議会報告

金子あきよ

座談会 2024年2月議会をふりかえって

3月14日に閉会した2月議会について、党市議団としてふりかえる座談会をおこないました。メンバーは、予算委員をつとめた金子あきよ、とばめぐみの両市議、議案に対する質疑をおこなった松村としお市議、司会はたけこし連市議です。

 

くらし応援の予算求めて「反対」

 

たけこし 2月議会の予算委員会で党市議団が新年度予算案に反対した理由をうかがいます。

 

とば 市長は「選ばれる都市・新時代への進化」と銘打って、過去最大の1兆1816億円という予算を組みましたが、コロナと物価高騰で痛みきった市民の暮らしを支えるものではありませんでした。2都心4副都心開発には152億円もつぎ込む一方で、他市がおこなっている学校給食費の無償化や水道料金の引き下げ、中小企業や農業への直接支援はまったくない。検討すらしない。高齢者や障がい者、医療関係予算は削減や制度廃止の繰り返し。国保税は8年連続値上げ、介護保険料も値上げです。まちづくり関連では、市役所移転と跡地利用、地下鉄7号線延伸と中間駅建設、首都高延伸、大宮駅GCS化構想など大開発のオンパレードですが、一方で公立保育所は半分に減らす、レジャープールも削減、さらに公的介護施設「グリーンヒルうらわ」(緑区)の廃止も示されました。もちろん、予算案には歓迎できる事業も含まれていますが、予算に対する賛否というのはひとつひとつの事業に対して賛否を表明することができず、全体の予算に対して賛成か反対か、という表明の仕方しかできないルールになっています。そのため、全体として予算案には反対しました。

 

松村 くらし応援の予算は235億円ですが、ほとんどが国からのもので、市が出すお金は10億円にも満たない。市独自のくらし応援はしていません。借金が増え続けているのも問題です。建設関係大型公共事業目白押しで大丈夫かと懸念します。市庁舎移転総事業費は400億円に、地下鉄7号線延伸も1300億円に膨れあがり、際限がありません。上限を決めて事業費を抑えるしくみが必要だと提案しましたが、市は受け入れませんでした。その結果がくらしや福祉の予算の削減です。党市議団は予算組み替えも具体的に提案し、予算案のほんの2%を組み替えるだけで、くらし・福祉・防災対策を充実できると示しましたが、とりくもうとしないのが現実です。

 

たけこし 大型公共事業予算には上限を設けていないと財政局長が明言しており、非常に問題だと感じます。

 

市職員の非正規化は問題

 

とば 市の職員の非正規化についてもとりあげました。本市の職員は2万1000人を超えますが、半分以上が非正規です。4116人の会計年度任用職員のうち167人に雇止め通知を出していることが明らかになりました。また、常勤職員の給与改定は今年度4月に遡って支給されるのに、会計年度任用職員は翌年からです。常勤と同じように遡及支給するよう国から再三通知が出され、全自治体の6割が実施しても、本市は実施しません。

 

たけこし 職員の働き方が市民サービスに直接影響することについては、松村市議も代表質問でとりあげましたよね。

 

松村 会計年度任用職員の8割が女性であることから、女性に対する間接差別だという認識はあるかと質しました。これは国の制度なので、日本共産党は国会でも非正規ワーカー待遇改善法を提案し、会計年度任用職員も希望すれば無期雇用に転換できるようにすべきこと、長年勤めてきた会計年度任用職員を新規採用といっしょに公募に応募させるルールを廃止して、公募は新規採用に限定することを求めています。連携したとりくみが必要です。

 

たけこし これは制度そのものが大きな問題ですね。さて、学校の問題では金子市議、いかがでしょうか。

 

市民にあたたかいまちづくりを

 

金子 教室不足が深刻です。市長は「昨年12月に出された人口推計で、本市の人口ピークを10年先延ばしすることができた。とくにゼロ歳から14歳までの子どもの転入超過数が全国1位だ」と自慢していますが、その結果、来年度は10校76教室がプレハブ教室になります。大型マンションができて子どもの数が激増した大宮南小学校は、体育の授業ができず、県立大宮高校の校庭を借りています。浦和別所小学校もプレハブ建設で校庭が使えず、子どもは3日に1回しか校庭で遊べないとNHKでも紹介されました。

 

たけこし まちづくりを進める時には住民第一という視点が必要ですよね。地下鉄7号線延伸についてはどうでしょうか。

 

松村 1300億円かけて18年くらいかかりそうだということが分かりました。これだけのお金をかけるなら、バスやデマンド交通など、市民のみなさんの日常的な移動手段の充実にこそ使うべきだと思いますね。

 

たけこし 上下水道についてはどうでしょうか。

 

とば 水道の基本料金を1カ月無料にするのに必要な予算は9億円です。市は毎年50億円余の黒字を出しながら、減免の検討もしません。なにより問題なのは下水道整備の受益者負担金です。一切徴収していない政令市は6市もあり、徴収していても1㎡200~500円です。本市は810円と高すぎることによって負担金が1000万円を超えた市民が複数存在します。払えなければ延滞金まで課すしくみは改めるべきです。

 

たけこし 予算から、市民に冷たい市政が浮きぼりになりましたね。(次号に続く)

 

市政をもっと身近に 2月議会報告会を開催  

会場いっぱいの参加者で開かれた議会報告会

3月30日、北区のプラザノースで2月議会報告会が開催されました。6人の市議全員が参加し、2月議会でとりくんだ内容について報告をおこないました。

 

はじめに、代表質問にたった松村としお市議から、さいたま市の予算から見えてくる都市開発優先と福祉削減の特徴などについて報告があり、次に同じく代表質問にたったたけこし連市議から、与野中央公園5000人アリーナ計画での周辺住宅への被害とその補償についてなどの報告がありました。

 

続いて、久保みき市が高齢社会における地域公共交通特別委員会での議論を紹介しながら、党市議団の公共交通政策について報告し、池田めぐみ市議が能登半島地震の教訓を生かすよう求めた市の防災対策と、2月議会で可決されたインターネット安心利用条例の経緯と期待される効果について報告しました。とばめぐみ市議からは会計年度任用職員の問題について、党国会議員団と連携しながら課題解決にとりくんだ事例を報告。最後に金子あきよ市議から、北区の独立行政法人地域医療機能推進機構(JHCO)跡地利用の方向性とその課題についての報告がありました。

 

各市議の報告後には、さまざまな質問が出され、それぞれに市議が答えていきました。参加した市民からは「党市議団の奮闘ぶりが伝わってきた」「さいたま市の抱える問題がよくわかった」「空白区でも議員を身近に感じられる機会になった」などの感想が寄せられています。

 

松村市議は「市内で党市議のいない行政区が4つ(北区・大宮区・西区・岩槻区)あり、そこについては市議団で市政報告会をおこなうと決めてから1年が経過し、4行政区をまわることができた。どの行政区でも市政報告会に積極的に市民が参加してくれており、市政を身近に感じてもらっている。引き続き、新年度も市政報告を続けていきたいと思う」と話しました。

2024年2月議会*まちづくり委員会議案外質問 JR環境空間の 整備をすすめよ

環境空間は、騒音、振動等の緩衝帯として新幹線および埼京線の両側に確保されたものです。

 

下落合環境空間緑道(中央区)や、武蔵浦和駅北側の公園群(南区)などは市民の憩いの場、空間となっている一方、未整備の区域も少なくありません。

 

2月19日、金子あきよ市議は、住民から寄せられている、公園・緑地や道路、貸し農園などとしての活用を求める声にどう応えるのか質しました。

 

答弁では、JRの暫定活用が81%の進捗なのに対して、行政が担う緑地・緑道の整備が43%と進んでいない実態が明らかになりました。金子市議は「JRや近隣自治体と連携をとり整備をすすめてほしい」と求めました。

2023年12月議会*本会議討論 沼影公園をなくすな

本会議で討論をおこなう金子市議

12月22日、12月議会最終日の本会議で金子あきよ市議が討論に立ち、以下の議案に反対しました。

 

金子市議はまず、沼影公園廃止条例案について、3700人の児童生徒を3つの校舎、5つの「ユニット」で教育する前代未聞の義務教育学校用地として沼影市民プールを廃止するという計画そのものにあくまでも反対であり、武蔵浦和駅周辺に小中学校1校ずつを建設する用地を取得することに改めて市長を先頭に注力するべき、と主張しました。プール解体工事請負契約に8億7560万円、浦和大里小学校につくる代替室内プールは設計変更のため、建設予算が約7億3000万円から約2倍の14億2700万円へと大幅に増える補正予算です。市民の願いに逆行しながら、どんどん予算を増やすこの計画は認められず、義務教育学校の建設計画の中止と合わせて撤回すべきと述べました。

 

議員報酬・特別職の給与および期末手当引き上げ

 

特別職報酬等審議会で9人中6人は、社会情勢を鑑み、両方をいま上げるのは適当ではない、との判断でした。金子市議は「審議会答申を最大限尊重するというのであれば、据え置きやむなしという意見にこそ耳を傾けるべき」として反対しました。同時に提案された、市長等の給与を1年間据え置くという特例条例の制定についても、「現下の厳しい経済社会情勢等を踏まえる」というならば、そもそも引き上げ議案を提案するべきではなく、据え置きといいつつ期末手当は引き上げ、まったく対象者が同じなのに、引き上げは「特別職」、据え置きは「市長等」と書き換えをしていることも実に姑息なやり方だ、と批判しました。

 

教育委員には学識経験者を

 

金子市議は、9月議会の代表質問で学識経験者、とくに教育研究者を積極的に教育委員に加えることが必要と指摘したにもかかわらず、今回の議案でも経済界の代表の方が推薦されていることに対して、教育、学術、文化に関して識見を有する方を人選するというのであれば、学識経験者を推薦すべきだ主張しました。

 

 市民の願いにこたえて請願採択を

 

市民から提出された請願について、金子市議は、ジェンダー平等を求める流れに逆行する差別的な「所得税法第56条撤廃」「少人数学級の前進を」「教職員配置基準変更によって特別支援学級の中学校教員を減らすことをやめること」「核兵器禁止条約批准を国に求めること」「特養ホームの空床問題解決のために国に待機者解消の計画策定と建設への国庫補助を求めること」など、いずれも当然の願いであり採択すべきと主張しました。

9月議会報告会を開催 再開発は 市民の声を聞いて

党市議団は11月4日に大宮区で市政報告会をおこないました。

 

はじめにたけこし連市議が2022年(令和4年)度決算について報告しました。市は、予算をつくる段階では「146億円不足」と説明していましたが、一般会計で59.6億円の黒字、基金総額は895億円で過去最高となりました。社会保障費をけずり込んで帳尻をあわせる一方で、決算審査では財政局長が「建設費における予算の上限額は決めていない」と答弁。大宮駅GSC化構想をはじめ大型公共事業には湯水のように税金を使う姿勢が明らかになりました。

 

またたけこし市議の質問で、市民所得の中央値は246万円、その階層にいる市民は16万人であることが明らかになりました。市は「物価高騰対策で101億円使った」と言いますが、そのほとんどは国からの交付金で、市の財政支出は6800万円、市民ひとりあたりに換算するとたったの51円です。たけこし市議は「市民の暮らしにとって必要なものを限界まで削り、ハコモノに熱中している」と厳しく指摘しました。

 

大宮小学校に集約駐車場?

 

金子あきよ市議は大宮駅周辺の開発計画について報告しました。大宮駅GCS化構想を詳しく説明するとともに、9月議会で議決された駐車場附置条例の改正(党市議団は反対)についても報告。大宮区役所跡地と大宮小学校の市有地に集約駐車場をつくることで大宮駅東口開発を進めやすくする市のねらいを明らかにしました。金子市議は「子どもの学ぶ権利より都市開発優先でいいのか」と投げかけました。

 

また金子市議は、桜木駐車場に商業や結婚式など多目的スペースを提供する施設がつくられ、市が土地を貸すことを議会に報告した、と話しました。「この地域には防災や渋滞対策など住民要望がさまざまある。コロナのワクチン接種会場にも使われた。市民の暮らしの立場から声をあげてほしい」と呼びかけました。

 

池田めぐみ市議は「レジャープールのあり方方針案」について報告。7月に行われたパブリックコメント(パブコメ)に歴代2位の905件の意見が寄せられており、多くが反対だったことを紹介。市民の意見を「市の政策等に反映させる制度」(要綱)と定めているパブコメなのに、「ほとんどの意見が無視された」と市の姿勢を批判しました。

 

待機児童がもともと少ない小学校がモデル校に  

 

久保みき市議は9月議会で議決された「放課後子ども居場所事業」(党市議団は反対)について報告しました。市の提案では17時まで全児童が利用でき、待機児童がゼロになるとしながら、今回予定しているモデル校(4校)では今春の待機児童はわずかだったことが議会質問で明らかになりました。モデル事業に選ばれた中でもっとも待機児童が多かった鈴谷小学校区でも、学区に新しい民間学童ができて待機児童は解消する見通しです。にもかかわらず、全児童が利用できる放課後子ども居場所事業がはじまれば民間学童保育の利用者が減りかねません。久保市議は「民間学童保育運営者に対する裏切り行為だ。子どもたちの放課後がよりよいものになるようにしたい」と話しました。

 

参加した市民からは「再開発はみんなの意見を聞いて、やってよかったと思えて弱者にやさしいまちづくりをしてほしい」「大宮小学校の卒業生として駐車場計画に驚いた。子どもを大切にする視点が市にないのは問題だ」「放課後子ども居場所事業の話はショック。今度どうなるのか、不安が大きい」「放課後子ども居場所事業は今後の検証が大事。1年ごとにしっかり検証してほしい」「市は多くの問題を抱えているが、変えるのは市民」などの声が出されました。また「身近な道路整備などで障がい者が利用しやすくしてほしい」「学校給食費無償化に向けた議会の動きはどうか」などの質疑応答もありました。

 

党市議団として市政の課題と現状を知らせるとともに、住民の願いが実現するよう引き続きとりくんでいきます。

 

参加者の感想

●開発を否定するわけではないが、市民の目線に立っていないことが問題。アリバイづくりのアンケートやパブコメはしくみを変えないといけない。

●はじめて参加した。市民としてお願いしたいのは、給食費の無償化、放課後の児童の安全、保護者の負担軽減。80代の私も、子育ての大変さに胸が痛む。未来のために、まずは子どものことを第一に考えてほしい。

●娘が台東区に住んでいるが、台東区には市民のスポーツ広場があり、ほんの少し土手になっているところに新しくガードレールがついたり、隅田川のほとりに小さな公園があったり、学校の近くの公園にはきれいなトイレがついていたりと、どこに税金が使われているのか見えやすい。一方で、さいたま市はどこに税金を使っているのか、少しも満足できない。住民の声を聞いた活動を期待する。

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