政策と活動

視察

西部環境センター 停止が3年延びる

さいたま市のごみ焼却施設は西部環境センター、東部環境センター、クリーンセンター大崎、桜環境センターの4カ所あります。さいたま市は老朽化した西部環境センターと東部環境センターの2施設を統廃合し、東部環境センターの場所に新たにサーマルエネルギーセンターを整備し、2025年の供用開始にむけて進めてきました。

 

西部、東部ともに1日に300トンのごみ処理能力がありますが、サーマルエネルギーセンターは1日420トンの処理能力です。4カ所の焼却施設を3カ所にしていくためには、ごみの減量が必要です。ところが思うように減量が進まず、2025年に稼働停止予定だった西部環境センターを3年間、稼働を続ける(ごみ減量が進めば、1年を経過した時点で稼働停止予定)ことを決めました。

 

西部環境センターがなくなっても、市民のごみ出し(決まった曜日に収集所に出す)は変わりません。ごみ焼却の余熱を利用した施設「西楽園」も今までどおり利用できます。ただ、直接西部環境センターにごみを持ち込むことができなくなります。ご注意ください。

都市農業とむきあって 市内農家や畜産農家の声を 議会にとどけるために

さいたま市は、広大な見沼田んぼ、荒川、綾瀬川、元荒川流域に広がる豊かな水田地帯を中心に、県内有数の農地面積を誇り、野菜、花卉、果物、米、種苗・植木などの生産も活発です。

 

一方で、農業従事者の高齢化、担い手不足、農地の減少が止まらず、厳しさを増しています。1980年には7428戸だった総農家数は2020年には2998戸まで減少。本市の総世帯数が年々増加するなか、総農家数の割合(農家率)が激減しています。

 

農民連は7月、「稲作経営の1戸あたりの農業所得は年間1万円、時給はわずか10円 」と発表しました。この3年間で生産に必要な燃料は4割上がり、餌は5割上がり、肥料は7割も上がっています。さいたま市はこの厳しい農家の現状に対してしっかり支援ができているでしょうか。市は昨年の農業振興事業補助金を20事業用意しましたが、実際に申請し活用した農家はのべ56件のみ。なぜ利用しないのかというと、「自分の家の農業にあったものがない」「手続きが面倒で条件も厳しい」という声が多くありました。

 

国連は、2019年から2028年までの10年間を「家族農業の10年」と定め、今年がちょうど折り返し時期です。とばめぐみ市議は9月議会で「市の農政が家族農業を守り抜くという立場で進められているのか」を厳しく問いました。2022年度の日本の食料自給率は38%、2030年度までに45%に引き上げることを目標としていますが、その実現のために、各地方自治体が地元の農家を支え、農業を守り拡充するくことが必要です。

 

県内外の視察を重ねる

 

とばめぐみ市議が副委員長を務め、池田めぐみ市議も所属する総合政策委員会では、今年度の研究テーマを「都市農業」とし、研究・学習にとりくんでいます。9月には農業振興施設見沼グリーンセンターの農場や果樹園を視察し、本市がおこなっている園芸講座、園芸相談、農業技術改善のための実験や試作等の取り組みを学びました。また米の生産者、有機農業にとりくむ若者たち、市の就農研修卒業生のお話もうかがいました。「先祖からの田んぼを守りたい」「自然や食を大事にしたい」「地産地消の社会に変えたい」「安全な食物を食べたい」等、あつい思いをもってとりくんでいることが分かりました。一方で、この夏の異常な暑さによる苦労や、農業では食べていけず家族の収入で生活しているという実態、新規就農者が自立独立するためにはあまりにも支援が不十分であることなどが切々と語られました。

 

また、委員会として、福岡市の総合的な農林業政策、久留米市で大学卒業と同時に家の農業を継ぎ、農業を中止に飲食業や美容サロンに事業を拡大した青年の1日1万袋の水菜を出荷するハウス、JA全農・JAさが・佐賀市が連携しキュウリの大規模多収栽培実証施設「ゆめファーム全農SAGA」など、九州地方の農業の視察もおこないました。  とば市議は「農業は奥が深く、政治との接点も多岐にわたる。市内農家や畜産農家の生の声を集めて、議会に届けたい」と話しました。

開発優先で子どもたちは? 都内小学校を視察

9月議会でさいたま市教育委員会が大宮小学校(大宮区)の方向性について問われた際、同校周辺が「大宮駅前にぎわい拠点と位置付けられており、小学校のあり方について、将来を見据え、さまざまな案を検討している」と答弁しました。その事例として東京都中央区立城東小学校を教育委員会が視察したことも明らかになりました。これを受けて11月2日に金子あきよ、久保みき、松村としおの各市議が城東小学校を視察して実態を確認しました。

 

同校は東京駅から徒歩5分のところにありますが、学校敷地を含む地域で再開発がおこなわれ、245mの再開発ビルに組み込まれるかたちで建て替えられました。

 

同校は再開発ビルの出入り口とは離れた1階部分に玄関を持ち、4階+地下のなかに教室や体育館、「校庭」が入っています。各学年最大2クラスまでで全体は小規模です。教室は通常どおりですが、ビルに組み込まれていることから全体として窓が少なく、子どもの声が再開発ビルに漏れないよう防音対策がほどこされています。校庭は50m走の直線コースと70mトラックに簡素な遊具がわずかにあるばかりで、音漏れ対策として屋根がついています。さらに再開発ビルに合わせた建築のため4階建てでありながら7階相当の高さになっていると説明もありました。

 

全体として子どもの成長・発達を保障することよりも再開発を優先させていることがうかがえました。

 

視察した松村市議は「さいたま市も駅前再開発を次々と進め、子どもたちが後回しになってきた。大宮小学校が再開発の犠牲になってはならない」と話しました。

さいたま市議会条例検討プロジェクトチーム ネット上の誹謗中傷等対策に 超党派でとりくむ

ガラス張りの電話ブース

近年、インターネット上の書き込みによる個人情報の流出や、誹謗中傷等の深刻な被害が社会問題となっていることから、さいたま市議会では、党派をこえてとりくむ「インターネット上の誹謗中傷等対策に関する条例」検討プロジェクトチームを設置しました。党市議団から池田めぐみ市議がメンバーとして参加し、他市の条例を学び、大学教授の講義や、さいたま市のいじめ防止シンポジウムに参加し、ネット上での問題点の聞き取りなどをおこなってきました。

 

誹謗中傷対策については、2020年に群馬県が日本ではじめて条例を制定し、相談窓口を設置しています。先進事例を学ぶため、11月2日、プロジェクトチームで群馬県前橋市にある「公益社団法人被害者支援センターすてっぷぐんま」を視察し、池田市議も参加しました。

 

2022年度から県の委託を受けている「すてっぷぐんま」は、現在、常勤・非常勤スタッフ含めて、20人体制。「犯罪被害者支援」「性被害者支援」「インターネット上の誹謗中傷相談窓口」の3つがおもな事業で、誹謗中傷について、メールや電話で相談を受けつけています。これまでの相談件数は、電話370件、メール513件、面談38件。圧倒的にX(旧Twitter)でのトラブルが多く、名誉棄損やネットいじめ、プライバシー侵害などの相談に対して、弁護士や警察、教育委員会と連携しながら対応してきたお話をうかがいました。

 

施設内には、ガラス張りの電話ブースも設置されています。1件の相談につき2人体制で対応することで相談員が複数で相談にあたり、専門知識を補完したり、研修につながっているとのことでした。

 

池田市議は「理念条例で終わらせてしまうのではなく、相談窓口をつくり、広くお知らせすること。相談が増えてもそれは成果ではなく、インターネット上での誹謗中傷が減少するよう、どうインターネットリテラシーを向上していくか。さいたま市民のためになる条例づくりにむけてとりくむ」と話しました。

先行自治体の千葉市を視察 放課後子ども居場所事業の課題は?

市役所の職員から話を聞く(左から2人目から)久保市議、金子市議

「さいたま市放課後子ども居場所事業」は、来年度から4校でのモデル事業がスタートします。先行自治体の実態把握のため、11月2日、久保みき、金子あきよの両市議が、千葉市役所を訪れ、担当職員から話を聞きました。

 

もともと千葉市では全小学校内に公設民営の「子どもルーム(放課後児童クラブ)」が設置されていましたが、2017年以降、「旧放課後子ども教室(さいたま市のチャレンジスクールに相当)」と「子どもルーム」の一体化によるアフタースクール整備がすすめられています。アフタースクールは2023年4月時点で107校中34校に設置。2030年までに約9割の学校への整備が計画されています。登録児童数は全学年では3〜4割、1年生に限定すると6割〜7割です。その結果、「子どもルーム」の待機児童数は2018年の638人から2023年の71人へと大幅に減少しました。

 

計画的な移行がすすめられているようですが、アフタースクールと学校との連携が課題です。「学校教職員の負担がまったくないと言ったら嘘になる。負担を最小限にとどめるための配慮が大事」(生涯学習振興課長)として、施設使用に際してのルールや責任の所在、連絡調整の方法などについての「運営マニュアル」を紹介されました。また、整備が急速に進むことで人材確保が困難になることも予想されています。そのなかで長年かけて培われてきた「子どもルーム」の実績や保育内容のよさをどう残すか、ということも課題となっています。

 

視察を終えた金子市議は「全校に公設の『子どもルーム』がある千葉市と、放課後児童クラブの4分の3を民設に頼っている本市とでは、一体化事業への移行の条件が大きく異なる。視察によって、本市の計画の拙速さをあらためて感じた。一体化事業のなかでプログラムを運営するには、民間事業者のノウハウが必要になる実態も分かった。子どもの気持ちが大切にされているのか、利用者の経済的負担が大きくならないか、なども懸念される。今後、議会でこうした点を追及していきたい」と話しました。

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