議会報告

【決算特別委員会 視察】議会の提言を予算に反映させる決算審査

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 8月17日、18日に、決算特別委員会が静岡県藤枝市と京都市を視察しました。日本共産党市議団からは、山崎あきら・戸島よし子・もりや千津子市議が参加しました。

決算の提言が予算に反映される仕組みづくり

藤枝市議会では、決算審査に先立ち、決算委員会として全事業の中から、多数の委員が共通して抽出した事業を約30程度まで絞り込み、執行部に決算審査用調書(市がおこなった事業の評価や、どのように予算が執行されてきたかを知ることができるもの)を提出するように依頼します。決算審査では、通常の決算審査とともに、これらの事業についても審査を行い、各委員の意見や考え方をまとめ提言書を作成し、市長に提出します。翌年3月の当初予算委員会で、提言書への対応を執行部が説明し、予算審査でチェックする仕組みが取り入れられています。また、常任委員会でも6月に各部課の主要事業の内容や課題を執行部が説明し、9月にはその取り組み状況が報告され審議されることも特徴的でした。「議会からの提言はほぼ予算に反映されている」とのことでした。

進んでいる情報公開と、全議員が予算・決算審議に

 京都市議会では、議員67人全員が予算特別委員会、決算特別委員会の両方に所属し審議し、3分科会に分けて審査、審議時間は1日400分(さいたま市は300分)です。さいたま市では質疑は毎日大きい会派から順に行われますが、京都市議会では各会派が毎日順位を変えて行います。市長への総括質疑も行われています。

 執行部からは出納に関する細かな書類などもすべて公開されます。また、決算に合わせ当該予算に付された附帯決議の処理、対応状況の報告書も提出されます。情報公開が進んでいることや議会のチェック機能が強化されていることなどさいたま市でも生かしていくべき点を学んできました。

【代表質問】人権無視の債権の取り立ては即刻中止を

代表質問をおこなう神田よしゆき市議

 9月13日、9月議会の代表質問がおこなわれ、党市議団より神田よしゆき市議が質問しました。

神田:債権回収において、債権回収課の納税相談での市職員の対応について厳しい批判が寄せられている。相談において分納の申し出を聞いてもらえなかったり、「死んで保険金で納付する人もいる」「仮に病気で通院したければ完納してから通院するのが常識」などと接しているとの声がある。市はこのような市民の訴えを把握しているのか。また、納税相談にあたって相談者の権利や生活実態をよく聞いて対応するとくり返しているが、現場でのこのような対応についての実態は。

:納税者の生活状況等を聞いて、ていねいな対応を心掛ける。今後も期限内納付をしている納税者との負担の公平性の観点から、引き続き納税するだけの資力があるかを見極めつつ、債権確保に努めていく。

神田:貸金業法では、その請求が法的根拠に基づいても乱暴な言葉等、人を脅すような言動は民事上、・刑事上の責任を問われることになる。市職員は法を守る公務員として国税徴収法などに定める納税者の権利を尊重して相談にあたることになっており、先ほど述べたような納税者への対応は間違っているのでは。

:議員のご指摘を真摯に受け止め、適切な対応を心掛けていく。

神田:国税徴収法では差し押さえ禁止財産、超過差し押さえの禁止を明確にしているが、実際に超過差し押さえをおこなった件数および金額は。

:今年度4月から7月までで件数は6件、金額は31万1000円。

神田:国税徴収法の趣旨からも、差し押さえ禁止財産まで滞納処分に充てるのはやめるべき。債権回収にあたっては、滞納者の生活を立て直しながら相談に応じる方向に転換すべきだが見解は。

:滞納処分の執行は差押可能額の範囲で適切に執行している。超過差し押さえは本人の承諾が得られた場合は法的に可能なので、その場合のみ実施している。

神田:執拗に納付額の増額を強要することがおこなわれている。法律を逸脱した行為であるが見解は。

:本人の状況を確認したうえで本人の承諾を得ておこなっている。

新総合事業での介護の質を守れ

神田:新総合事業の来年度実施にあたり、従来の訪問介護指定事業者の他に緩和した基準に基づいた小規模事業者等の営利・非営利の事業者を検討するとあるが、具体的な緩和基準は。また、それにより参入する法人事業者の見込みは。

:緩和基準については現在基準案の作成を進めている。事業者数の見込みも、基準がまだ未公表なので正確な数値は出せない。できるだけ参入しやすい基準案を作成する。

神田:新総合事業では、サービスを提供する際にNPOや地域住民などのボランティアを活用していくとある。来年度から提供するサービス内容と提供団体は。また、その体制が取れない場合には今後どうするのか。

:サービス内容は平成29年度から順次検討・実施していく。提供団体についても、高齢者生活支援推進協議会にて担い手を新たに発掘・養成するためのとりくみを進めている。

市は公費を使った開発応援の中止を

 三菱マテリアル敷地の放射性廃棄物は、ドラム缶47000本相当の量に達しています。現在この場所では再開発が進められていますが、放射性廃棄物の処理が問題になっています。 

神田:放射性廃棄物は早期に撤去して周辺住民の不安を解消することが重要だが、市はどのような取り組みを行ってきたのか。この廃棄物の取り扱いをどのように考えているのか。

:撤去にむけて、国および三菱マテリアルに対し、放射性廃棄物の最終処分等を含めた抜本的な解決に向けた対策について要望した。廃棄物の取り扱いについては、保管状況の現地調査などで安全性を確認し事業者による情報公開を徹底することで市民の安全と安心を守ることが重要と考えている。

神田:市は用地開発を支援してきたが、民間の用地の開発を市が支援する必要がなく、公費を使って開発の応援をするのは中止すべき。

:土地所有者が土地区画整理をおこなっているが、これに市の補助金は入れていない。市としては、防災公園の整備、道路整備、公共公益施設の検討などをおこなっている。

 神田市議は、他に踏切の安全対策について質問しました。

 

さいたま市議会 録画中継再生

http://www.saitama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1193 

【さいたま市議会 女性議員連絡会】「女性の健康」をテーマに講演会

講演会の様子。たくさんの一般市民の皆様がご来場され、賑わっています。

 8月3日、さいたま市議会の女性市議を中心とした議員連絡会が講演会を開催しました。医学博士で「広尾レディースクリニック院長」の宗田聡氏が「女性のライフステージにおける健康の主な話題」と題し講演し、一般市民も参加しました。

 宗田氏は、女性をとりまく社会情勢の変化と女性の体と健康が連動して変化していることを豊富なデーターをもとに説明し、周産期の女性の体とメンタルヘルスについて、きめ細かなサポートの必要性を強調しました。また、あらゆる年代の女性の健康をトータルに診ていく視点を大切にしている理由などについても語りました。

 10人の女性市議が超党派で今回の講演会を主催しましたが、今後も発展的に取り組んでいくことが確認されました。党市議団からは、戸島よし子、もりや千津子、久保みき、松村としおの各市議が参加しました。戸島市議は、「少子化にどのような対策が有効なのか、政治の大きな課題だと実感した」と感想を述べました。

【まちづくり委員会】市民の安全、安心をおびやかす羽田空港への増便計画は中止を

まちづくり委員会にて発言するもりや千津子市議

 8月3日、まちづくり委員会が4件の請願について閉会中審査をおこないました。

 党市議団が紹介議員になった「住宅地上空を飛行する危険な羽田増便計画を見直すよう、国に意見をあげることを求める請願」の審査には、請願者をはじめ南区の住民など多くの市民が傍聴にかけつけました。質疑のなかでは、国の計画に対して市民への周知はどのように行われたか、市民からの意見
などの件数と、国にそうした意見を伝えているか、落下物などの事故時の補償について、さいたま市上空を飛行する頻度と安全性の確保、周辺自治体などが加わる協議会についてなど、各会派議員から多くの質問が出されました。

 担当課からは、市は羽田空港の機能強化の必要性を認め、市民への周知、説明をおこなってきたことや、国が高度を引き上げるなど環境に配慮したことなども評価し、今後も丁寧な情報提供をおこなうこと、安全管理の徹底にとりくむことを約束したことなどの答弁がありました。

 もりや千津子市議は、請願に賛成の立場から、「住宅地上空を旅客機が飛行することは危険だからこそ、いままで海側ルートのみで運行されてきた。それを覆すのであれば、確実に安全性が担保されなければならない。多少の改善が行われても市民の不安は払しょくされない。すでに国が決めたから、時期が遅い、などとあきらめるわけにはいかない重大な問題。国際競争力に勝つため、経済性のために住民の安全、安心を犠牲にはできない。増便計画先にありきの国の計画に対して、市は見直しの意見を上げるべき」と主張しました。

 

まちづくり委員会にて質疑を行う松村としお市議まちづくり委員会にて質疑を行う松村としお市議

【大都市行財政将来ビジョン特別委員会】PFI事業を調査 問題点がつぎつぎ明らかに

資料を精査する神田市議

 6月議会では、大宮区役所・大宮図書館の新庁舎整備事業に関する議案の審議がおこなわれました。

 この事業はPFI方式を採用しており、入札形式で事業を請け負う民間業者を決めています。また、事業をおこなうにあたって様々な業種(建築業者、運営・管理業者、店舗運営をする業者など)の企業が集まり企業グループを結成し、このグループ単位で入札に参加します。今回の事業では、2つの企業グループが参加しました。しかし、両方のグループに同じ企業が参加してしていました。これは本来認められていないことです。このように事業の入札の透明性・公平性が疑われる事態になりました。

 そこで、大都市行財政将来ビジョン特別委員会で地方自治法第98条に規定されている事務調査をおこなうことになり、現在も調査がすすめられています。地方自治法第98条は、地方議会が行政のおこなう事業・事務などを問題がないか調査する権限を定めてます。同特別委員会には党市議団から神田よしゆき、大木学の両市議が所属しています。

中等教育学校整備は事業を凍結へ

 特別委員会での調査をするなかで、現在PFIですすめられているさいたま市立中等教育学校(仮称)の整備についても、入札に参加する企業に求める条件を緩和する処置をとっていたことが判明し、大きな問題となっています。そのため、この事業は現状で凍結することになっています。

 PFI事業が導入されることになってから、公共施設整備でさまざまな問題が起こり、さいたま市がPFIを推進していくのが本当によいのかが今後問われることになります。

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