不登校の子どもが安心して回復できる場所 高根沢町「ひよこの家」を視察
築100年を超える古民家を活用した教育支援センター「フリースペースひよこの家」
5月19日、とばめぐみ、池田めぐみの両市議が、栃木県高根沢町にある不登校児童生徒のための教育支援センター「フリースペースひよこの家」を視察しました。
高根沢町は宇都宮市に隣接しており、「ひよこの家」は周囲に田んぼが広がる、築100年を超える古民家を活用した町営施設です。囲炉裏や薪ストーブ、多目的ルーム、楽器、卓球台、ボードゲームなどが置かれています。フリースペースの場所は「学校が嫌になった子どもが、学校教育関係者と顔を合わせる場所には来たくないだろう」という配慮のもと、子どもの立場に立って探したということでした。風が通り抜け、木のぬくもりが感じられ、ほっと一息つける空間です。
学校復帰を目的としない
「ひよこの家」の最大の特徴は、「表面的な学校復帰を目的にしない」という理念を、24年前の開設当初から掲げていることです。担当者は「学校に戻ることを無理に目標にはしていない。まずは傷ついた心を休め、エネルギーを回復し、自分らしさを取り戻すことを大切にしている」と説明しました。もちろん、子ども自身が学校に戻りたいと望めば応援し、必要に応じてスタッフが登校に付き添うこともあります。貫かれているのは、学校に行けなくなった子どもたちに徹底して寄り添う姿勢でした。
「ひよこの家」には、決まった時間割や一律のプログラムはありません。いつ来ていつ帰るか、どのように過ごすか、本人の気持ちを尊重しながら決めていきます。学習したい子には学習支援を、遊びたい子とはスタッフが一緒に遊びます。なにもしたくない子には無理に活動への参加を求めない、「待つ支援」が貫かれています。また、子どもたちは学校に籍を置いたまま通うことができ、学校との連携もていねいにおこなわれています。学校と「ひよこの家」を併用している子どもがほとんどで、本人にあった通い方を選べるしくみになっています。
学校と同じメニューの給食を提供
さらに昼食には学校と同じメニューの給食が提供されています。給食を導入するにあたって、衛生面など大変苦労されたようですが課題を克服し、毎日、学校給食センターから運ばれています。安易にお弁当持参としなかったのは「学校と同じ給食を食べることで、つながりを感じられ、安心感と所属感を得られるから」という理由で、ここにも深い配慮がうかがわれます。
運営を支えているのは、相談員や地域ボランティア、卒業生、地元企業など地域の人たちです。楽器の寄付や体験活動への協力など、地域ぐるみで子どもたちを支えています。町の職員が前面に立って管理するのではなく、子どもに寄り添うスタッフが中心となって運営している点も、大きな特徴です。
さいたま市でも不登校支援はとりくまれ、オンライン学習を中心とする不登校対策や、学びの多様化学校(不登校特例校)「いろどり学園」がこの春からスタートしています。しかし、6カ所ある「いろどり学園」の本校は市教育研究所の中にあり、その他の場所もすべて、教育相談室と同じ建物の中の一室です。「いろどり学園」に通うには在籍している学校を辞め、転校することが前提で、お弁当を持っていきます。くしくも「ひよこの家」とは真逆のしくみとなっており、さいたま市の子どもの心に届き、安心して休むことができるのか、懸念されます。
視察を通じて、「ひよこの家」は単なる学習の場ではなく、子どもが安心して休み、人と出会い、自分のペースで社会とのつながりを取り戻していくことを大切にしており、その結果、高校進学を含めてほぼ100%の子どもが学校復帰を選び取っているという実態を知ることができました。とば市議は「ここでは一人ひとりが主役。今回学んだことを、さいたま市の不登校支援の改善にしっかり生かしていきたい」と話しました。


