議会報告

2024年12月議会文教委員会*議案外質問 教育現場におけるAI活用の実態は

議案外質問をおこなうたけこし連市議

たけこし連市議は教育現場におけるAI活用について質問しました。

はじめに、教育現場でのAIを活用した授業の現状について確認。市教育委員会(以下、市教委)は、市内の教育現場において、文部科学省のガイドラインに基づき、授業におけるAI利用の一律禁止や義務付けはしていないとしながら、300名の教員がAIを利用し、そのうち216名が児童生徒に使用させた実績があることが明らかになりました。さらに、授業における具体的な活用事例についての質問に、市教委はAIのしくみや性質を学ぶための教材としての活用や、児童生徒の文章推敲への使用例を挙げました。

たけこし市議は、子どものAI活用については慎重であるべきとの立場を表明し、子どもたちがAI活用をしていくなかで、AI依存による読解力や論理的思考力への影響、プライバシーやデータ利用の問題、発達への影響などを指摘し、認識を質しました。これに対し市教委も、AIの性質やメリット・デメリットに関する学びが不足した状態での使用は危険であり、知識や技能、思考力や判断力の育成を阻害する可能性があるとの認識を示し、今後はAIリテラシーを中心とした情報活用能力を育む教育を充実させていく方針が示されました。

たけこし市議は「AIは情報を読み取ることはできても、子どもたちの心を酌み取ることはできない。まずは教員をはじめとする大人がAIリテラシーを身につけ、そのうえで子どもたちへの適切な指導方法を確立していく必要がある」と話しました。

2024年12月議会市民生活委員会*議案外質問 市内でPFAS検出 原因究明に全力を

議案外質問をおこなうとばめぐみ市議

とばめぐみ市議はPFAS(*) について質問しました。

 

8月に市内の河川(南区柳橋地点)から初めて国の暫定指針値(50ナノグラム/1リットル)をはるかに超えるPFOSとPFOAが検出されました。さらに上流まで追加調査したところ浦和区上木崎で暫定指針値の240倍1万2000ナノグラムであったことが報道されました。その後の調査で上木崎2丁目の事業所敷地内の湧水(地下水)が発生源であることはわかりましたが、湧水の汚染原因は不明。この地域は昨年12月三菱マテリアルの地下に埋められた放射性廃棄物の漏出が発覚したばかり。とば市議は、三菱マテリアルも含めて、付近の事業所等で今までPFOSやPFOAを研究、製造、使用または保管等がなかったか確認すること、原因の究明に全力をあげることと、土壌の検査もおこなうべきではないかと求めました。環境共生部長は「天王川雨水幹線の上流区域周辺で原因の可能性が考えられる事業所を対象に確認作業を進めていく予定」と答弁しました。

また、とば市議は、今年2月から施行された「再生資源物の屋外保管に関する条例」の運用について質しました。再生資源物保管所や資材置場はもともと林野であったところが多く、本市の林野面積の激減につながっていることを示し、川口市の資材置場の設置等の規制に関する条例も紹介しながら、地主の代替わりや相続などでこれ以上林野や農地を減らしていくことへの歯止めとなるようなとりくみも環境局として検討することを求めました。

 

(*)有機フッ素化合物PFASのうち、発がん性など健康に影響を及ぼすおそれがあるPFOSとPFOAは、2021年から国が定める環境基本法の水質に関する要監視項目に指定されている。

2024年12月議会総合政策委員会*議案外質問 猛暑・資材高騰から農家を守る支援求める

議案外質問をおこなう松村としお市議

松村としお市議は農家が猛暑や資材価格高騰で厳しい状況にあることをふまえ、さいたま市の支援を強化するよう求めました。

今年の夏も猛暑でしたが、「農作業も命がけ」という声が寄せられるほどでした。作物の生育にも影響し、営農にも影響が出ているもとで猛暑対策への費用面も含めた支援を求めました。
農業政策部長は「今年6月から8月の平均気温が観測史上もっとも高かったこともあり、米が白く濁ったり、梨が日焼けした。野菜も苗の生育不良・品質低下がおき、収量減少で農業経営に大きな影響を与えた」と認識を示しました。支援として「施設整備に使える補助金を活用してハウス栽培での遮光ネットや細霧冷房・ヒートポンプの設置等を推進している」ととりくみを紹介。また「見沼グリーンセンターで高温耐性品種の試験をしてさいたま市にあった品種の情報発信を検討している」と答弁しました。松村市議は資材と物価の高騰に対する支援も強く要望しました。

 

農業政策部長は「資材価格の高騰が4年前から約1.2倍となり高止まりが続いている状況。全体としてはコストの上昇に価格が追いついてなく、農家の経営を圧迫している」との認識を示しました。こうしたなかで今年度から環境負荷を低減する資材購入への支援をはじめ、11月末までに33件の申請があったことなどのとりくみを紹介しました。

松村市議は「今ある支援策は農家のみなさんに伝えつつ、猛暑対策も資材価格高騰対策もさらなる支援策を」と来年度に向けて具体化するよう求めました。

2024年12月議会*一般質問 過大規模校を増やさないために「学校ハザードマップ」を提案し実現へ

一般質問をおこなうたけこし連市議

12月2日、たけこし連市議が12月議会の一般質問にたちました。

 

近年、さいたま市の一部の地域で急激な人口増加が進み、学校の超過大規模化が課題となっています。武蔵浦和校区、大宮南校区、上木崎校区などでは、仮設校舎の増築や体育の授業を校外でおこなうなどの問題が発生しており、今後も大宮区、浦和区、中央区等の特定校区で同様の課題の発生が懸念されています。市の教育委員会は過大規模化した学校の課題解決のためプロジェクトチームを立ち上げていますが、これまでの対応は問題発生後の事後的な対策にとどまっていました。

 

たけこし市議は、これらの課題解決のために兵庫県神戸市を視察しました。そして、神戸市が導入している「学校施設の開発事業区域の選定」(いわゆる学校ハザードマップ)の導入をさいたま市にも求めました(画像①)。  学校ハザードマップとは、神戸市内の学区を「受け入れ困難地区」(児童の増加により、対策を講じても6年以内に教室不足が生じると予測される小学校区)と「要注意地区」(現時点で受け入れ困難地域ではないが、今後の住宅供給で、受け入れ困難地区になることが懸念される地区)とに分類し、神戸市のウェブサイト上で公開されています。そしてこれらの情報を開発業者に提供し、またこの地域への転入希望の保護者が確認できるようになっています。

 

たけこし市議は、「学校ハザードマップ公開によって次の効果が期待できる」として、段階的な開発・分譲による児童生徒数の急増防止、開発計画の事前調整が可能になる、転入者の適切な判断をサポートする、などと示し、学校ハザードマップの作成を提案しました。市は、「転入者向けに学校規模や転用可能教室の状況などの情報をホームページで公開することを決定した」と答弁しました。さらに、神戸市の「受け入れ困難地区」の公表制度についても、長期的な課題として研究を進めていく方針を示しました。たけこし市議は「このとりくみは、子どもたちの教育環境を守るための予防的なアプローチであり、持続可能な地域づくりの基盤となる重要な施策になり得る」と話しました。

 

放射性廃棄物の漏出事案

市は原子力規制庁まかせ  

 

続いてたけこし市議は、三菱マテリアルで発生した放射性廃棄物の漏出事案について質問しました。

 

今回の事案の概要について説明を求めると、市は「昨年12月下旬、事業場敷地内の関係者以外立入りが制限されている地下に設置された管理区域内の保管容器の一部から内容物の染み出しが確認された」「監督庁である原子力規制庁と事業者との間で、当該事案発生後、管理区域内及び地上部分の屋外における放射線量は通常であることを確認している」と説明しました。たけこし市議が「調査はもう開始されたのか」と質すと、市は「事業者からは原因特定の調査について原子力規制庁へ申請中であり、許可が下り次第、調査がおこなわれる」と答弁。事案発生から1年が経過しているにもかかわらず、未だ調査の許可が下りていない理由については情報把握すらおこなっていない実態があきらかになりました。

 

また、たけこし市議が「市は早く要請や指導をおこなうべきではないのか」と質すと、市は「本市が指導する立場にないと考えている」と答え、終始消極的な姿勢を示しました。たけこし市議は「指導する立場にないという理由で、市民の安全に関わる重要な問題に対して主体的な関与を避けている点は、基礎自治体としての責任を放置している」と話しました。

 

今回の事案は保管容器の経年劣化が理由で発生したとされています。たけこし市議が「経年劣化のリスクがあるのではないか」と追及したところ、市は「リスク管理などは原子力規制庁が判断、管理すると認識している」という表面的な回答に終始。漏出が発生した保管容器以外も同じく経年劣化していくはずですが、新しい監視体制等についても「現在は考えていない」との回答でした。質問後、たけこし市議は「市の対応はあまりにも不誠実。市長には自分の家の近くだったとしても同じ対応をとるのか、と問いたい」と話しました。

 

たけこし市議は他に、神戸市のタワマン規制についてとAIを使った行政の効率化について質問しました。

2024年12月議会*一般質問 基金の活用と大規模事業の縮減でくらし支える施策の実現求める

一般質問をおこなう松村としお市議

12月2日、松村としお市議が12月議会の一般質問にたちました。

 

松村市議ははじめに、2025年度の予算編成方針に、これまではなかった「大規模事業の推進」とともに行財政改革の推進、補助金の見直し、受益者負担の適正化が書き込まれたことを指摘。「大規模公共事業の裏返しで福祉の削減、市民サービスの後退、税・公共料金・保険料引き上げを進めるのではないか」と質しました。財政局長は「それをすることはございません」と明確に否定しましたが、この間の市政運営から見ると注視が必要です。

 

また、「今回の議会に与野中央公園のアリーナ建設130億円の補正予算が出ているが、計画では52億円だった。資材価格の高騰等の影響が大きい。大規模事業の費用圧縮や中止を検討すべき」と対応を迫ったところ、財政局長は「年度ごとの経費を平準化できるよう調整しながらしっかりとやるべきものをやる」と答弁。平準化では総額は変わりません。膨らむばかりの大規模公共事業費の見直しは急務です。松村市議は基金が毎年増えている実態を指摘し、「基金の活用と大規模事業の縮減」で財源を確保し、「物価高騰のもとで市民生活を支えるためにも給食費無償化や『お出かけ応援制度』などくらし応援の施策を実施すべき」と求めました。

 

レジャープール削減計画の 撤回求める

 

さいたま市は沼影市民プールの廃止に続き、代替候補地案を4カ所(桜区荒川沿いと原山市民プール)を示し、11月には市内各地で展示対話型のオープンハウス説明会をおこないました。松村市議は桜区の代替候補地について「車で行くことが前提で、地理的に偏っている。緑区から気軽に使えるプールがなくなってしまう。浸水被害や自然環境破壊の懸念もある」と問題点を指摘。都市局長の答弁は「公共交通等のアクセス性を評価項目に加える。緑区の見沼ヘルシーランドなどの公営プールと役割分担する。災害リスクが低い候補地の評価を高くし、自然環境は必要に応じて適切な調査・手続きを実施する」と、問題を直視しないものでした。

 

2月の代表質問で松村市議が、プールの最大の利用者である子どもの声を聞くよう求めたのに対し、当時の副市長は「検討」を表明。その後の対応を質すと都市局長は「オープンハウス説明会で子どもたちにレジャープールにふさわしい場所を聞いたら『自宅から近いところがいい』との意見が大多数だった」と答弁。今後、小学校や放課後児童クラブ、保育園等で「子どもの意見を積極的に取り入れる」と表明しました。松村市議は「家から近い立地を願う子どもたちの意見と市の削減計画には開きがある。子どもの意見を取り入れるならプールを複数残すということか」と再質問すると「子どもとしては近いところを希望するのは仕方ない。今後は子どもが具体的にイメージしやすい施設内容への意見を反映させたい」として、子どもの意見は市の計画の範囲でしか取り入れない態度を示しました。松村市議は「代替候補地の問題にまともに答えられず、子どもの意見も聞かないままで、進め方が強権的、一方的だ。あらためてレジャープールのあり方方針を撤回し、原山市民プールの存続と民有地を含めた沼影市民プールの代替地検討を求める」と迫りました。都市局長は「原山市民プール廃止は決まってない。代替地も早期調整が可能なら民有地も検討できるが適地がない。市民から早期実現が求められているので来年度前半の候補地決定に向けて検討を進める」とあくまで計画を強行する答弁をしました。

 

学童クラブの運営支援求める

 

市が今年度からモデル実施している「放課後子ども居場所事業」(以下「居場所事業」)ですが、来年度からあらたに9校で実施予定です。このうち緑区の尾間木小学校区では民設の尾間木学童から居場所事業に移る希望を示す子どもが多く、5つあるクラブを2つに減らすことが検討されています。その場合、支援員数減による退職金や賃貸施設の契約解除による原状回復の費用に数百万円かかる可能性があり、松村市議はこうした実態を示し、居場所事業の拡大による費用面での影響に対し補助・補填等を行うよう求めました。子ども未来局長は指摘した実態を認め「来年度のクラブ運営に支障が生じないように検証しながら適切に対応したい」と答弁。松村市議は「拙速に進めず、一度立ち止まってモデル事業をしっかり検証すべき」と求めました。

 

松村市議はほかに国道463号の花月交差点―プラザイースト間の歩道のフラット化や美園臨時グラウンド北側の道路の速度規制強化策を求めました。

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