議会報告

2022年6月議会*議案外質問(総合政策委員会)保育所は「人口増を見込めない施設」?

 さいたま市は清水勇人市長が主宰する「都市経営戦略会議」でこれまで武蔵浦和義務教育学校やケアラー支援条例など市政の基本方針や重要施策等を決定してきました。3月の保健福祉委員会に報告された公立保育所半減を含む「公立保育所のあり方に関する基本方針」も同会議で決定されたものです。6月13日、松村としお市議は公共施設マネジメント計画(公共施設管理計画)で「成長・発展を支える核となる施設」は面積削減の対象外としていることと、保育所の位置づけの関係を質しました。

 

松村 公立保育所は、成長発展を支える核となる施設ではない、ということか。

 

財政部長 核となる施設とは「地域経済の活性化や人口増加が見込まれる施設」。保育所は該当しない。

 

松村 保育所こそあてはまるのではないか。

 

財政部長 施設設置で人口増加が見込まれる施設に保育所は該当しないと考える。

 

 松村市議は「驚きの答弁だ」と話し、保育所は地域経済の発展や人口増加と無関係とした市の姿勢を批判しました。市は公立保育所削減ありきですが、保育所の異常な位置づけがおおもとにあることが明らかになりました。

2022年6月議会*議案外質問(文教委員会)同一労働・同一賃金の原則を守れ

 6月13日、金子あきよ市議は、教職員の定年延長と再任用制度について質しました。

 国家公務員法と地方公務員法が改正され、来年4月から段階的に65歳まで公務員の定年が延長されることになりました。段階的に定年が引き上げられる期間は、現在の再任用制度が暫定的に残されます。再任用職員の待遇は、小学校に勤務する教諭の場合、職務の級が2級となって、給料月額は27万1100円となります。通勤手当と期末勤勉手当は支給されますが、扶養手当や住居手当については支給されません。一方で定年延長の場合は、60歳前と同一の職務の級で引き続き勤務するため、再任用職員より級が高くなり、扶養手当や住居手当など諸手当も出される見込みです。

 金子市議は「同じ職場のなかに、定年延長した人と再任用職員、それぞれ待遇の違う職員が存在することになってしまうのは、同一労働・同一賃金の原則から見て矛盾ではないか」と指摘しました。これに対して市教育委員会は「そのような格差は、今の制度のままだと出てくる可能性はある」と認めました。金子市議は「再任用職員の方からは『常時雇用で働いていて、担任や分掌も同じように持っている。違うのは給料が下がることだけだ』との声が寄せられている。働く人の立場を十分に考えた上での制度設計を」と求めました。

2022年6月議会*議案外質問(総合政策委員会)インボイス制度は中止しかない

 来年10月から消費税のインボイス制度が実施されることを受けて、とりうみ敏行市議が問題提起しました。はじめに、コロナ禍での市内中小業者の景況について市の見解を質しました。

 

 コロナ禍の影響が続いており、先行き不透明であり、とくに飲食、建設、サービスにおいてコロナ禍の影響が大きい。

 

とりうみ コロナ禍でのインボイス実施が免税業者に与える影響について市の認識は。

 

 事務量は増えるが適正課税に向けて必要な制度である。

 

とりうみ 倒産、閉店が増加する可能性への市の対策が必要と考えるが、見解は。

 

 インボイス制度を知っていただくことがもっとも重要と考える。

 

 とりうみ市議は、シルバー人材センターの会員として働く高齢者もインボイスの対象となることを取り上げて市の対策を求めましたが、市は「インボイスは適正課税」との姿勢を崩さず、高齢者にも冷たい答弁に終始しました。とりうみ市議は「インボイス中止のために引き続きがんばる」と述べ、質問を終わりました。

2022年6月議会*議案外質問(市民生活委員会)救急搬送困難事案は2878件

 

 6月13日、神田よしゆき市議は、新型コロナ感染症にかかわって、救急搬送困難事案について質しました。

神田 第6波は沈静化に向かっているが、引き続き必要な医療体制の提供が求められる。2月議会でも問題となったが、救急搬送困難事案(受け入れ照会4回以上で現場に30分以上とどまるケース)について第6波の状況を確認したい。全体の件数、コロナ患者か非コロナ患者か、現場にとどまった最長時間や不搬送の有無についてもうかがう。

 第6波における救急搬送困難事案は1月第1週から5月第4週の合計が2878件。そのうち、コロナ確定者は167件、非コロナの搬送困難は2711件だった。最多紹介回数は42回、現場滞在時間の最長は5時間43分だった。医療機関が決まらないことによる不搬送の事案はない。

神田 不搬送の事態は医療崩壊に等しいが、その一歩手前まで来ていたことが分かった。今後、どのような対策が必要か。

 救急隊と指令センターが並行して病院選定をおこなうとともに、日中の時間帯は救急医療情報システムを利用して受け入れ先を探す。県に対しても体制整備を求める。

 神田市議は、引き続き改善のために努力するよう求めました。

 

2022年6月議会*一般質問 「食肉中央卸売市場・と畜場」「道の駅」は計画を見直せ

一般質問にたつとば市議

 6月8日、とばめぐみ市議が一般質問にたち、見沼区に整備が予定されている「食肉中央卸売市場・と畜場」「道の駅」について質しました。

 

地盤沈下の心配はないと言えるのか

 

 とば市議は、環境影響評価に「地盤沈下を想定した項目を設定すべき」と強く求めましたが、市は明言を避けました。市の地盤沈下の観測地点は大宮・浦和東・岩槻の3カ所で、いずれも建設予定地(見沼区宮ケ谷塔)から6㎞から10㎞も離れています。とば市議は住民から地盤沈下解析を厳格に行い、この地域に観測点を増設するよう要望書が提出されていることを紹介し、「さいたま市史上最大面積の開発事業。地下水のくみ上げ、広大な面積の湿地の掘り起こし、大型特殊車両が行き来する交通振動等、地盤沈下の条件がそろっている。住民の安心のためにも観測点増設は必須」と迫りましたが、市はこれも明言を避けました。

 

宮ケ谷塔は絶滅危惧動植物の宝庫

 

 とば市議は、この地域には県や国が指定する絶滅危惧動植物や準絶滅危惧動植物が数多く生息し、オオタカを頂点とした生態系ピラミッドが存在し、開発により湿地を失うことはこの貴重な生態系を破壊し人間の暮らしに深く影響することを環境省も指摘していることを示し、「生物多様性基本法で定められた『事業者の責務』をどう果たすのか」と質しました。また、江戸時代に沼地を水田に開発する特別な方法として、苦労して深く掘って水田を作りあげたことから「深作」という地名になったことを紹介し、「貴重な開発の痕跡を考古学的学術調査で記録として残すべき」と求めましたが、市は「事業地は埋蔵文化財包蔵地の指定を受けていない」と調査を拒否しました。

 

COP26、新型コロナ、ウクライナ情勢による世界の大きな変化

 

 COP26で日本は、2030年までにメタンガス排出量を2020年比30%削減することを目標にしました。牛のゲップによるメタンガスは強力で、世界で排出される温室効果ガスの4%を占めます。新型コロナとウクライナ情勢は食料の輸出入にも大きく影響し、環境破壊が新たな感染症をうみ出すことを国連が警告しています。とば市議は「このまま世界に和牛を売り込む計画を続けていいのか。この3年、なにを学んできたのか」と強く迫りましたが、市は「和牛は世界で高く評価され、輸出は農林水産業や食品産業に大きく貢献できる」と答弁。とば市議は「歴史的生活の痕跡も豊かな動植物の生態系も貴重な湿地帯も破壊して、地盤沈下の恐れも顧みないこの計画は抜本的に見直すべき」と強く求めました。

 そのほか、とば市議は区役所で残業時間が突出している支援課の体制の見直しを求めました。それに対し、市が「組織の在り方をほかの多部局と連携して検討する」と答弁したことは大きな前進です。また、3月3日の市長の記者会見における核共有にかかわる発言について真意を問い、「政府が核兵器禁止条約を署名・批准し、核兵器禁止条約第1回締約会議に参加することこそ求めるべき」と市長の姿勢を質しましたが、市長は最後まで答弁に立ちませんでした。とば市議は「市長の発言について質問したが、市長が答弁に立たないことは大変残念だ」「日本共産党は第1回締約国会議に代表団を送り、世界の人々と連帯し核兵器廃絶のために全力をあげる」と述べました。

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