政策と活動

さいたま市新庁舎 当初の238億円から700億円超に大幅増

9月議会において、新庁舎整備基本設計の中間報告がなされました。2024年11月から開始された基本設計は2026年4月完成予定で進められていますが、事業費の大幅な増額が明らかとなりました。

2021年12月に策定した基本構想では約238億円と示された概算事業費。その後、基本計画段階(2023年)の400億円、基本設計中間段階(2025年)で700億円へと300億円増額され、さらに基本設計完了段階(2026年)では750億円から770億円に達する見込みです。

増額の内訳は、物価・労務単価上昇が135億円(54%)、設計の深度化が70億円(28%)、職員数増加等の与条件変化が45億円(18%)とされています。物価上昇は一定程度やむを得ないとしても、設計深度化による70億円の増額については、当初から十分な検討がなされていなかったことの証左です。また、新都心駅から新庁舎をつなぐデッキなど本当に必要なのか疑問が残る機能も計画に含まれており、事業費に転嫁されています。

日本共産党さいたま市議団は一貫して、市民利用が限定的である市庁舎は豪華絢爛なものではなく、簡素で最低限の機能を持った市庁舎とすることで費用を抑えるべき、市民の税金で建設される以上、見栄えよりも実用性と経済性を優先すべき、と主張してきました。一方で、党市議団が指摘し続けてきた行政職員の執務面積の狭さについて、今回の計画で1フロア増やして対応することが明らかになった点は評価できます。適切な執務環境は行政サービスの質に直結するため、この改善は重要な成果です。

市庁舎等整備検討特別委員会に所属しているたけこし連市議は「本市は、市庁舎以外にもさまざまなビッグプロジェクトを抱えている。決算特別委員会を通じて明らかになった、市債の発行でなんとか黒字にしているという現状を考えると、あらゆる開発事業について再検討が必要な状況だ」と話しました。

2026年度にむけた予算要望を提出

予算要望書を提出

10月1日、党市議団は清水勇人市長に対し、2026年度に向けた予算要望を提出しました。全部で520項目です。重点テーマとして物価高騰対策、気候変動対策およびジェンダー平等実現のための対策を特出しで要望。物価高騰対策として、すべての市民を対象にした水道料金の引き下げをおこなうこと、市内小規模企業者等へ支援金を支給すること、肥料・資材高騰に対応した農業者への営農支援の補助を行うこと、そして小中学校および市立特別支援学校の給食費を無償にすることを求めました。

気候変動対策として、小学校体育館をはじめとする学校施設のエアコン設置が100%となるよう、計画を前倒して一気に進めること、エアコンの効きをよくするためにも学校施設の最上階の天井や窓の断熱改修を急ぐこと、小中学校の給食調理室にエアコンを設置すること、小中学校の屋外テントやプールの遮熱対策、ミストシャワーの設置など、熱中症対策をおこなうこと、訪問系介護サービス事業所に対して、暑さ対策の物品の購入費補助をおこなうこと、障害福祉分野の訪問系事業所や、介護保険事業をおこなっていない訪問看護ステーションも支援の対象とすること、市内のバス停で日よけがないバス停に屋根をつけること、市営球場のスタンドへの暑さ対策を検討すること、そして公共施設の故障したエアコンを早急に修繕することを求めました。

またジェンダー平等実現のための対策として、市のすべての施策にジェンダー平等をとりいれ、女性中心の組織をつくり、推進体制を抜本的に強めること、各種審議会・委員会・協議会・政策立案部門の半数を女性の委員とするため積極的に女性を登用し、女性の地位向上を図り社会参画の場を拡大すること、女性管理職を拡大するため、女性市職員及び女性教職員の幹部養成と、女性幹部職員登用の比率を国が示している30%を上回る目標をもってとりくむことなどを求めました。

対応した清水市長は、「みなさんからの要望はしっかり受け止め、予算編成にいかしていく」と応じました。

 

浦和大里小学校 室内プール利用開始

多くの市民や子どもたちに惜しまれながら、義務教育学校「武蔵浦和学園」建設計画のために解体されてしまった沼影市民プール。「1日も早く代替プールを!」と声が上がりました。この声に押されて市は、浦和大里小学校のプールを通年利用できる室内温水プールにして、教育活動で使わない日は市民に開放する計画を提案。この計画に沿って、浦和大里小学校のプールが改修され、8月1日から市民開放が始まりました。利用料金はこれまでと同額です。プールの底面は電動で深さを変えられる仕様。冬場の暖房や採暖室など、通年利用ができるよう設備がつくられています。施設は新しいですが、更衣室のロッカーやプールで使用する浮具などは沼影市民プールで使っていたものです。

 

今後、こうした学校プールの室内温水化と市民開放は拡大されていく方向です。プールの内覧会に参加した金子市議は「今後出てくる課題については利用者や子どもたちの声を聞いて改善していくことが大切だ」と話しました。

戦後80年 さいたま市の平和事業を前に

戦後80年の節目の年、6月議会では「終戦80年を契機に戦争や核兵器のない恒久平和の実現に向けて主導的役割を果たすことを求める意見書」が、全会一致で採択されました。

 

新年度は市の平和推進事業予算が993万円に増額され、市内中学生の広島平和学習派遣が実現しました。8月5~7日の2泊3日の日程で、10名の生徒が被爆80周年の広島平和祈念式に参加したほか、平和記念資料館や原爆ドームなど平和関連施設を見学、こども平和サミットや平和学習会に参加しました。昨年の文教委員会で池田めぐみ市議が提案した時には「費用や引率面で課題がある」という答弁でしたが、総務局の努力で実現し、竹居教育長も引率で参加しました。昨年に続き、広島平和祈念式に参列した池田市議は、「来年以降も継続するよう働きかけていきたい」と話しました。

 

また、8月3日の「平和祈念講演会」では、本市で初開催の「子ども平和フォトコンテスト」の表彰式があり、子どもたちが平和を感じた瞬間の写真も展示されました。妹と愛犬が寝ている瞬間を撮影した「お昼寝」という作品をはじめ、197作品の中から選ばれた、子どもたちの感性あふれる作品の数々に、会場は笑顔で包まれました。埼玉県原爆被害者協議会の佐伯博行さんの広島での被爆体験や、国境なき医師団の心理士、福島正樹さんが話すパレスチナの現状に、子どもたちも聞きいっていました。

 

さいたま市は2005年に「さいたま市平和都市宣言」をしたあと、2010年2月に平和首長会議に加盟しましたが、加盟後、市長は出席していませんでした。しかし8月9日、長崎で開催された「第11回平和首長会議被爆80周年記念総会」に市長が初めて出席、平和祈念式典にも参列されました。反核運動を促進する世界の地方自治体で構成する国際機構の加盟市長として、清水市長の平和推進の姿勢を、9月議会で池田市議が質問します。

暑さ対策の申し入れをしました

福祉局長(左)に申し入れをおこなう市議団

2025年8月29日、さいたま市に対して「危険な暑さから市民の命を守るための申し入れ」をおこないました。

内容は以下の通りです。

 

さいたま市長 清水 勇人 殿

さいたま市教育委員会教育長 竹居 秀子 殿

 

危険な暑さから市民の命を守るための申し入れ

 

日本共産党さいたま市議団 団長 松村 敏夫

 

命の危険を感じる暑さが続いています。全国で、熱中症による救急搬送人員は84.521名(8月24日・消防庁速報値)となりました。埼玉県でも5,000名以上が救急搬送されており、そのうち65歳以上が半数を占め、発症場所は約4割が屋内となっています。熱中症警戒アラートが連発され、気候変動の影響が広がっています。

エアコンはもはや、贅沢品ではなく生活必需品となりました。人が我慢できる暑さの限界はすでに超えており、エアコンがない、または適切に使用されていないことによる屋内での熱中症の発症が増えていることへの対策が早急に求められます。

災害時には避難所となる小学校体育館などのエアコンの整備も、命を守るために欠かせません。子どもたちを守るためにも、体育館へのエアコン整備をはじめとする暑さ対策が急務です。

福祉や医療分野で働く人の暑さ対策も重要です。例えば東京都は、今年度から独自に、訪問系介護サービス事業所に対して暑さ対策の物品の購入費補助を行っています。本市でも同様の対策が求められています。また、障害福祉分野の訪問系事業所や、介護保険事業を行っていない訪問看護ステーションも対象とすべきです。

乳幼児は地面との距離が近いため、輻射熱による熱中症にかかる危険が高いと言われています。幼稚園や保育園などに通う子どもたちへの対策も必要です。

よって日本共産党さいたま市議団は、以下の事項を緊急に行うよう強く求めます。

 

 

  1. 高齢者、障がい者、生活保護受給者等でエアコンの新規設置や買い替えが必要な方に対し、省エネエアコンを自己負担なく購入・設置できるようにするための助成を行うこと。
  2. 生活保護受給者など支援を必要とする方に対し、電気料金の心配なくエアコンを使用できるようにするため、夏季加算を支給するなど経済的支援を行うこと。
  3. 小学校体育館をはじめとする学校施設のエアコン設置が100%となるよう、計画を前倒しで一気に進めるとともに、故障などにも早急に対応すること。また、雨漏りがあるためにエアコンが設置できない体育館について、早急に雨漏り改修を行うこと。
  4. エアコンの効きをよくするためにも、学校施設の最上階の天井や窓の断熱改修を、改築や大規模改修を待つことなく早急に行うこと。
  5. 小中学校の給食調理室にエアコンを設置すること。
  6. 小中学校の屋外テントやプールの遮熱対策、ミストシャワーの設置、暑さ指数計の購入など、熱中症対策を行うこと。
  7. 訪問系介護サービス事業所に対して、暑さ対策の物品の購入費補助を行うこと。障害福祉分野の訪問系事業所や、介護保険事業を行っていない訪問看護ステーションも支援の対象とすること。
  8. 幼稚園や保育園が園庭に日陰を作るための、タープ購入の補助を行うこと。
  9. 市内のバス停で日よけがないバス停に、屋根をつけること。
  10. 市営球場において、来年の高校野球予選に間に合うよう、スタンドへの暑さ対策を検討すること。

以上

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