数で割ると1件4000円/年程度のみです。

 

とばめぐみ市議は、富士見市、川越市、鴻巣市、桶川市など多くの自治体がとりくむ「法人10万円・個人5万円」「収入に応じて3万5000円から20万円」等、直接支援の実態を示して本市での実施を求めましたが、市の答弁は「国や県の動向を見る」でした。家族農業を守るためにも、小農家の声を聞き取り、政策決定の場への参加を促進し、直接支援が届く策を講じることを強く求めました。

2023年9月議会*代表質問 パブコメには710件もの意見 レジャープールをなくすな

代表質問をおこなう金子市議

9月11日、金子あきよ市議が代表質問にたち、沼影市民プールをはじめ市内5つのレジャープールを削減再編し、利用料金を大幅値上げとする「レジャープールのあり方方針案」の撤回を求めました。

 

金子市議は「市はレジャープールの毎年の支出超過が3億6500万円となっていること、老朽化した施設の更新に多額の費用を要することを削減再編の理由にしているが、市民利用の公共施設、市民サービスに必要な費用を削減すること自体が間違っている」と述べ、方針決定に至る前に住民に対する説明会をおこなうなどして、市民、とりわけ子どもたちの声を聞く機会をつくるべきと求めました。

 

小川副市長は答弁のなかで、方針案に対するパブリックコメントに710件の意見が集まったことを明らかにしました。これは異例の多さで、当初9月にまとめるはずだった計画の決定を12月に先延ばしせざるを得なくなっています。しかし、副市長はパブリックコメントの意見を分析して参考にするというだけで、住民に対する説明会の開催は否定しました。

 

義務教育学校建設

プールを壊さなくても土地はある  

 

続いて金子市議は、沼影市民プールの現地での存続と、その廃止計画の前提となっている義務教育学校武蔵浦和学園の計画撤回を決断するよう清水市長に迫りました。市が真剣に民間所有の土地も含めて用地を探し、取得することを決断すれば、プールを壊さなくても学校はつくれることを示し、用地取得をと、市長自身の責任と努力を求めましたが、市長は答えませんでした。

 

義務教育学校建設計画は市長選での市民の審判を経ていません。レジャープールの方針にしても、市長や幹部数名による都市経営戦略会議で了承されたものがパブリックコメントだけで決定されようとしています。金子市議はこのことを指摘したうえで、「まちづくり、教育、福祉削減などあらゆる分野で市政全体を貫く強引な手法は許されるものではない」と強く批判しました。

 

「日本一をめざす教育」で 日本一しあわせな子ども?  

 

金子市議は、6月議会で任命された竹居秀子教育長に、市教委が進めてきた「日本一の教育都市」の実現を引き続きめざすのか、「日本一をめざす」教育行政が、教職員に負担を強い、児童生徒を過度な競争に追い立ててきたのではないかと指摘しました。竹居教育長は「日本一の教育都市で育った子どもたちに日本一しあわせな子どもになってほしい」「予測困難な時代を生きる子どもたちに必要となる資質・能力を確実に身に付けさせるため、新しい施策を前へ前へと進めていく」と強弁しました。

 

金子市議は具体的な施策について指摘。義務教育学校については、説明会を何回やっても担当者から「検討を重ねている」としか回答されず、予定されているユニット制や4-3-2制の教育課程など新たな制度について、信頼できる根拠は1つも示されていません。つくば市などの施設一体型小中一貫校では小学6年生に本来形成されるべき発達課題が達成されていない事態、教員の負担が増大する恐れも具体的に指摘されています。

 

また、協力企業と連携を図り、デジタルおよびデータの利活用を進める「さいたま市スマートスクールプロジェクト」は、膨大な予算をかけて、参加する一部の大企業を利する事業です。これらの事業を新教育長の判断で中止・撤回することを求めました。教育長はまともに答えず、計画を推進していく姿勢を示しました。

 

放課後等デイサービスの質の向上を

 

障がいを持っている児童生徒が放課後や休校日に通う放課後等デイサービス(放デイ)が爆発的に増えており、市内には199カ所あります。しかし党市議団には、「夏休みなど学校休業日の支援時間が短く、フルタイムの仕事ができない。職員に子どもの障がいの特性を理解して見てもらっているという信頼が持てず、小学校入学からの1年半に4カ所も放デイを変わった」という深刻な相談が寄せられました。金子市議はこの相談事例をもとに、放デイの実態を認識しているか、と市に迫りました。

 

一部の放デイ事業所での不適切な支援の実態については厚生労働省も問題にしており、法改正もされることになっています。今後、この法改正を通じて、放デイの質を向上させるためには、事業の許認可、指導をおこなう市の果たす役割が大きいことを指摘しました。そのうえで、保護者の就労を保障するため、学校休業日の十分な人員配置を求めました。  高橋副市長は、「放デイの実態を把握し事業所の支援内容改善のための具体的な指導をおこなっている。放デイが保護者の就労を支援するための重要なサービスであることを認め、学校休業日の支援時間延長のため事業者への働きかけ、国への要望、市の事業である日中一時支援事業の活用などを検討する」と答弁しました。金子市議は事業の改善に向け、「行政の力を発揮して具体化を1日も早くすすめてもらいたい」と求めました。

2023年9月議会*代表質問 国の増税から市民を守るのは市の役目

代表質問をおこなうとば市議

9月11日、9月議会本会議でとばめぐみ市議が代表質問にたちました。

 

冒頭、「岸田政権の大軍拡」と口火を切った途端、他会派の市議から「ここは市議会だぞ!」と大きなヤジが飛びましたが、とば市議は来年度の防衛省の概算要求額も示し、「私たちは全力をあげて、増税から市民の暮らしを守らなければならない。市の見解を求める」と質しました。しかし市は「直面する課題に対応する」と答弁。また「平和首長会議に参加する市長として、広島・長崎市長と同じく“核抑止論は破綻している”という立場にたっているか」という質問に対しても「両市長が強いメッセージを発していることは承知しているが、核兵器の必要性と即時廃絶の異なる考え方があるため、本市は廃絶に向けた機運醸成にとりくんでいく」と答弁。政府に核兵器禁止条約や締約国会議に参加することを求めることについても答弁を避けました。全体として、市長が国政の主要課題について明確な答弁を避ける姿勢でした。

 

区役所が狭すぎる

 

市長は5月、各区役所に「子ども家庭総合拠点」「福祉まるごと相談窓口」「おくやみ窓口」を設置し、きめ細やかなサービスを進めてきた、と述べましたが、区役所によっては建物に余裕がなく、新しい窓口を設置するスペースを生み出すのに大変苦労しています。市の人口は増え続けており、市長が「市政の最前線基地」とする区役所業務はすでにパンクしています。特に見沼区役所はもっとも職員数が多く、今年度、福祉課は3係から4係に増えたものの、区役所の建物自体が大きくなるわけではなく、職員の執務面積は狭くなる一方です。  とば市議は「職員に十分な執務面積を確保し、市民に必要なコーナーや会議室を設置するのは市の責任。建設から20年でおこなわれる中規模修繕は改修のチャンス」と改善を求めました。今まで市は「中規模修繕は“修繕”であって“改修”ではない」と言い続けてきましたが、市民局長は「現在中規模修繕をおこなっている西区役所で、AIを活用した実証実験も踏まえて執務面積の改善にもとりくむ。西区を参考に今後各区役所の中規模修繕時に執務面積の改善をはかりたい」と述べました。

 

公契約条例の制定を今こそ

 

続いてとば市議は、公契約条例と建設業の働き方改革について質問。働き方改革関連法は、1日に8時間、1週間に40時間を超えて働かせてはならないと定め、2019年には大企業、2020年には中小企業に施行されましたが、複雑なしくみの建設業については5年間の猶予が設けられ、来年4月から始まります。とば市議は30代職人の「週休2日になると月8万円収入が減り、インボイスで15万税金が増える。アルバイトをしなければやっていけない。15年働いたが、後輩が入ってこない」との声を紹介しながら、「労務単価があがっても労働者に届かないようでは、若い人の入職は期待できず、公共工事を担う労働者の確保もむずかしくなる。後継者不足解消のためにも、公契約条例の制定を今こそ」と迫りました。公契約条例とは、自治体が発注する公共工事に従事する従事者の賃金・報酬下限額を設定し、自治体の責任を契約事項に加えることを定めた条例のことです。しかし市は「国がやるべきこと」と検討を拒みました。とば市議は「直ちに制定に向けて検討を始めるべき」と求めました。

 

七里駅前の桜を守れ

 

とば市議は最後に、七里駅へのアクセス向上と生活基盤整備のための七里駅北側特定区画整理事業について質しました。  この事業をすすめるなかで、区画整理組合が2020年3月に突然、七里の名物とも言える3本の桜の木を「9月に撤去(伐採)します」と掲示板で告知。驚いた地元住民が「七里の桜を守る会」をたちあげ、すでに9200筆もの署名を集めています。桜の季節には扇形に豪華に咲き誇り、駅利用者や住民だけでなく、遠くから多くの方が訪れ、駅員がホームのベンチを桜に向けて置き直すことも七里駅の名物となりました。市は計画段階で桜の保存についてまったく検討をしなかったことを認め、3人の樹木医の診断の食い違いについては答弁を避けました。  とば市議は「度重なる話し合いは、市の支援課も協会も“組合が決めたこと”“地権者約700人の仮換地指定を完了している”とくりかえしてきた。地権者は換地には合意したが、桜を切ることは聞いていない、知らなかったという方がほとんどで、保存を望む発言もあったと聞いている。だから“守る会”は3年間、組合との話し合いを求め続けてきた。市は組合と住民の話し合いを設定すべき」と強く求め、市ははじめて「組合との話し合いの場を設ける」と約束。とば市議は「総事業費183億円もの税金を投入する区画整理事業において、地域住民を分断し大きな禍根を残すようなことはあってはならない」と厳しく迫りました。

 

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