地下鉄7号線延伸を考える*今必要なのは身近な公共交通網の充実
地下鉄7号線(埼玉高速鉄道)を浦和美園駅から岩槻駅まで約7㎞伸ばす計画があります。30年以内に採算が取れる見通しがあれば国の補助を受けることができ、さいたま市はこの計画を進めていますが、具体化するほどに課題が大きくなっています。
一つは建設費です。当初は860億円としていましたが、昨年1300億円に増え、今年2月には1390億円と議会に報告されました。ただし、報告資料には「物価上昇10%を仮定したケース」の欄がありながら、事業費の数字が書かれていませんでした。松村としお市議が「物価上昇10%の場合はいくらか」確認したところ、「1520億円」との答弁がありました。この場合、国・県・市で合計1000億円(延伸1mあたり約1400万円)の税金が投入されることになります。860億円と試算していた2021年、松村市議の質問に副市長が「巨額のプロジェクト」と答えた時点から倍近い事業費に膨れ上がっています。物価上昇・資材高騰が続く見通しのもと、さらに税金投入が増える可能性があります。
もう一つは浦和美園駅と岩槻駅の中間に計画している「中間駅のまちづくり」です。当初は4000人規模の想定でしたが、2024年12月議会で商業施設事業者から「まちの規模や採算性として、周辺人口1万人以上が理想」との声があったとし、そのまま計画に組み入れました。もちろん、まちの規模が大きくなれば地下鉄の乗降客数が増え、収益増加が見込めます。同時にまちづくりにかける費用、すなわち税金投入も増えますが、事業費の概算すら示しません。
さらに、地下鉄を伸ばすための建設期間が18年から14年に短縮されたと報告されました。しかし、建設にはいる時期は不明確なため、完成がいつになるかは示されていません。
巨額の建設費用と市が想定する開通時期が20年近く先になることを考えれば、市全体を対象にした多様な手段で交通網を充実させることを優先すべきです。コミュニティバスや乗り合いタクシー、デマンド交通、公共交通利用補助制度(お出かけ応援制度)など、さまざまな手段で市民の移動を支えるために財政を振り向けることを党市議団は提案しています。