議会報告

2025年6月議会*本会議討論 子育て支援は社会保障予算の拡充で

会派を代表して討論にたつ池田めぐみ市議

7月4日、6月議会最終本会議で、党市議団を代表して池田めぐみ市議が議案、請願および補正予算について、それぞれ討論しました。提出議案38件のうち、32件に賛成し、6件に反対しました。おもな反対理由は以下のとおりです。

 

はじめに、令和7年度さいたま市国民健康保険事業特別会計補正予算(第1号)について、この議案は2026年度から創設される子ども・子育て支援金制度に対応するため国民健康保険システムの改修をおこなうために約1063万円を計上しています。議案自体はシステム改修に関する費用ですが、背景にあるのは、児童手当の拡充、妊娠中、育休中の支援など「子ども・子育て支援金制度」に必要な財源を、社会保障削減と国民負担によって確保するという問題です。池田市議は「市民の望みは高すぎる国民健康保険税の引き下げなど、負担軽減だ。したがって、国に対して支援金制度の撤回を求め、子育て支援の充実は市民の負担増で進めるのではなく社会保障予算の拡充で進めるべきだ」と求めました。

 

また、公立保育所民間移管にともなう運営事業者選定委員会条例の制定議案について、池田市議は「この条例は、公立保育所を廃止および民間移管によって半減させる『公立保育所の在り方基本方針』に基づいて制定されるが、私たちはそもそも公立保育所を減らすことに反対。質疑でも、民間移管が実現しなかった場合は公募条件を緩和するという答弁があった。子どもの命を預かる現場で質を緩和することは認められない」として反対しました。

 

 

物価高騰対策

子どもひとり1万円の給付

 

 

続いて、物価高騰をうけて「家計負担軽減策」が追加補正予算として提出されました。このうち、18歳未満の子どもひとりにつき1万円を給付する特別給付金給付事業の予算は約23億円です。池田市議は「この事業自体を否定するものではないが、子どものいない世帯も多く、子育て世帯以外への支援も求められている」と主張しました。

 

また約16億円の予算がついた市民アプリ活用事業については「物価高騰対策よりも市民アプリのダウンロード数を増やすことが主目的になっていないか」と懸念を表明。「デジタル地域通貨の本来の目的は、地域経済を活性化させることだが、市民が大きくポイント還元を受け取るため、大規模店舗に利用が集中したという声が寄せられている。そもそもマイナンバーカードと紐づけなければ市民アプリは利用できない」と主張しました。現在、アプリのダウンロード数は約19万3000とのことですが、市内のアクティブユーザーは約10万人で、支援の対象人数が全市民を網羅しているとは言えません。池田市議は「私たちは、水道料金の引き下げなど、全市民を対象にした対策こそ必要と考える」として、本議案に反対しました。

 

 

所得税法第56条を廃止して

 

 

「所得税法第 56 条(以下、56条)を廃止するよう国や政府機関に意見書を上げること」の請願について、池田市議は「56条は、中小業者を支えている家族従業者(多くが女性)が働いた分、すなわち自家労賃は原則として必要経費とすることを認めていない。そのため事業専従者は、自立に必要な所得を得ることができないという経済的差別を受けている。国連女性差別撤廃委員会は、2016年に続いて2024 年にも『事業主のおよそ8割が男性であり、56条が家族従業女性の経済的自立を妨げていること』を懸念し、その改正を日本政府に勧告した」と主張し、「これまでも同趣旨の請願が出されており、全国の税理士会なども56条の廃止を求める意見書をあげている。地方議員が見直しの必要性を国に訴えるのは当然の責務」として、請願の採択を求めました。

 

最後に、請願「3000人規模の義務教育学校『武蔵浦和学園』建設計画の見直しを求めます」について池田市議は、入札が2度にわたって不調になり、このままでは設計金額が膨れ上がってしまうこと、大きく複雑な校舎ユニット制などの実験的なシステムによる教員や子どもへの負担、学区編成の硬直化などの問題が解決していないことを指摘し、「現状の大規模・過大規模校解決のために、さらに『超巨大規模校』をつくるという考え方には無理がある。本請願に緊急で寄せられた署名も1540筆となった。立ち止まって見直すべき」として、採択を求めました。

 

2025年6月議会*議案外質問(保健福祉委員会) 介護事業所がつぎつぎ廃止

3月31日、グリーンヒルうらわをはじめ公設の介護事業所が5カ所、メディカルセンターの通所リハビリステーションなど民間の介護事業所が17カ所廃止されました。池田めぐみ市議がこの問題をとりあげ、「昨年、市がグリーンヒルうらわなどの廃止を決定した際には、施設の老朽化と民間事業者の参入を理由としていた。実際に民間事業所は増えているのか」と質すと、市は「全体として横ばい、もしくは若干の減少傾向」と答弁しました。

 

本市の公設介護事業所はゼロになりましたが、横浜市には公的な老人保健施設があり、約半数の政令市で公設のデイサービスセンターが設置されています。池田市議は「本市にも公的な介護事業所が必要だ。医療や介護はお金のあるなしで選別されるべきではない」と新設を求めましたが、市は「公設の再整備の予定はない」と答弁しました。6月には医療生協ケアステーションうらしんの通所介護事業(浦和区)が廃止となるなど、地域の介護事業所の経営困難が表面化しています。市の矛盾はあきらかです。今後も市議団として住民福祉増進のため、とりくんでいきます。

 

また、池田市議は国民健康保険の資格確認書についてとりあげ、保険証がわりになる資格確認書が、後期高齢者医療保険加入者や国保加入者に順次発送されていることを確認。資格確認書がほしくてマイナ保険証を解除したいという方は、各区の保険年金課窓口で申請して解除できることや、事情があってマイナ保険証が使えない要配慮者の方には、マイナ保険証があっても資格確認書を送付する特別対応も可能と確認しました。健康保険が切れ目なく適用されるよう市民に寄り添った対応を求めました。

2025年6月議会*議案外質問(子ども文教委員会) 学童保育への支援強化求める

松村としお市議は、視察した大門放課後児童クラブの過密状況の改善を求めました。同クラブは定員50人に対し90人が在籍。支援員の手が回らず、子どもの安全確保の課題が浮き彫りになっています。松村市議が支援体制や施設環境に対する市の見解を質したのに対し、市は今後は「放課後子ども居場所事業」や民設クラブの整備を通じ、過密状態の解消と適切な保育環境の確保を図る考えを示しました。

 

さらに松村市議は「放課後子ども居場所事業」導入にともない尾間木学童クラブで運営を脅かす事態が起きていることに対する支援の具体化状況を質問。市は「影響の把握と支援策の制度設計を進めており、12月議会で基本方針案を示す予定」と答弁しました。松村市議は「4月の時点で影響が出ているのに12月ではあまりに時間がかかりすぎだ」と厳しく指摘し、早い対応を求めました。

 

松村市議は、党市議団が実施した校則アンケートに、「校則の一つひとつに説明がない」との声が多く寄せられていることを紹介し、「説明できないルールは学校側から子どもたちに見直しの提案をするべき」と求めました。教育委員会は、校則の必要性について「教職員と生徒が対話を重ね『納得解』を見出すことが基本方針。今後も学校現場を支援していく」と答弁。また見直された校則で共通しているものを学校間で共有するよう求めたのに対し、「他校の事例も参考にしながら各校に情報提供をおこなう」と答弁しました。

 

2025年6月議会*議案外質問(総合政策委員会) 働き続けられるさいたま市役所に

金子あきよ市議は市職員の中途退職の状況について質問しました。

 

金子 20代、30代の退職者の割合は。

 

総務局長 60歳未満の普通退職者のうち、35歳未満の退職者の占める割合は、2021年度は64%(全国平均60%)、2022年度60%(同60%)、2023年度53%(同58%)。

 

金子 退職理由の調査はおこなっているか。

 

総務局長 若年層の退職者の理由は、まず転職、次にメンタル不調も含めた体調不良。職場の人間関係、業務の質や量の変化、プライベートな事情などが複合的に重なったと考えられる。

 

金子 どんな対策を取っているか。

 

総務局長 一次予防として、新規採用職員や新任課長向けに健康管理をテーマとした研修を実施。二次予防として、症状の早期発見、例えば長時間勤務をおこなった者の発見、ストレスチェック、保健指導など実施している。三次予防として、休職している職員に対する健康相談の継続的実施、早期の復職をめざした復職支援などをおこなっている。

 

金子 メンタル不調から回復して復職された方たちに対するとりくみは。

 

総務局長 再発予防のため、保健師によるフォローアップ面談を継続して実施。常勤保健師を職員課に4人、教育委員会教職員人事課に1人配置している。また、会計年度任用職員の保健師を5人採用し、10区の保健指導にあたってもいる 。

 

金子市議は長時間労働とメンタル不調の関連性を指摘、研修や対策の中でその問題意識を共有して対策を進めることを求めました。

2025年6月議会*議案外質問(まちづくり委員会) JR環境空間に貸し農園を整備して

久保みき市議は、JR環境空間についてとりあげました。また、ホンダの「スマートホームシステム実証実験」跡地と水害対策について、それぞれ質問しました。

 

JR環境空間は、旧浦和市と旧与野市の市街地に新幹線の線路を建設するにあたって、騒音や振動等の緩衝帯として設けられている空間です。この空間は、約3割は市が緑地として整備、7割はJRが暫定利活用をする用地として区分されていて、JRの利活用部分は約84%が利活用されていますが、市の緑地整備については現状約43%にとどまっています。3月の予算委員会での金子あきよ市議の質疑において、市は、「武蔵浦和駅から南側と中浦和駅の北側を優先的に整備していきたい」と答弁しました。

 

中浦和駅の北側は、雑草が生い茂り、JRが除草剤を使用していることから、近隣住民から不安の声が届いていました。地域住民から「この場所に貸し農園を整備してほしい」という要望が届いていることから、久保市議は「緑地化にともない貸し農園整備を実施してほしい」と求めました。市は「日陰の問題やJRとの協議など課題があるが、戸田市の環境空間のエリアで貸し農園として整備した事例もあるので検討していく」と答弁しました。

 

ホンダの跡地については公園整備にむけて動くことを確認し、高齢者や子ども、障がい者も楽しめる公園の整備を求めました。水害対策については、新開地域においての排水ポンプの増設を求め、市も検討していくと答弁しました。

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