政策と活動

視察

浦和大里小学校 室内プール利用開始

多くの市民や子どもたちに惜しまれながら、義務教育学校「武蔵浦和学園」建設計画のために解体されてしまった沼影市民プール。「1日も早く代替プールを!」と声が上がりました。この声に押されて市は、浦和大里小学校のプールを通年利用できる室内温水プールにして、教育活動で使わない日は市民に開放する計画を提案。この計画に沿って、浦和大里小学校のプールが改修され、8月1日から市民開放が始まりました。利用料金はこれまでと同額です。プールの底面は電動で深さを変えられる仕様。冬場の暖房や採暖室など、通年利用ができるよう設備がつくられています。施設は新しいですが、更衣室のロッカーやプールで使用する浮具などは沼影市民プールで使っていたものです。

 

今後、こうした学校プールの室内温水化と市民開放は拡大されていく方向です。プールの内覧会に参加した金子市議は「今後出てくる課題については利用者や子どもたちの声を聞いて改善していくことが大切だ」と話しました。

戦後80年 さいたま市の平和事業を前に

戦後80年の節目の年、6月議会では「終戦80年を契機に戦争や核兵器のない恒久平和の実現に向けて主導的役割を果たすことを求める意見書」が、全会一致で採択されました。

 

新年度は市の平和推進事業予算が993万円に増額され、市内中学生の広島平和学習派遣が実現しました。8月5~7日の2泊3日の日程で、10名の生徒が被爆80周年の広島平和祈念式に参加したほか、平和記念資料館や原爆ドームなど平和関連施設を見学、こども平和サミットや平和学習会に参加しました。昨年の文教委員会で池田めぐみ市議が提案した時には「費用や引率面で課題がある」という答弁でしたが、総務局の努力で実現し、竹居教育長も引率で参加しました。昨年に続き、広島平和祈念式に参列した池田市議は、「来年以降も継続するよう働きかけていきたい」と話しました。

 

また、8月3日の「平和祈念講演会」では、本市で初開催の「子ども平和フォトコンテスト」の表彰式があり、子どもたちが平和を感じた瞬間の写真も展示されました。妹と愛犬が寝ている瞬間を撮影した「お昼寝」という作品をはじめ、197作品の中から選ばれた、子どもたちの感性あふれる作品の数々に、会場は笑顔で包まれました。埼玉県原爆被害者協議会の佐伯博行さんの広島での被爆体験や、国境なき医師団の心理士、福島正樹さんが話すパレスチナの現状に、子どもたちも聞きいっていました。

 

さいたま市は2005年に「さいたま市平和都市宣言」をしたあと、2010年2月に平和首長会議に加盟しましたが、加盟後、市長は出席していませんでした。しかし8月9日、長崎で開催された「第11回平和首長会議被爆80周年記念総会」に市長が初めて出席、平和祈念式典にも参列されました。反核運動を促進する世界の地方自治体で構成する国際機構の加盟市長として、清水市長の平和推進の姿勢を、9月議会で池田市議が質問します。

コラム:金子あきよが現場を歩く「放課後子ども居場所事業」の実情

放課後子ども居場所事業の子どもたちが自分の荷物を入れています

現在13校でモデル実施の「放課後子ども居場所事業」。

 

8月7日、松村としお市議とともに大谷場東小学校(南区)と中尾小学校(緑区)に実態を見に行きました。

 

「定員なし」で子どもを受け入れる「居場所事業」は、短期の利用もできるので、夏休みになって登録児童が増え、大谷場東は187人、中尾は154人。従来の「専用室」とともに学校の家庭科室、会議室なども利用されていますが、大きな机が固定され、広いスペースがとれません。一定時間、ドリルなどの学習をした後は、室内ゲームや読書をして過ごしていました。夏休み中は猛暑のせいもあって外にもほとんど出られず、体を動かしての遊びはなかなかできないそうです。これまでの放課後児童クラブのような「活動」は保障されません。「ともかくケガなく、ケンカなく…それだけを考えています」とクラブ長さんの言葉。少しでも子どもの放課後にふさわしい環境とすることを求めていかなければ、と強く思いました。

「学校3部制」を視察 ~奈良県天理市~

 

人口減少・少子高齢化・財政難・施設の老朽化が進むなか、政府は2014年以降、全国の自治体に「公共施設等総合管理計画」の策定を求め、施設の総量縮減と長寿命化・効率化を促すとともに、PFI(民間資金活用)やPPP(官民連携)の活用も推進しています。小学校、中学校及び高校の統廃合が加速し、2002年以降、全国で約8580校が廃校となりました。

 

そうしたなか、党市議団は、奈良県天理市(人口約6万人・小学校9校・中学校4校)が学校の統廃合を避けるために導入した「学校3部制」に注目し、7月29日にとばめぐみ、金子あきよの両市議が視察しました。

 

この制度は、学校を統廃合しないことを掲げ、学校を地域の拠点と位置づけ、第1部「通常授業」、第2部「学童保育・アフタースクール」、第3部「公民館活動・多世代交流」の3部構成としたしくみです。2024年度から市内全小学校で全面導入し、2025年度には山の辺小学校・柳本小学校の老朽化校舎建替えで、3部制に対応した新校舎整備が開始される予定です。

 

学校教育を「第1部」に特化することで教員が授業に集中できる体制を整備し、過重労働の緩和をめざし、2024年度には教員退職・休職者数が激減したという成果も報告されました。

 

建替えは、設計・発注支援・プロポーザル支援などをコンサルティング会社に委託し、「従来の鉄筋コンクリートではなく、規格品、既製品での建設も視野に入れている」との説明でした。「統廃合回避、小学校を減らさない」「教職員の負担軽減」という効果に注目しましたが、残念ながら実態は、義務教育・学童保育・社会教育それぞれの専門性を軽視した「連携」「統合」であり、「公共施設面積の縮減」という大目標が最優先されていることがあきらかになりました。

 

とば市議は「子ども・教員・地域住民のねがいから出発していないことは残念だ。天理市は、コスト削減のための企業の提案について、地域住民に対して説明会を開いて説得してきた。学校を統廃合しないかわりに、公民館は学校に吸収され、平日昼間の活動は縮減されることになってしまった。得をするのはコンサル会社であり、公共政策や施設整備で何より重視すべき住民の最善の利益は二の次になっていた」と厳しく指摘しました。

特集:今かんがえる子どもの放課後 子どもたちが豊かに過ごす放課後とは

視察した市内の放課後児童クラブ

小学生の放課後の過ごし方は多種多様です。なかでも、保護者の就労などにより、下校しても家におとながいない子どもたちのために、安全で豊かな放課後を保障するための学童保育のニーズは高まっています。

 

これらは平成初期まで自治体や地域団体が運営し、名称も「学童保育」や「学童クラブ」などバラバラでしたが、1997年に児童福祉法が改正され、「放課後児童健全育成事業」として制度が整い、「放課後児童クラブ」という名称が、法律上の正式名称とされました。「学童」を「保育」をする場が「放課後」に「児童」が集まる「クラブ(共通の目的や趣味を持つ人々が集まる団体)」に置き換えられてきたわけです。さらに現在、本市がモデル事業を展開している「放課後子ども居場所事業」は子どもに居場所を提供する事業であり、学童を保育する場ではありません。

 

 

放課後子ども居場所事業の問題点は

 

党市議団はこれまでも「放課後子ども居場所事業」の実施そのものの問題点を指摘してきました。学童保育は「ただいま」と帰る場所であり、ここで過ごす時間は、遊びや生活を通して「豊かな体験や学び」「仲間や、信頼できる大人との人間関係づくり」を継続的に積み上げ、子どもの成長を促す時間です。放課後子ども居場所事業のように、日によって来る子どもが違い、来ても来なくてもよく、安全な居場所を提供すればいいというだけでは、豊かな人間関係はつくれません。

 

本市の放課後児童クラブの待機児童が多い問題は、放課後児童クラブと学童保育の充実で乗り越えるべきです。「放課後子ども居場所事業」への置き換えは、子どもの育ちにまったく配慮しない、問題のすり替えでしかありません。「放課後子ども居場所事業」が広がることで、結果的に、公設放課後児童クラブを廃止し、民設の学童保育・学童クラブに存続の不安を与えています。また、学童保育が「放課後子ども居場所事業がつまらない」と言って登録をやめた子どもの受け皿になっているケースもあります。

 

党市議団は、子どもたちに豊かな放課後を保障するために、本市が国の委託金や助成金のすべてを活用して放課後児童クラブと学童保育の充実をはかることを強く求めていきます。

 

 

公設放課後児童クラブを視察

 

 

党市議団に「放課後児童クラブに入室を希望したが入れなかった」「利用している放課後児童クラブの施設が狭すぎる」などの声が複数寄せられています。そこで実態を把握するために、6月4、5、6日の3日間、本太(浦和区)、大門(緑区)、大谷口(南区)の3クラブ室を池田めぐみ、松村としお、とばめぐみ、金子あきよの各市議が分担して視察しました。

 

それぞれのクラブ室では、子どもたちが机に向かって宿題をしたり、好きな本を読んだり、絵をかいたり、ゲームに興じていました。また校庭での自由遊び、室内でのドッジボールなど、弾けるように体を動かす子どもたちの姿があり、ここでの活動が楽しいものであることがうかがわれました。クラブ室では子どもたちは大好きなおやつを食べます。その様子は笑顔いっぱいでとてもうれしそう。当番活動、準備や後片づけなど多くのことを学ぶ機会でもあります。おやつは子どもたちにとって大切な「活動」であることがわかりました。

 

一方で、課題も見受けられました。どのクラブでも、入室の希望が定員を大幅に上回っているため、優先度の高い1年生の人数が圧倒的に多くなります。そのため、上の学年の子どもが下の学年の子どもと活動する機会が少なく、支援員が面倒を見ないといけない場面がほとんどです。これでは活動の内容を支援することに力を注ぐのがむずかしくなります。89人が入室している大門クラブでは、支援員が名簿を手にしながら子どもの点呼に追われている実態がありました。

 

視察した金子市議は、「保護者・市民から強く望まれている放課後児童クラブの拡充が必要。対策を求めたい」と話しました。

 

放課後子ども居場所事業で民設学童の運営が不安定に

 

 

5月25日、プラザウエストで、さいたま市学童保育連絡協議会の定期総会が開かれ、久保みき、とばめぐみ、池田めぐみの各市議が参加しました。冒頭、西栄一郎会長から、市連協が提出した「常勤職員2名以上配置した際の適用条件見直しを求める請願書」が2月議会で国に対する意見書として採択されたことについて感謝のあいさつがありました。

 

一方で、さいたま市の学童保育は、公設62カ所、民設263カ所(2025年4月現在)で、民設に依存してきた経緯がありますが、昨年度から「放課後子ども居場所事業」が始まったことで、民設学童への影響を心配する声が多く寄せられました。総会では、放課後子ども居場所事業がはじまった岸町小学校の民設学童クラブ「太陽の家」の指導員と保護者からそれぞれ発言があり、「専門性のある指導員がいるからこそ、貴重な体験ができる」「5、6年生がリーダーとして活躍し、異年齢のかかわりがあることで、子ども同士の育ちあいの場所になっている」など、居場所事業ではなく、あえて民設を選んでいる理由などが語られました。

 

また、鈴谷小学校区の民設放課後児童クラブ「シリウス」の保護者からは、居場所事業の影響で、児童数と委託金が減少した現状が報告されました。

 

総会では、各区の市議が区ごとに学童の保護者や指導員と話す機会が設けられ、池田市議は「子どもたちが安心して過ごせる第二の居場所として、放課後のあり方について現場の声を聞き、市議会に届けたい」と話しました。

ページトップへ