議会報告

2月議会*文教 六辻公民館にエレベーターがつかない?!

文教委員会で議案外質問をおこなう久保みき市議

 2 月18 日、2 月議会の文教委員会で、久保みき市議が議案外質問にたち、六辻公民館のエレベーター設置問題をとりあげました。

 

 さいたま市は入り口が2 階にある公民館にエレベーター設置を進めています。ところがその対象である六辻公民館(南区)でいよいよ来年度からエレベーター設置工事がおこなわれるかというときに、設置できないことが明らかになりました。

 

 久保市議の質疑に対し、市が2018 年に基本設計業務をおこなったところ、増築している箇所があることが分かり、建築基準法に基づく追加調査をして既存建物の柱や基礎等の補強が必要だということが判明したこと、現実的に基礎部分の補強というのは相当な金額がかかり、エレベーターの設置が不可能と説明しました。久保市議は六辻公民館の建て替えを強く求めました。また、今年度基本設計をおこなった大久保公民館においては順調に進んでいることを確認しました。

 

 サクラソウの保全については、サクラソウの芽吹きが見られたこと、予算が倍増したことで外来種のトウネズミモチの伐採が実現したことを確認しました。その他、知的障害特別支援学校の教室不足についても質問しました。

福祉・教育・地域経済を重点にしたさいたま市へ

総合振興計画(案)について「市の基本的計画の在り方検討特別委員会」で質疑をおこなう松村としお市議

総合振興計画(案)を特別委員会で議論

 

 さいたま市では「総合振興計画」という市の基本方向を定める文書にもとづいて市政がおこなわれています。

 

 現在の計画期間が2020 年度で終了するため、「市総合振興計画審議会」で次期10年の計画を議論してきました。昨年11 月、「次期総合振興計画(案)」が答申として市長に提出されたことを受け、12 月に議会として「市の基本的計画の在り方検討特別委員会」を立ち上げました。2 月14 日から本格的な議論がはじまり、党市議団から松村としお市議が質問をおこないました。

 

 この日は次期計画案の「第1部 計画の全体像」「第2 部 重点戦略」という総論的な部分が対象とされました。

 

 松村市議は「将来都市像」に「福祉・教育や地域経済活性化・市民所得の向上を書き込むべき」と求めました。市はいずれも次期計画案後半の個別施策の部分で触れていると答弁しましたが、松村市議は「将来の都市像として目指すべきところとして提起した」と重ねて求めました。

 

 

10 区均衡のとれたまちづくりこそ

 

 次期計画案には「将来都市構造の基本的な考え方」で引き続き「2 都心4 副都心」を「拠点」として位置付け、大型開発を続けることが盛り込まれています。

 

 松村市議が「合併以来6300 億円もの巨費を投じてきた都心開発だがどのような検証をしたのか」と質問したのに対し、市は「駅の乗降客数が増えている」としか答弁できませんでした。

 

 松村市議は「拠点開発と位置付けることで無制限の財政投入を正当化し、他の地域が置き去りになっている。10 区が均衡のとれた都市構造を目指すことを明記すべきだ」と主張しましたが、市は見直さない考えを示しました。

 

 2 月議会で引き続き議論を続け、特別委員会の意見をまとめる予定です。

2月議会代表質問*ジェンダー平等のさいたま市を実現するために

代表質問をおこなうとりうみ敏行市議

 ジェンダー(gender)とは、生物学的な性別(sex)に対して、「責任ある役職は男性がなるべき」「家事・育児は女性がやるもの」など、社会的・文化的につくられた性差のことを指します。

 

 2019 年、世界経済フォーラムが発表したジェンダーギャップ(不平等)指数で、日本は153 カ国中121 位となり、G7 ではダントツで最下位となりました。

 

 2 月13 日、2 月議会の本会議で、とりうみ敏行市議が代表質問にたち、個人の尊厳とジェンダー平等について質問しました。とりうみ市議は冒頭で、「声をあげた人を孤立させず、声をあげられずに苦しんでいる人たちの痛みを自分の痛みとして、ともにジェンダー平等社会を実現するために決意を込めて質問する」と表明しました。

 

とりうみ はじめに、行政ではたらく職員の男女雇用格差と賃金格差を是正することは非常に重要だが、本市の正規職員数と非正規職員数、それぞれに占める女性職員の割合は。また、賃金格差についてうかがう。

 

 正規職員は1 万4367 人、そのうち女性は6535 人で比率は45.5%。非正規職員は1 万624 人、そのうち女性は5773人で比率は54.3%。週5 日・1 日5 時間の臨時職員が約118 万円であるのに対し、大卒採用1 年目の常勤職員は約370 万円。保育士では勤続6 年未満のフルタイム勤務の臨時職員が約247 万円であるのに対し、短大卒採用1 年目の常勤職員は約343 万円。常勤職員と非常勤職員との間にある処遇格差をひとつひとつていねいに埋めていくことが意味を持つと考えている。

 

とりうみ 政策・意思決定の場への女性の登用について。行政職の課長職以上の人数と比率はどうなっているか。

 

 局長級が3 人(7.9%)、部長級が5 人(7.9%)、次長級が15 人(8.5%)、課長級が107 人(29.6%)。教職員は管理職総数359 人のうち55 人が女性で比率は15.3%。

 

 とりうみ市議は「政策・意思決定の場に女性がいなければ、女性の意思は反映されにくいまま。女性管理職を登用するために、いままで以上に努力してほしい」と求めました。

 

 

性暴力被害から女性を守れ

 

とりうみ 女性に対する性暴力も重大な問題だ。内閣府の調査では性暴力被害者の6割が「どこにも相談しなかった」と答え、苦しみを抱え込んでいる実態が示された。警察に相談した人はわずか3%。本市の相談および支援体制はどうなっているか。

 

 市民生活安全課のなかに犯罪被害者支援等総合対応窓口を設置している。

 

とりうみ その窓口への相談件数は。

 

 平成30 年と平成31 年はいずれもゼロ件。

 

 とりうみ市議は「性犯罪をなくす立場から、刑法の見直しについて国に意見をあげるべき」と求めましたが、市は「国の動向を注視する」との答弁でした。

 

 

 「全世代型社会保障」で福祉が削減

 

とりうみ 安倍政権がすすめる「全世代型社会保障改革」について。「市長は議会において『消費税は福祉の財源をしっかり確保するうえで必要な税源である』と答え続けてきた。しかし国の「検討会議」では、基礎年金の3 割削減、介護利用料の原則2割負担への引き上げと要介護1 と2 の生活援助の保険給付外し、国民健康保険税の法定外繰り入れに対するあらたなペナルティ導入、保育における公定価格の引き下げなど、一連の福祉削減が狙われている。市長の答弁と真逆のことがおこなわれようとしているではないか。

 

 消費税増税分は幼児教育・保育の無償化や保育士の確保などに使われる。また低所得者の介護保険料の軽減の財源にもなる。消費税が福祉の財源であるという認識は変わらない。

 

 とりうみ市議は「社会保障の財源に消費税をあてる国は日本以外にない。このような大改悪は中止するべきだ」と求めました。

 

 さらに、とりうみ市議は「高齢者の負担増は、高齢化した親の介護を担うことになる現役世代をも直撃する」として、南区で突然事業所を閉鎖したデイサービス事業「ハートランド浦和」(南区)の例をあげ、「全世代型社会保障」の改悪が市民に与える負担についても市の対応を求めました。

 

さいたま市議会インターネット議会中継 録画映像

https://saitama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1641

【質問通告】

1.全世代型社会保障改革について
(1)高齢者の暮らしについて
 ①高齢者の暮らしの実態をどう見るか
 ②現役世代も直撃する負担増等について
(2)全世代型社会保障改革と消費税について

2.個人の尊厳とジェンダー平等について
(1)公務労働現場でのジェンダー平等の実現について
 ①さいたま市職員の雇用格差と賃金格差について
 ②政策・意思決定の場への女性の登用について
(2)平等な人権の保障について
 ①性暴力被害者への支援の充実について
 ②個人の尊厳を守り「性別役割論」を乗り越える取り組みについて
 ③学校教育におけるジェンダー平等の推進について

3.まちづくりについて
(1)公共公益施設を入れる民間再開発事業と容積率について
(2)浦和駅西口南高砂地区再開発について

2月議会代表質問*新年度予算で市民負担軽減にとりくめ

代表質問をおこなう神田よしゆき市議

 2 月13 日、代表質問に神田よしゆき市議がたち、2020 年度予算案や保育・放課後児童クラブの待機児童解消など清水市長の政治姿勢についてただしました。

 

 2020 年度予算案は、一般会計及び特別会計合わせて8794 億円で過去最高となりましたが、代表質問に先立っておこなわれた議案質疑で、市民の平均給与所得は373 万3 千円と、ここ数年で初めて前年比マイナスとなり、市民のくらしも地域経済もかつてなく厳しい状況になっていることが明らかになりました。

 

神田 予算全体から市民のくらしの実態が見えてこない。市民負担減となった事業、また、負担増となった事業は。

 

 市民負担が減った事業として、新生児の聴覚検査費用の一部助成など2 事業。

 

神田 負担増については具体的に触れていない。来年度は国民健康保険税の引き上げや給食費の保護者負担引き上げなどが予定されているではないか。日本共産党の予算組み替え提案(表)こそ、市民の暮らしを支える予算。見解を。

 

 

 各種基金の大幅な取り崩しによる、福祉、医療、教育などの予算の上乗せや水道料金の引き下げは、長期的な継続が難しく、多くの課題を抱えている。

 

 神田市議は、「多額の基金の取り崩しが必要なのは、それだけ清水市政になって市民のくらしの負担を増やす政策が続けられてきたからだ。しっかりと市民のくらしの現状を見て、予算の中でも市民負担の軽減に取り組むべき」と求めました。

 

 

保育所入所2873 人が不承諾

 

 続いて神田市議は、認可保育所の待機児童解消の目標と計画について質しました。

 

 2019 年4 月時点での待機児童は393 人でした。市は、増え続ける保育需要に応えるため2020 年4 月開所の認可保育所を16 ヶ所新設し、1413 人分の定員を増やしましたが、認可保育所入所申し込み者数は9026 人にのぼり、承諾者が6153 人、不承諾者が2873人であることが明らかになりました。約3 人にひとりが、希望する認可保育所にはいれなかったことになります。

 

 2021 年4 月を目標に待機児童を解消する。来年度は28 施設の認可保育所等の新設で2083 人の定員増を図る。

 

神田 計画の前倒しで認可保育所の定数増を図ってきたが、保育士確保のための処遇改善に取り組んでこそ増設が図られるのでは。

 

 市は「(保育士の負担軽減のため)用務員等の配置補助を創る」と答弁しましたが、保育士の給与アップにつながる新たな処遇改善策はとられませんでした。保育士への処遇改善なしに施設整備を進めることはできません。

 

 

放課後児童クラブは1566 人不承諾

 

 次に、放課後児童クラブの待機児童対策について質問しました。市は、昨年1 年間で19 クラブを開設し、692 人の受け皿を整備しましたが、利用希望者は年々増え続け、待機児童数は392 人(2019 年4 月1 日)、2020年4 月入室の公立放課後児童クラブへの利用申込数は5342 人、不承諾数(一次選考)は1566 人にも上ります。

 

神田 市は民間学童保育の力で待機児童解消を図る計画だが、民間の運営はかつてなく厳しい状況。施設確保や運営面での補助の増額や、指導員を安定的に確保するための賃金の抜本的な引き上げができるよう国の制度なども最大限活用すべきだ。

 

 民間学童保育への支援拡充に努め、公設・民設クラブ間の利用料等の格差是正を目指す。より速やかな開設が可能な民設の整備をすすめる。

 

 神田市議は、「民間に頼るのであれば、それにふさわしい抜本的な運営費の補助が必要。同時に学童保育の整備は自治体に責任があり、市の責任放棄は許されない」と追及しましたが、市は国の制度の活用と、公共施設の活用を含めた整備をするとの答弁にとどまりました。

 

 そのほか、環境問題と北区のまちづくりについても質問しました。

 

さいたま市議会インターネット議会中継 録画映像

https://saitama-city.stream.jfit.co.jp/?tpl=play_vod&inquiry_id=1640

【質問通告】

1. 2020年度予算について
(1)市民のくらしをどうとらえているか
(2)福祉・教育の充実、市民負担軽減は図られているか
(3)開発優先のあり方の見直しについて
(4)行財政改革の見直し等について
(5)日本共産党さいたま市議団の予算組み換え提案についての見解

2.保育所の待機児童対策について
(1)昨年度の待機児童数及び2020年4月1日入所に関わる定数増、申込数、不承諾数等について
(2)待機児童解消をいつまでに図るのか及び保育所増設のために保育士給与の引き上げ等処遇改善をどう図っていくのか

3.放課後児童クラブの待機児童対策について
(1)2020年4月時点での放課後児童クラブの入所不承諾数及び待機児童解消をいつまでに図るのか
(2)学童保育の公民格差の是正と放課後児童クラブ増設に向けての考え方について

4.地球温暖化対策について
(1)「気候非常事態宣言」について
(2)温暖化対策の現状、温室効果ガスの削減目標と直近での削減量等について
(3)2020年以降の温室効果ガス実質ゼロを目指す削減目標と具体的対策等について

5.北区のまちづくりについて
(1)ニューシャトル駅のトイレ設置計画
(2)JR高崎線宮原3丁目踏切の拡幅について

2月議会の議案が明らかに 国民健康保険税また値上げ

さいたま市内のごみ焼却施設(市ホームページより)

 2 月議会にかかる議案が提案されました。市長提出議案は予算議案、条例議案などあわせて94 件です。

 

 そのなかで、国民健康保険税の値上げ議案が出されました。国民健康保険税は、①基礎課税額②後期高齢者支援金等課税額③介護納付金課税額の3 種類からなります。今回の値上げ案は表のとおりです。

 

 

 この議案が可決されれば4 年連続の値上げとなり、高すぎる国保税の引き下げを求めてきた党市議団としては到底認められません。今後、議案質疑などで問題点を明らかにしていきます。

 

サーマルエネルギーセンターに567 億円

 

 市内に4 カ所ある廃棄物処理施設のうち、西部環境センターおよび東部環境センターの2 施設を統廃合し、サーマルエネルギーセンターを新設するとして工事請負契約の議案が提出されました。建設費(5 年)と運営費(15年間)で567 億円になります。

 

 

 党市議団は、建設の際はシャフト炉式ガス化溶融炉方式ではなくストーカ炉方式を採用するよう求めてきましたが、市はストーカ炉方式を採用しました。今後、議会のなかで詳細を確認していきます。

 

■シャフト炉式ガス化溶融炉方式…1300 度以上の高温でごみを燃焼し、最後には灰ではなく「溶融スラグ・メタル」が残る。溶融スラグはアスファルトの原料になる。燃料にコークスを使うため、コークス代が高いこととCO2 を排出するという欠点がある。

 

■ストーカ炉方式…火格子を階段状に並べた燃焼装置。階段状の火格子が前後に動くことで、ごみと空気が効率的に接触でき、「ごみ」という不均質な性状なものでも安定して燃焼させることができる。

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