議会報告

熊本市と北九州市を視察 連携中枢都市圏とは?

1月15~16日に、大都市行財政将来ビジョン特別委員会が熊本市、北九州市を視察し、とばめぐみ、池田めぐみの両市議が参加しました。人口減少・少子高齢社会において地域活性化と持続可能な経済、安心快適な暮らしを営むために、中心都市が近隣の市町村と連携し活力ある社会経済を維持する拠点づくりを進めるという「連携中枢都市圏のとりくみ」の実践を学びました。

 

これは、指定都市市長会で清水市長がその先頭に立ってすすめようとしている「特別市(道府県の区域外と一層制の地方自治体)」の法制化と同時にすすめられており、連携中枢都市圏ごとに政令市や中核市を先頭に経済成長や都市機能の強化をめざすものです。

 

視察したとば市議は「政令市が、主要駅前大開発とそうでない地域に格差をもたらすいびつなまちづくりをしてきたことがさらに繰り返されるのではないかという懸念が払拭できない。地元の願いではなく国の政策を日本中に押しつけているようなやり方は、今後、注意深く見ていくことが必要」と話しました。

姫路市と大阪市を視察 市民がくつろげる 広場を駅前に

「うめきたプロジェクト」の説明を受けるとば市議(右)

1月10〜11日に、大宮駅グランドセントラルステーション化構想に関する調査研究を目的とした特別委員会が、姫路市「姫路駅北駅前広場の整備」と大阪市「うめきたプロジェクト」を視察し、党市議団からとばめぐみ市議が参加しました。

 

姫路市では、姫路駅から世界遺産・姫路城に至る都心部の基盤整備やにぎわいづくりにとりくみ、学識経験者、市議会議員、市・県職員、市民など約20名で構成された姫路市都市計画審議会が魅力あるまちづくりを進めています。姫路駅から姫路城までまっすぐのびた約2kmの道路は、建築物の高さを30mに抑え、色はお城にあわせて白で統一、広い歩道が確保され、駅前広場には市民がくつろげる場所が随所に設置されていて、大変気持ちのいい、まさに「市民の広場」と言えるつくりになっていました。

 

一方、大阪市の「うめきたプロジェクト」は一日の乗降客数約250万人を誇る西日本最大のターミナルエリアに位置する梅田貨物駅跡地約24ヘクタールを、産学官連携により国際競争力の高い知的創造都市に生まれ変わらせるプロジェクトで、JRはAIを駆使した顔認証改札や個々の行き先を案内できるしくみをとりいれ、駅前には普段は防災公園、イベント時には1万人収容できる屋外広場や、公園の工事が進められていました。

 

とば市議は「どちらも『市民がくつろげる場所』を大切にしているところが特徴で、大いに学びたい」と話しました。

2023年12月議会*本会議討論 沼影公園をなくすな

本会議で討論をおこなう金子市議

12月22日、12月議会最終日の本会議で金子あきよ市議が討論に立ち、以下の議案に反対しました。

 

金子市議はまず、沼影公園廃止条例案について、3700人の児童生徒を3つの校舎、5つの「ユニット」で教育する前代未聞の義務教育学校用地として沼影市民プールを廃止するという計画そのものにあくまでも反対であり、武蔵浦和駅周辺に小中学校1校ずつを建設する用地を取得することに改めて市長を先頭に注力するべき、と主張しました。プール解体工事請負契約に8億7560万円、浦和大里小学校につくる代替室内プールは設計変更のため、建設予算が約7億3000万円から約2倍の14億2700万円へと大幅に増える補正予算です。市民の願いに逆行しながら、どんどん予算を増やすこの計画は認められず、義務教育学校の建設計画の中止と合わせて撤回すべきと述べました。

 

議員報酬・特別職の給与および期末手当引き上げ

 

特別職報酬等審議会で9人中6人は、社会情勢を鑑み、両方をいま上げるのは適当ではない、との判断でした。金子市議は「審議会答申を最大限尊重するというのであれば、据え置きやむなしという意見にこそ耳を傾けるべき」として反対しました。同時に提案された、市長等の給与を1年間据え置くという特例条例の制定についても、「現下の厳しい経済社会情勢等を踏まえる」というならば、そもそも引き上げ議案を提案するべきではなく、据え置きといいつつ期末手当は引き上げ、まったく対象者が同じなのに、引き上げは「特別職」、据え置きは「市長等」と書き換えをしていることも実に姑息なやり方だ、と批判しました。

 

教育委員には学識経験者を

 

金子市議は、9月議会の代表質問で学識経験者、とくに教育研究者を積極的に教育委員に加えることが必要と指摘したにもかかわらず、今回の議案でも経済界の代表の方が推薦されていることに対して、教育、学術、文化に関して識見を有する方を人選するというのであれば、学識経験者を推薦すべきだ主張しました。

 

 市民の願いにこたえて請願採択を

 

市民から提出された請願について、金子市議は、ジェンダー平等を求める流れに逆行する差別的な「所得税法第56条撤廃」「少人数学級の前進を」「教職員配置基準変更によって特別支援学級の中学校教員を減らすことをやめること」「核兵器禁止条約批准を国に求めること」「特養ホームの空床問題解決のために国に待機者解消の計画策定と建設への国庫補助を求めること」など、いずれも当然の願いであり採択すべきと主張しました。

2023年12月議会*一般質問 文化財も自然も守るために

12月6日、12月議会の一般質問に久保みき市議がたちました。内容は1、文化財保護と自然保護について 2、循環型社会に向けて 3、防災について 4、別所沼公園の釣り糸等被害について 5、学校のウサギ等の飼育についてです。

さいたま市の文化財の数は政令市で3番目であるのに対し、文化財保護予算はとても少なく、管理が行き届いていないと指摘し、桜区塚本荒川堤外にある「薬師堂のマキ」は入り口案内の看板はなくなり、説明看板は浦和市のままだと写真を示しました。「もっと予算を増やし、政令市3位にふさわしく保護、管理するべき」と主張したのに対し、市は「看板については順次直していく」と答弁。質問後すぐに説明看板は浦和市からさいたま市に変わりました。

 

「薬師堂のマキ」周辺にはハンノキの自然林があります。さいたま市の蝶であるミドリシジミの食性に必要なハンノキ林は、全国的にも貴重です。準絶滅危惧種の植物も多く貴重な自然が残っています。堤外は農地としては認められていますが、居住はできません。そのために農作物の盗難や不法投棄の温床となっています。久保市議は「このままでは貴重な自然が失われてしまう。国は、生物多様性からさらに進んだ『ネイチャーポジティブ』の考えを示している。ネイチャーポジティブとは、自然は資本である。人類存続の基盤としての健全な生態系を確保し、生態系による恵みを維持し回復させ、自然資本を守り活かすとりくみをしていくということ、その立場に立って塚本、荒川堤外里山を守るべき」と求めました。

 

また、荒川第2調節池の建設現場が隣接していますが、調節池内水路(囲ぎょう堤脇)は保守点検が楽なように3面張り水路という底も両サイドもすべてセメントで固めたかたちになる予定です。これでは生態系や景観に配慮することが難しく、水の流れが早くなり、水生植物や魚などの生息・生育に適した環境を作ることができない、二面張り水路や土水路にすべきと国に意見すべきと提案しました。

 

さらにサクラソウ自生地の保全についても質問しました。作業員の勤務日数が減らされた問題、伐採が必要な樹木が残されている問題などを指摘しました。市は、「伐採については検討する」と答弁しました。

 

生ゴミのリサイクルを求めて

 

2では、「生ごみ、まだ燃やしますか?」と切り出し、「生ごみは水分量が多く、燃やすためには多くのエネルギーが必要。現在のペースで生ごみを焼却し続けるのは、限界が来ていると指摘している専門家もいる」とし、生ごみのリサイクルを求め、ゼロウエイスト宣言に向けてとりくむよう求めました。市は、生ごみリサイクルにとりくんでいくと前向きな答弁をしました。

 

3については、2019年の台風19号で甚大な被害が出た、桜区油面川流域の対策として整備された油面川排水機場の計画されているポンプの増設について質問しました。今年6月の大雨では、排水機場の稼働により浸水は免れたものの、油面川の水面は路面ギリギリのところまで来ていました。ポンプを早く増やすべきと求めました。さらに鴻沼川流域についての対策について質問したところ、市は、県が決めていると答弁しました。久保市議は「市独自では、なにもしないということか」と強く迫り、市は「できることはしていく」と答弁しました。

 

釣り糸 ポイ捨てしないで

 

4は、別所沼公園の釣り人がポイ捨てした釣り糸、針によって多くの野鳥が苦しんでいる実態を、片足を失ったバンの写真や釣り糸が足に絡まりついた鳥の写真で示しました。公園のごみ拾いの徹底と「ポイ捨て禁止」の啓発の看板を大きな効果的なものに変えるよう求め、市は、清掃、看板、改善すると約束しました。

 

5は「ウサギを飼育する際の適正温度は、18〜24℃。気温の変化に弱いウサギは、室内飼いが望ましい」と指摘しました。ウサギは草食動物で、丸1日(半日とも)絶食状態になると内臓に障害を起こし、最悪の場合死につながることがあるといわれていますが、学校は土日が休日で多くの学校のウサギたちは丸2日絶食状態で、「確実に動物虐待と言える行為」と強く指摘しました。学校で動物を飼育する目的は、生命の大切さや思いやりの心を育てることであるはずです。それがもはや、大切な命をそまつにあつかっていいという教育になっており、学校での小動物の飼育を見直すべきと求めました。市は答弁で、飼育方法を改善することを約束しました。

2023年12月議会*一般質問 24時間使えるAEDを小学校の正門にも

一般質問をおこなう池田めぐみ市議

12月5日、12月議会の一般質問に池田めぐみ市議がたちました。

6月議会の一般質問で24時間使えるAEDの設置拡大を求めたところ、中学校58校の正門への設置が、市内企業からの2000万円の寄付で実現。次は、市の責任で、小学校正門への設置と公共施設での屋外設置の見解を市に問いました。

 

池田 中学校正門へのAED設置の進捗状況は。

 

教育長 12月1日時点で、58校中38校の正門にすでに設置。今年度中に全市立中学校に設置完了予定。今後は、誰もが有事の際に迷わずAEDを取りに行くことができると考える。

池田 中学校設置のあとは、小学校の正門にも設置してほしいという声が多い。教育委員会が「正門のAEDが地域のシンボルになる」というのならば、小学校の正門へのAED設置を、強く要望する。

 

教育長 小学校正門への設置は、安全度をさらに高めることにつながると認識しているが、まずは、中学校の正門等へのAED設置による成果や効果等について検証していく。

 

池田 「いのちを守る政策」については、市が責任をもってやっていくべきと考える。市は公共施設のAEDについても、屋外設置を検討しているのか。

 

保健衛生局長 公共施設での24時間使えるAEDの設置は、必要性の高いものと認識している。屋外設置実績のある自治体から情報収集するとともに、庁内関係課による意見交換会を開催するなど、AEDの屋外への設置実現に向けて検討している。

 

池田市議は、今後、本市がAED設置の先進事例となるよう、進めてほしいと要望しました。

 

  浦和画家 瑛九のアトリエを残して  

 

「鎌倉文士に浦和画家」という言葉があるように、関東大震災後、浦和に画家たちが移り住み、アトリエをかまえたことから、浦和は絵描きの町として有名になりました。池田市議は、名だたる絵描きが住んでいたという足跡を残すことが今後のさいたま市にとって重要と考え、解体が迫る浦和画家、瑛九のアトリエの保存の手だてと、浦和画家の調査研究について質問しました。

 

池田 瑛九は1951年に浦和に移住、48歳で亡くなるまでたくさんの作品を制作した。アトリエは瑛九の死後、妻の都さんが2018年に102歳で亡くなるまで大切に保管されてきたが、現在、解体の危機。市ができる保存の手だてはないのか。

 

副教育長 文化財を保護していくには、市の文化財指定制度と国の登録有形文化財制度の2つがあるが、文化財指定には、通常2年以上の調査や審議が必要。年内解体のアトリエは、時間の確保が課題で難しいと考える。

 

池田 2016年に埼玉県が近代和風建築について調査をし、最終的に139件に絞ったなかに、浦和画家の奥瀬英三さんのアトリエも入っていたことから、奥瀬アトリエは11月に文化財指定が決定している。今後、浦和画家を大切に考えるならば、市が責任をもって保存する努力が必要。手遅れにならないよう調査しデータベース化するなど、市にできることはないか。

 

副教育長 浦和画家は、市の宝として後世に伝えていくべき貴重な歴史文化資産。今後、市が策定予定の「さいたま市文化財保存活用地域計画」のなかで、浦和画家のアトリエのデータベース化も反映できるよう検討する。

 

池田市議は、11月に本太5丁目のアトリエを見学し、質問に臨みました。その後、瑛九アトリエを生かす会に所属し、年内の解体前の、庭の木やアトリエの部材の分与に参加。「市民が今後保管することになる棚や窓枠などを展示・再現する機会をつくるため、今後も努力したい」と話しました。

 

そのほか、浦和駅周辺のまちづくりについて、「田島大牧線の高砂小学校前の横断歩道残して」という市民からの強い要望を取り上げ、市は県警と協議することを約束。また、受動喫煙を減らすためのコンテナ型の喫煙所を提案し、市街地開発事業の完了後、実際の歩行導線などの確認を行いながら、設置の可否について検討すると答弁がありました。

 

レジャープールのあり方については、こども基本法(4月1日施行)を根拠に、20代から70代対象のWEBアンケートを取り直し、実際にプールを利用している「こどもたちの声」を反映させるよう求めましたが、市は、個別施設の検討をおこなう際に、こどもの意見の聴取方法について検討するという回答。廃止反対多数のパブリックコメントや、プール存続を要望する署名を受け、市民に寄り添うかたちにプールのあり方を改めるよう、強く求めましたが、市は、「理解いただける方向性を見出せるよう努める」という答弁でした。

 

「議員は市民の味方である」という立場で質問した池田市議は「さいたま市が、市民の声を聞く姿勢があるかどうか、それぞれのテーマで明らかになった」と話しました。

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