議会報告

9月議会*代表質問 新型コロナ対策 市立病院旧病棟の活用いそげ

9月議会本会議で代表質問をおこなう久保みき市議

 9 月8 日、9 月議会本会議の代表質問がおこなわれ、久保みき市議が登壇しました。はじめに、本市の新型コロナウイルス対策について質しました。

 

久保 今後の新型コロナ対策は、インフルエンザとの同時流行を想定し、PCR 検査等の拡充を図りながら医療体制を確保する必要がある。本市では、不足が予測される病床確保に向けて、市立病院旧病棟の活用が課題。先般、清水市長と大野県知事がこの件について懇談したとのことだが、どのようなやりとりだったのか。

副市長 感染の拡大など万が一の場合に備えて解体工事を当面のあいだ延期し、維持管理に努めていることを県に伝えた。旧病棟の活用については医療スタッフの確保など課題があるため、県と調整を図っていくことを確認した。

久保 冬の流行を前に対策が急がれる。今すぐ対応すべきではないのか。

 

副市長 新型コロナ患者の病床確保計画は県が作成しており、本市も含めて一元的に県内全域の入院調整をしている。今後も協力して対応する。

 

 

保育士給与の不当減額やめさせよ

 

久保 緊急事態宣言中も、保育所は開所が要請されながら、保護者には利用自粛が呼びかけられた。そのため保育士の出勤が減ったが、国は委託費を維持し、通常どおりの給与支払を求める通知も出した。ところが通知に従わず、保育士の給与を減額した保育所があり、私たちのもとに「賃金が減額されたままだ」「なんとかしてほしい」という相談が寄せられている。市として実態調査をおこなって公表するとともに、給与を減額した保育所に対してはその分の給与を保育士に支払うよう求めるべきと考えるが。

 

副市長 保育所への指導監査のなかで支払い状況を確認する。国の通知に則り、賃金の支払いが適切におこなわれるよう指導する。

 久保市議は、委託費の弾力運用(※)が逃げ道になっていることを指摘し、「国の通知に従わない保育所が続出していることを重く受け止め、弾力運用を見直すよう国に要望すべき」と強く求めました。

 

※委託費の弾力運用…私立認可保育所の運営費用をさす「委託費」の使途制限を規制緩和したもの。委託費は人件費・事業費・管理費で構成され、国の想定は人件費8 割、事業費と管理費はそれぞれ約1 割。2000 年以前は「人件費は人件費に」と使途制限があったが、国は株式会社の参入と同時に委託費の流用を可能にした。保育士の給与が低くなる一因になっている。

 

虐待をなくしたい

久保 私のもとに、高齢者の家族からの施設内での虐待相談が相次いでいる。「1 カ月近く入浴させてもらえないのに入浴加算は請求された」「薬をまちがえても事故報告がない」など、老後のくらしを支える頼みの綱として入所した施設で虐待が起きている実態がある。2018 年度は施設内での虐待通報が32 件あったが、潜在的にはもっと多いと担当課も認めていた。私は対策として、施設に対する抜き打ち訪問調査を提案した。その後の経過をうかがう。

副市長 訪問調査は一定の虐待抑止効果があると考えるが、施設数が多く、法令上、事業者が抜き打ちの訪問調査委に従う義務がない。施設の業務に過大な負担を課すのは避けるべきとの国の見解があり、実施は難しい。しかし虐待の疑いがあるとの通報を受けた場合は速やかに対応する。

 久保市議は、「埼玉県は『虐待禁止条例』を制定した。本市としても高齢者、障害者、児童、そして動物に対する虐待を包括的に禁止する条例を制定すべき」と主張しました。

 

実効性ある犯罪被害者支援条例に

久保 さいたま市議会は2020 年2 月議会で「犯罪被害者等支援条例の制定を求める決議」をあげた。私もずっと条例の制定を求めてきたので大変うれしく思う。市は「さいたま市犯罪被害者等支援条例(仮称)制定懇話会」を設置し開催したが、設置理由、委員の選出、位置づけをうかがう。

副市長 犯罪被害者等の支援に係る専門的な意見を聴取するため設置した。委員は弁護士や医師、国や県の職員、さいたま犯罪被害者援助センター職員等8 名。委員の意見は可能な限り反映させていきたい。

久保 犯罪被害に遭うと日常のくらしは壊され、精神的・肉体的な苦痛はもとより経済的にも大きな打撃を受ける。必要な治療や支援にかかる費用はすみやかに被害者のもとに行き渡ることが大事ではないか。

副市長 被害者が経済的に困窮してしまうことが多いことは承知している。支援金等のすみやかな支払い方法について検討したい。

 久保市議はほかに感震ブレーカーの補助対象を広げることや水害時の避難タワーの建設など、災害対策をとりあげ実現を求めました。

 

動画はこちら↓

さいたま市インターネット議会中継(代表質問・久保美樹市議)

 

9月議会*議案質疑 避難所の感染症対策が前進

本会議で議案質疑をおこなうとりうみ敏行市議

 9 月3 日、9 月議会本会議において議案に対する質疑がおこなわれ、党市議団からとりうみ敏行市議が登壇しました。市長が専決処分した予算議案を中心に、新型コロナ対策や消費喚起策について質しました。

とりうみ 避難所における感染症対策としてマスクとパーテーションの購入予算が計上されている。これまで避難所のスペースの問題などでパーテーションの備蓄は難しいと言っていたが、今回配備する避難所数および避難者数の見積もりをうかがう。

 ご指摘のとおり、各避難所の防災倉庫にはスペースの関係で備蓄することが難しい。そのため市内5 カ所の拠点備蓄倉庫に分散的に備蓄することとした。購入は1000 個を予定しているが、仕切板で2 つの部屋に仕切れる構造となっていることから最大2000 人の収容が可能。

 

医療機関を支える予算に

とりうみ 今回、コロナ感染症患者を受け入れる医療機関への補助金ということで5億1461 万円が計上されている。経営が危うくなっている医療機関もあるなかで、国へ支援を求めることなども含め、市の考え方をうかがう。

 市としても、経営状況が悪化している医療機関があることは認識している。これまで、病床確保に協力いただいた医療機関に対する病床数に応じた補助制度や、帰国者・接触者外来等に対し、設備整備に必要な費用に対する補助制度を整備してきた。あわせて継続的な医療の提供や経営安定化のために必要な財政支援を総務省や厚生労働省に求めている。

 

とりうみ PCR 検査数が増加したとのことだが、要因はどのように分析しているか。

 従来の行政が行う検査にくわえ、3 月4日から民間検査での検査が保険適用になったことから検査数が急増した。唾液によるPCR 検査が可能となり、さらに増えている。

とりうみ 検査体制の現状と見通しについてうかがう。

 8 月25 日現在、150 の医療機関で検査を実施している。1 日あたり600 件程度の検査が可能で、感染ピーク時に必要な数は足りている。

 

プレミアム付き商品券に19 億円超

とりうみ 新型コロナ禍の消費喚起策として、1 万円で1 万2000 円分の商品券が購入できる「さいたま応援プレミアム付き商品券」を販売するとのことだ。昨年もプレミアム付き商品券の販売をおこなったが、その際の実績と課題、および今回にどう生かされているのかをうかがう。

 昨年のプレミアム付き商品券事業は、消費税増税の影響が大きいと考えられる低所得者や乳幼児がいる子育て世帯に対して負担増の緩和を目的とした。販売冊数は77 万冊発行に対して30 万5348 冊、販売率は39.6%だった。換金状況は中小店が約27%、大型店が約73%で、4 分の3が大型店で利用された。経済効果は約15億2000 万円で一定程度の経済効果はあった。課題は中小店での利用が少なかったことと販売が進まなかったこと。これを踏まえ、今回はすべての加盟店で利用できる共通券とあわせ、中小店のみで利用できる専用券を設け、十分な周知活動を行い、加盟店を増やしていきたい。

 

市内宿泊補助に1.5 億円

とりうみ 市内の宿泊促進で経済活性化という目的で約1.5 億円の予算が専決処分されたが、Go To トラベルとの関連性は。また対象施設はどこか。

 経済団体との情報交換会や市長と有識者との対談において、飲食店、サービス業などの他にも宿泊業も大変厳しい状況であると認識したため、宿泊業を支援するための事業。Go To トラベルと併用できる。新型コロナの感染状況を注視しながら適切な時期に実施する。旅館業法の規定に基づき、市内41 施設が対象(風営法該当施設を除く)。

 

マイナンバーカードの普及は低調

 

とりうみ 戸籍住民基本台帳事務事業について、本市のマイナンバーカード普及数(3月時点・8 月時点)をうかがう。また、過去5 年間でシステム改修に使われた費用の総額をうかがう。

 マイナンバーカード普及枚数は3 月時点で19 万7715 枚、8 月時点で24 万7053 枚。過去5 年間でシステム改修に使われた費用の総額は約2 億1105 万円。

9月議会*議案紹介 新型コロナウイルス対策 安心安全を広げるために

 9 月議会に提出された議案は、新型コロナウイルス感染症対策の補正予算議案が中心となっています。市長によって専決処分(議会の議決の前に決定すること)された主な事業は表のとおりです。

 

 また、検査機器の購入などPCR 検査体制の強化に約3900 万円、今年度予定していた小・中・高校の修学旅行等の中止・延期により発生するキャンセル料など約9700 万円の保護者負担を公費負担に、宿泊促進として宿泊代金の割引に要する補助金1.5 億円、Web学習コンテンツ「スタディエッセンス」の操作性と利便性の向上のためのシステム構築に650 万円等の補正予算案が計上されました。

 

 党市議団は、新型コロナ対策として安心安全を広げるための予算となっているのか、また経済対策は適切か慎重に審議します。

 

コロナ禍ふまえた総合振興計画へ

 今議会では次期総合振興計画についても審査されます。党市議団としては、新型コロナウイルスそのものは数年で終息したとしても、経済へのダメージは大きく、影響は長期化すると考えています。そのなかで、次期総合振興計画はコロナ禍の前に作成されたものであり、今議会で議論されたものが実際に形になるのは数カ月先です。実施計画ではコロナ禍の影響を踏まえた内容とする立場で、議論に臨みます。

議会改革推進特別委員会*議会改革1歩1歩

 8 月26 日、議会改革推進特別委員会が開かれ、神田よしゆき、とばめぐみの両市議が出席しました。

 さいたま市議会棟内における通信環境の整備として、会議資料のペーパーレス化をすすめるため、電子化した会議資料の閲覧を可能にします。初期費用としてルーター設置に約300 万円、ランニングコストは年間約82 万円かかります。

 また、本会議場の映写資料の電子化も実現します。「質問中に示す資料が見づらい」という傍聴者の声がありましたが、現行のOHC(書画カメラ)にパソコンを接続し、電子データをスクリーンに映写できるようにするもので、9 月議会から試行実施されます。

 さらに、自然災害や新型コロナのような危機事案等の際に、行政と議会が協力するために、議会や議員の役割を規定する「議会基本条例の災害に関する規定」について検討が進められています。市民に分かりやすく開かれた議会となるよう、引き続き取りくみます。

さいたま国際芸術祭が中止

 さいたま市は、3 月~ 5 月に開催予定だったさいたま国際芸術祭の事実上の中止を決定しました。

 

 このイベントは、東京五輪の年に文化行事のビッグイベントとして計画され、テーマを「花/flower」とし、花の季節である春に、旧大宮区役所をメイン会場に開催される予定でした。経費は約5 億8000 万円で、ほとんどは支出済みです。開催延期(凍結)を決めた5 月におこなわれたオリンピック・パラリンピック競技大会支援特別委員会(久保みき市議が出席)では、延期により維持管理などに月額約200 万円、再開催にはさらに約5 ~ 6000 万円かかると報告されました。

 

 いつ収束するかわからないコロナ禍です。党市議団は「このまま多額の費用をかけて開催延期するより、思い切って中止の決断をすべき」と議会でも主張してきました。久保市議は「市は、自粛要請で停滞している市民の文化芸術活動に対し支援するとりくみが求められると表明した。以前から市内の芸術家への支援を求めてきたのでうれしく思う」と話しました。

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