政策と活動

学習会・講演会

医療現場は命がけの奮闘

 11月24日、医療生協さいたまが主催し、救急専門医である守谷能和氏による講演会「医師が語る医療現場の奮闘と新型コロナウィルス最前線~保健医療行政の課題を学ぼう~」が開かれ、党市議団からとばめぐみ市議が参加しました。

 命を守る使命感に燃え、全力でコロナ患者や救急患者を受け入れてきた医療現場の実態や、死に物狂いで受け入れ先を探す保健所職員の姿が語られました。どんなにがんばっても、救急車からの連絡の半分は断らざるを得ないのが現状です。9月議会では保健所職員が1カ月253時間も残業していたことが明らかになりましたが、その保健所職員が、政府が全数把握をやめる方針を出すことに対して「感染経路が把握できなくなり、感染を抑え込むことができない」と反対したと言います。

 とば市議は、「医療従事者と保健所職員の命がけの奮闘で市民の命が守られている。みなさんの命と現場を守るため、議会でもとりあげていく」と決意を述べました。

持続可能で豊かな人間社会のために ~コミバス学習会ひらかれる~

講演する可児紀夫先生

 11月13日、党市議団は、可児紀夫先生(元国土交通省職員、愛知大学非常勤講師)を講師に、コミュニティバス(以下コミバス)の学習会「コミバスをもっと便利な市民の足に」を開催しました。会場いっぱいの参加者が、熱心に学習交流しました。

 

交通権と

クロスセクターベネフィット

 

 はじめに、可児先生から「交通権」という新しい人権の概念のお話がありました。交通権は、重度障がい者の「私も外出したい」という切実な思いから誕生した、憲法第22条、第25条、第13条などに関連する人権が集合した新しい人権です。1998年に交通権学会が提案した「交通権憲章」は、人間の夢と喜びを可能にする交通権の実現によって豊かな社会を形成できるとされています。

 また、「公共交通においては黒字、赤字の考え方は間違いで、クロスセクターベネフィットの考え方が重要」と強調されました。クロスセクターベネフィットとは、「ある部門でとられた行動(出費)が、他部門に利益(節約)をもたらす」という考え方です。つまり、公共交通の充実にかかる費用は、経済効果や医療費削減などさまざまな効果を生み出すということです。例えば名古屋市の敬老パス(65歳以上は公共交通利用が無料)は、316億円の経済効果をもたらしたという結果が出ています(2011年度)。

 

先進事例に学ぶ

 

 続いて、便利なコミバスをめざすための国内外の事例がいくつか紹介されました。たとえばアメリカのオレゴン州ポートランドは世界一住みやすいまちと言われ、中心市街地は歩行・自転車・公共交通が優先です。市内の広い区間で路面電車は無料で、車いすの障がい者も広い歩道を楽しそうに散策し、電動車いすを利用する障がい者でもすべてのバス、電車をひとりで利用できます。

 岐阜県岐阜市では「市民交通会議」を設置し、市民と行政が協同して交通政策を作り上げました。人口約42万人の岐阜市で、コミバスと乗合タクシーは現在20地区で運行し、路線バスと連携して全市域を網羅しています。料金は100円で、コミバスの利用者推移も年々増加しています。先進的な事例の紹介に、会場からはどよめきがあがる場面もありました。

 

さいたま市で実現するには

 

 そして、可児先生から「さいたま市でも前に進めるために、(仮)市民交通会議を開催すること。実際に乗ってみること。行政に勉強会や出前講座を実施してもらうこと。さまざまな考えや立場の講師を呼んで勉強会を開催することが大事」とのお話がありました。

 また、「コミバス等導入ガイドライン」については、住民組織をつくるところから行政はいっしょになってやっていくべきだとの指摘がありました。「交通手段は生活実態に寄り添う交通を選択することが大事。幹線的なところはコミバス、地域の小さい枠組みではデマンド交通。地域のバスをたくさん走らせ大手のバスを補完する。民間路線バスと協同して路線をひく。運行については、土日に運行するとまちが元気になるので、土日の運行は絶対に実施していくべき」と話されました。

 最後に、「交通は衣食住とともに人間社会を支え、持続可能な社会を形成する。人間社会を豊かに広げ、文化を育む。交通は人権です」と強調されました。

 学習会にとりくんだ久保みき市議は「党市議団はこれまで、コミバスはどこまで乗っても100円、土・日も運行、30分に一本の運行を求めて議会でとりあげてきたが、なかなか前に進まなかった。本市のコミバスの運行は、『コミバス等導入ガイドライン』に則って行われているが、今年度はガイドラインの改定の年。新規導入に課せられた収支率40%を撤廃し、料金や運行などを市民の願いに沿ったものに変えていきたい」と話しました。

 

浦和工業高校と大宮工業高校が統合?

交流会に参加するとば市議(左から2人目)

 埼玉県教育委員会は、老朽化や少子化による希望者の減少を理由に、2029年をめどに134ある県立高校を121~124に削減する計画を進めており、すでに第1期として児玉高校を児玉白楊高校に統合、飯能南高校を飯能高校に統合し、来春新校が開校します。

 7月14日には「魅力ある県立高校づくり第2期実施方策(案)」として12校を6校に再編整備すると発表し、本市では浦和工業高校と大宮工業高校の統合が発表されました。しかし、「魅力ある県立高校づくり」とは、県立高校を減らさないと実現できないのでしょうか。

 8月12日、日本共産党埼玉県議団が、広く県民を対象にして「県立高校統廃合問題交流会」を開催し、党市議団からとばめぐみ市議が出席しました。

 とば市議は「県は『学びの改革』と称して『産業構造の変化や激しい競争時代を生き抜くための学力の育成』『習熟度別指導や少人数指導、個別指導』をうたっている。少人数指導、個別指導というのであれば、1学級40人の学級編成を見直し、教職員を増やし、いきとどいた教育を実現してこそ、生徒が主役の魅力ある県立高校をつくることにつながる。市議会でもとりあげていきたい」と話しました。

シリーズ男女共同参画社会 vol.3 選挙結果から見るジェンダーギャップ

 さいたま市議会女性の活躍を推進する議員連絡会が開催した学習会の内容をお伝えする「シリーズ男女共同参画社会」、3回目は、政治分野における男女共同参画について、とばめぐみ市議の報告です。

 

**********

 

 参議院選挙が終わりました。2018年に「政治分野における男女共同参画推進法」(男女の候補者数をできるだけ等しくするよう政党に求める法)が施行後、2度目の参議院選挙でしたが、女性の当選者は35人(選挙区21人、比例代表14人)、当選者に占める比率は28%で、これはいずれも過去最高でした(非改選を合わせた新勢力では64人、25.8%)。

 一方で、世界経済フォーラム(WEF)が7月13日に発表した「ジェンダーギャップ指数2022」で日本は146カ国中116位。今回もG7(主要7カ国)で最下位、特に政治分野では139位と著しい遅れです。

 

 

意思決定の場に女性を増やせ

 

 

 世界に目を向けてみると、諸外国の国会議員に占める割合は、30年間で大幅に上昇しました。1988年、ノルウェーが世界ではじめてクオーター制を導入し、アイスランドも2010年に導入しました。

 フランスでは、2000年にパリテ法が制定されました。1997年にはフランス国民議会における女性議員の割合が10.9%と低く、現在の日本の状況と似ていましたが、パリテ法によって、政党に男女50%ずつ候補者を擁立するよう義務づけられました。

 また、オーストラリアでは、1994年に労働党が女性候補者の割合を35%にするクオーター制を取り入れ、2025年までに全体の女性候補者の比率を50%にすることを目指しています。

 

2025年までに35%?

 

 日本では、国会でも地方議会でも女性議員の割合は14%程度、さいたま市議会全体では20%(60人中12人)ですが、党市議団は7人中3人(43%)が女性です。

 政府は、第5次男女共同参画基本計画で、2025年までに衆参両院の選挙で女性候補者の比率を35%まで引き上げる目標を掲げています。しかし、2021年に内閣府が行った調査では、女性が立候補を断念した理由として「地元で生活するうえでプライバシーが確保されない」「通称(旧姓を含む)の使用ができず手続きが煩雑」「家事や育児との両立が難しい」「供託金が高い」などがあげられており、これらの課題についてあと数年で解決するめどはたっていないのが現状です。

 やはり政府の目標があまりにも遅れています。女性就業者の半分は非正規雇用、非正規雇用の7割は女性、男女の賃金格差が年間平均240万円という現実、家事や育児や介護等を女性が担っている割合が高いことなどが大きな壁となっている今、この壁を崩していくためにも女性の政治家が増えることが必要です。政党の努力義務にとどめず、政治の責任で意思決定の場に女性を増やすため、市民と共に実現を求めていきます。

見沼区宮ケ谷塔の自然を守れ

戦後すぐの航空写真(宮ケ谷塔・深作・小深作と深作沼)が示される

 5月22日、「食肉卸売市場・と畜場」と「道の駅」の建設予定地である見沼区宮ケ谷塔はどんな地域なのか、「宮ケ谷塔開発を考える会」が2度目の学習会を開催し、とばめぐみ市議が参加しました。

 埋蔵文化財研究者の小川岳人氏は「食肉卸売市場・と畜場」となる9万㎡の水田の下には江戸時代に作られた「ホッツケ(掘り付け)」と呼ばれる、沼や湖を新田開発する独特の水田形態が埋もれていることを紹介し、「この開発で水田が失われれば、水田と屋敷林が織り成す原風景はさいたま市から完全に喪失する」と述べました。芝浦工大名誉教授佐々木明男氏は、宮ケ谷塔に生息する絶滅危惧種・準絶滅危惧種の動植物を紹介し、この広大な水田と屋敷林で見事な生態系の循環が繰り返されていることを示しました。

 とば市議は「景観や環境を無視した開発行為が、気候危機を促進し、新型の感染症をうみ出してきた。開発にあたっては地元住民の暮らしと自然環境保全への配慮が欠かせない。議会でとりあげたい」と述べました。

ページトップへ