議会報告

2023年2月議会*議案質疑 新年度予算は市民の命とくらしを重視しているか

2月議会本会議で質疑に立つ松村市議

 2月2日の2月議会本会議で、松村としお市議が、市長が提出した議案に対する質疑を行いました。

 

新年度予算の特徴は?

 

 4月から始まる新年度の予算について、物価高騰やコロナ感染の波が続くなかで市民の命とくらしを重視する内容になっているかは重要なポイントです。

 

 松村市議は、市が「予算案の特徴」としているなかに物価高騰対策が明記されていないことをとりあげました。財政局長は「(予算の)説明部分に記載している。物価高騰は重要な取り組み」として「児童福祉施設、高齢者施設、障がい者施設の運営事業者への支援や、商店街への補助の上乗せなどを継続していく」と答弁。これらの施策は党市議団も求めてきたものですが、同時にすでにやってきたことの継続にとどまっています。

 

松村 物価高騰から市民のくらしや地域経済を守り支えるのは新年度予算の重要な柱であるべき。市民負担を軽減する新たな施策の主なものと予算額を示してほしい。

財政局長 新たに市民負担を軽減する施策は計上していない。物価や経済の動向を踏まえながら、国の施策の効果や今後の国の対応、企業の賃上げの動向等も見極めつつ、適時適切な対応を検討していく必要がある。

松村 国の動向というが、新年度に国の補助金があった場合、負担を軽減する方向で積極的に活用する考えはあるか。

財政局長 国は財政を危機モードから平時モードへ転換していくと昨年6月の骨太方針で明記している。国の補助金がどうなるか不透明。答えるのは困難。

 

 さいたま市は2022年度も、他市で行っている水道料金や給食費の一時無料をやりませんでしたが、消極的な態度をとり続ける姿勢を示しました。

 

変わらぬ大型開発重視と福祉削減

 

 清水市政の一貫した特徴に大型開発優先、福祉削減・負担増路線があります。新年度予算で2都心・4副都心開発に132億円をつぎ込む一方で、これまでカットしてきた障がい者・高齢者福祉や医療費は33億円相当であることがわかりました。

 

 さらに、国民健康保険税の7年連続値上げ条例案も出されています。物価高騰の下での負担増であり、6億円で値上げを回避できるにもかかわらず、「物価高騰は国保加入者に限定されない。赤字補填(不足分)を一般会計に求めることは他の健康保険加入者の理解を得ることが難しい」と市はあくまで負担増路線を続けるかまえでした。

 

「ポストコロナ」でいいのか

 

 新年度予算案には「ポストコロナを見据えた」という言葉が繰り返し使われています。松村市議は「新型コロナの第8波の死者数が過去最大となっている。予算案はポストコロナが基調になっているが、対策はどうなっているか」質しました。

 

 保健福祉局長は「第8波は陽性者が減少傾向」としつつ「インフルエンザの流行もあり、医療機関に大きな負担がかかっている」という現状認識を示しました。そのうえで「課題として自宅療養者をはじめとした新型コロナ患者にいかに必要な支援を提供していくかが重要」として「国がコロナ感染症の位置づけを5類に変更するが市民の命と健康を守ることを最優先に、感染症危機のリスクに対応する予算を計上している。国の動向を注視しつつ、必要な施策を実施する」と答弁しました。

 

 5類への変更にともなう国の具体的な対応内容がまだ明らかになっていませんが、新型コロナウイルスの新たな変異株が広がるなど予断を許さない状況です。党市議団は医療・救急・検査・保健所体制の強化を引き続き求めていきます。

2022年12月議会*本会議討論 議員および市長等の期末手当 引き上げは許されない

本会議討論をおこなう神田よしゆき市議

 12月23日、12月議会最終本会議で、神田よしゆき市議が議案・請願の討論を行いました。

 

 12月議会には、議員及び市長などの常勤の特別職の期末手当(ボーナス)の引き上げが提案されました。それぞれ、議員は5万8000円、市長9万9000円、副市長7万7000円の引き上げになります。

 

 神田市議は「市民生活の状況を考えれば引き上げは行うべきではない。物価高騰のもとで市民のくらしを支える市独自の施策などをほとんど行わず、特別職の期末手当を引き上げるなど税金の使い方が間違っている」と指摘、引き上げに反対しました。

 

 また今回の議会には、個人情報の取り扱いや保護等の条例の改正が提案されました。国は2003年の「個人情報保護法」の制定以来、度重なる改正を実施し、個人情報を民間企業などに流通させ、ビジネスや成長戦略に活用できるようにしてきました。今回の改正で、個人情報の全国共通ルールの下で、情報の一元管理ができることになります。

 

 神田市議は「マイナンバーカードの普及促進とあわせ、マイナンバーカードに紐づけたさまざまな情報が民間にも流通することができることになる。このような個人情報の取り扱いが可能となる条例改正には反対」と主張しました。

 

2022年12月議会*予算委員会 マイナンバーカード 生保受給者の情報紐づけに反対

討論をおこなうとりうみ敏行市議

 12月議会の予算委員会で、とりうみ敏行市議が議案第145号「令和4年度さいたま市一般会計補正予算(第9号)」について質疑・討論を行いました。

 

 この議案には、マイナンバーカードに生活保護受給者の個人情報を紐づけて一元管理しようとする危険な予算が含まれています。

 

 とりうみ市議は、「生活扶助オンライン資格確認導入に伴う生活保護システム改修等」の予算について、厚労省が「2023年度中に紙の『医療券』からマイナンバーカードを使った受診に切り替える理由のひとつに、『頻回受診者』を早期に把握し、改善指導するため」としていることをあげ、さいたま市における紙の「医療券」のもとでの「頻回受診者」の定義を質しました。市は、「概ね月に15日以上の受診が3カ月間続くと確認された人について総合的に判断する」と答弁しました。しかし、本市における「頻回受診者」数は、生活保護受給者1万9266人(2022年10月末現在)に対し、わずか6人であったことが明らかになりました。

 

 とりうみ市議は、「マイナンバーカード取得はあくまでも任意であり、被保護者の情報の紐づけも任意であるが、未成年者の同意はどうするのか疑問が残る。医療機関における受け入れ環境を進めるためにオンライン資格確認が強制的に進められることも懸念され、あわせて医療機関等が、本人の同意を得て薬剤情報および検診情報を閲覧できるとしているが、チェック体制が行政の側に整備されていない」と指摘し、国のいうままに生活保護受給者だけをねらいうちする本システムの導入に反対しました。

 

 他にもとりうみ市議は、「総合基盤システム」に関する予算案について、「2025年までに住民基本台帳、戸籍、固定資産税、住民税、印鑑登録、児童手当等、自治体が保有する個人情報のオープンデータ化を進めるもので、結局は『デジタルビジネス』創出のために個人情報を流通させものである」として反対しました。

2022年12月議会*予算委員会 市民のくらしより大型開発推進優先か

議案に対する質疑をおこなう久保みき市議

 12月22日、追加補正予算案が上程され、予算委員会で審議されました。とりうみ敏行市議と久保みき市議が質疑を行いました。

 

 出産子育て応援事業として、伴走型相談支援の充実と給付金(妊婦に5万円、出生した子どもの養育者に5万円)が支給されます。給付金を受けるには「相談すること」が条件であるため、相談件数の増加が予想され、市は198万円の人件費追加補正も出しました。久保市議は「職員を増やす必要があるのではないか」と質疑。市は「不足が生じた場合には考える」と答弁しました。

 

 また、幼稚園などの送迎バスの置き去り防止のために安全装置、見守りタグなどの設置補助も出されました。国庫補助は2023年度まで、それ以降のランニングコストは事業者持ちになります。久保市議は国への要望や市独自の補助を検討するよう求めました。

 

 また、浦和駅西口南高砂地区開発の工事費高騰対応のため、5億3000万円が計上されました。これはすべて国の補助金です。とりうみ市議が質疑し、市は「国から補助の方針が示されたので、再開発組合と相談のうえ、市が約22億円を申請した」と答弁。「申請額が5億3000万円ではなく22億円ということは、差額16億7000万円の扱いはどうなるか」と質すと、市は「総事業費、保留床など床単価に跳ね返る可能性がある」と答えました。

 

 討論はとりうみ市議がおこない、「出産・子育て応援事業について、人件費がわずか198万円というのは少なすぎる。また、物価高騰であえぐ市民のくらしよりも駅前大型開発に税金を際限なく投じる計画の推進を優先する市の姿勢は認められない」として補正予算案に反対しました。しかし他会派が賛成し、予算案は可決されました。

2022年12月議会*市民生活委員会 統一協会の被害救済のため相談体制の強化を

議案外質問をおこなう神田よしゆき市議

 神田よしゆき市議は、国会で統一協会の救済法が論議されているなかでさいたま市における霊感商法などの相談体制などについて質問しました。

 

神田 統一協会の霊感商法などによる被害は、被害者救済弁護士連絡会や消費者センターに寄せられたものだけで1237億円にものぼる。本市の相談件数と対応についてうかがう。

 

 2018年に消費者契約法が改正され、霊感商法による契約解除が可能になった2019年から今年の11月までで9件になる。相談には消費生活相談員があたり、経緯や契約内容などの確認、助言や事業者との交渉、相談内容が専門的な場合は、弁護士連絡会を案内している。

 

神田 統一協会の被害救済のために宗教問題の専門家の配置、相談窓口を知らせるなど体制の強化が必要と思うが。

 

 相談体制については、霊感商法等対応ダイヤルとして、日本司法支援センター、いわゆる法テラスに設置され幅広く相談を受けており、本市もこの枠組みと連携して対応する。市報、自治会の回覧、市のウェブサイトで広報している。

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