政策と活動

鳩山町と鴻巣市を視察 公共交通の充実を本市でも

鳩山町のバス(HPより)

党市議団は、昨年11 月「コミバスをもっと便利な市民の足に」と題して学習会を開催し、「交通権」という新しい人権について学びました。今、公共交通の充実を求める市民の声はさらに大きくなっています。

5 月26 日、埼玉自治体問題研究所がおこなった「幸福度の高い鳩山町のデマンドタクシー」と「県内で最も利用者の多い鴻巣市のコミュニティバス」の視察に、久保みき、金子あきよ、とばめぐみの各市議が参加しました。
「街の幸福度ランキング」全国版のうち、住民の幸福度ランキングで2 年連続ナンバーワンの鳩山町は、高齢化が進み、鉄道の駅もなく、陸の孤島と呼ばれる町。「健康寿命を延ばすには、生きがいを持って生活するための社会参加が大切。介護費用の抑制にもつながる」という考えから、免許返納後も外出しやすい交通政策にとりくんできたことが町民全体の暮らしを支え、幸福度を高めています。デマンドタクシーのコストは約4000 万円で一般会計の約0.7%です。

 

コミバスが縦横に走る鴻巣市

 

続いて視察した鴻巣市では、コミュニティバス(以下、コミバス)が市内8 コースで走り、土日も運行、平日は朝6 時台から夜10 時近くまで走っています。鴻巣市民の外出時の交通手段のトップがコミバス。県内でもっともコミバスの利用割合が高いのもうなずけます。全域200 円で、免許返納者や65 歳以上は100 円、未就学児・80 歳以上・障がい者や妊婦とその介助者は無料です。コミバス路線を補完するデマンド交通も実施されています。
とば市議は「どちらの自治体も住民の願い実現のために知恵を絞り、工夫を凝らして生まれた政策。住民の役に立っていることを確信に生き生きと報告する職員が印象的。本市でも実現したい」と述べました。

義務教育学校 武蔵浦和学園建設 計画推進は許されない

説明会に参加する金子市議(右端)

これまで何度かとりあげてきた、南区武蔵浦和駅周辺地域に「義務教育学校」を建設する計画。沼影市民プールを廃止して3700 人の学校を作る、校舎は3 つに分けて、そのうちの2 校舎に1 ~ 4 年生のみが通うようにするという、想像しがたい計画です。あらためて問題点をまとめます。

 

武蔵浦和には新たな学校が必要

 

武蔵浦和駅周辺は再開発が進み人口が増え、周辺の小・中学校の多くが大規模校、過大規模校です。今後もこの過密状態は解消されず、小学校1 校の建設が必要となる規模の学級数の増加が見込まれます。しかし、武蔵浦和駅周辺地区では「用地取得が困難」だとして「市有地の活用の方向」が打ち出されました。一方で、なぜ義務教育学校でなければならないのか、説明はありません。

 

義務教育学校とは

 

小1 ~中3 までの9 年間が一体的に運営され、1 ~6年の前期課程と7 ~9年の後期課程に分かれます。子どもが3700 人でも校長はひとり、教育目標も同じ、教育活動は他の小・中学校と同じく学習指導要領に基づいておこなわれます。また、大規模でもきめ細かで効果的な指導を実現するという名目で「ユニット制」を導入し、アットホームな学校をつくるとしています。浦和大里校舎と内谷校舎に1 ~ 4 年のユニットをひとつずつ、沼影校舎には5 ~ 9年のユニットを3 つ作る計画です。基本的にはそれぞれのユニットで教育活動がおこなわれます。

 

計画の無謀さと不十分さが浮きぼりに

 

こうした計画にはこれまでも市民から多くの批判や疑問の声がありました。5 月24 ~ 28日にかけて4 回(1 回はオンライン開催)の説明会が実施されましたが、前回(2022 年11 月)の説明会で「検討中」と回答されたことのその後の検討結果がまったく見られない、義務教育学校の「メリット」は列記されているのに「デメリット」とそれへの対応策が記載されていないなど説明会としての基本点についての指摘とともに、参加者それぞれの立場から率直な質問が出されました。

 

保護者 大規模校になるのは不安。きめ細かな対応をするというが、それなら少人数学級にする、1 クラスの先生の数を増やすといった対応がされるのか。
教育委員会 学級定数や教員配置は通常校と同じ。

 

現職教員 1 年生から4 年生しかいない学校では通常校のような教育活動はできない。6年生が担っているリーダーの役割を4 年生に押しつけるのか。
教育委員会 今の子どもは成長発達が早く、文科省の資料でも2 年ほど早まっていることが示されている。
現職教員 加速化しているのは身体的な成長で、心の発達がそれに追いつかないのが今の子どもの実態だ。

 

プール利用者 代替案は室内プールのみ。レジャープールや50M プール、アイススケート場はどうなる。浦和大里小学校への室内プール建設計画にも安全面や運用面で疑問がある。
都市公園課 レジャープールのあり方そのものを検討している。今夏には結論を出し、パブリックコメントをとりたい。

 

この3 年間、義務教育学校の問題にとりくんできた金子あきよ市議は、「今回の説明会ではオンラインも含めて、たくさんの質問や意見が寄せられた。これらの声に真剣に応えるとすれば、計画は断念してプールを存続し、新しく適正規模の学校をつくることこそ求められている。今後も計画の内容を広く市民に知らせながら、粘り強くとりくみたい」と話しました。

与野中央公園に5000人収容のアリーナ建設?!

アリーナ建設予定地の与野中央公園

さいたま市が(仮称)次世代型スポーツ施設基本計画を公表しました。この計画は与野中央公園(新中里4-7-2)に5000人を収容できるメインアリーナと中央区役所周辺の公共施設再編計画によって取り壊される与野体育館の代替施設としてサブアリーナを合わせて建設する計画となっています。住民への十分な説明もないまま、この計画を進めていいのでしょうか。主要な論点を紹介します。

 

くさはら広場の面積が8分の1に減少

 

与野中央公園の全体敷地面積は8万1000㎡ですが「次世代型スポーツ施設建設」により、残されるくさはら広場の面積1万4000㎡となり、残りは原則、コンクリート舗装となります。敷地面積に対してメインアリーナが巨大すぎるのではないでしょうか。

 

当初のイメージからかけ離れてしまう

 

もともと、与野中央公園の在り方は旧与野市時代から市議会で議論されており、中央公園基本計画(昭和63年)や与野中央公園基本計画(平成5年)では「みどりと水辺が豊かな居心地の良い空間を創造する公園」とのイメージが示されています。
アリーナ建設はこの当初のイメージからかけ離れてしまうのではないでしょうか。

 

アリーナは誰のための施設?

 

メインアリーナの想定利用シーンは「プロバスケットの試合、アイスショー、プロレス、ショーイベント、企業のコンベンション・展示会、大規模市民大会(パブリックコメント実施後に追加)」などが示されており、市民利用は限定的です。市民利用がメインでないハコモノに多額の税金を投入する正当性が問われます。

 

採算は取れるのか?

 

市が提出した資料によると、アリーナの建設費は約72億円、ランニングコストが約6億円で、収入に対して約1.3億円の年間赤字がでるとされています。市は、パブリックコメントへの回答で「黒字化できる」としていますが、根拠は示されていません。

 

誰がこの計画を主導したのか?

 

市は3月におこなわれた説明会で「誰がいつ決めた計画なのか」という質問に対して「令和3年度にスタートした総合振興計画で決めた」と回答しました。この計画はさいたま市の最上位計画で市長が取りまとめ、議会に了承を求める計画です(党市議団以外の全会派が賛成)。市民の要求に基づいた計画ではなく、事実上、「市長のトップダウンで決めた」と同義語です。

 

公園利用や周辺環境への影響は?

 

実際にアリーナができた際の公園利用や周辺の住環境への影響についても多数の懸念が寄せられています。例えばアリーナの高さは20mが想定されていますが、その北側にある「くさはら広場・遊具場」は今でも休日になればたくさんの子どもや親子連れが利用しています。その場所の日当たりが悪くなることへの懸念です。

 

また5000人を収容するアリーナを建設するのに用意されている駐車場は200台のみでアリーナでイベントをおこなう土日や祝日などは、通常の公園利用者とイベント参加者で駐車場を取り合うことになり、市民利用に大きな影響が出ることも想定されます。

 

周辺の住環境への影響も当然、指摘されています。例えば、与野中央公園のゾーニングイメージによると駐車場の出入り口は1カ所しか用意されておらず、渋滞を誘発しやすい構造になっています。公園が面する中央通りは大宮区桜木町から中央区大戸までを横断する主要道路で、中央区民の生活環境への多大な影響が予想されます。加えて、イベントをおこなう際の「騒音」への対策など、市民への説明が必要な論点を挙げれば、キリがありません。

 

中央区選出のたけこし連市議は「中央区には、埼玉県が誇るさいたまスーパーアリーナがあり、与野中央公園に建設されようとしているアリーナと利用想定が重なっている。地元の市民は与野市時代から緑と水が豊かな公園になることを期待していたにもかかわらず、この計画変更は唐突すぎる。市の問題点として、市民のためではないハコモノ建設に多額の税金を投入することを指摘したが、まさにその典型例だ。市議団としてアリーナはつくるべきではないと主張し、市民が誇れる公園にしていきたい」と話しました。

自転車用ヘルメット 購入費用補助を求める

さいたま市生活安全課長に要望書を提出

道路交通法の 一部改正により、本年4月1日から自転車のヘルメット着用が努力義務となりました。自転車事故でヘルメットを着用していない場合の死亡率は、着用している場合の約2.2倍と言われ、ヘルメット着用の推進が望まれます。一方、市議団には物価高騰のなかで暮らしの負担感の大きい子育て世帯、年金生活世帯から、購入費用の補助を求める要望が寄せられています。

 

こうしたなか、5月22日、市議団は自転車用ヘルメット購入補助制度を求める要望書を提出。蕨市などの購入補助制度や、自転車通学の中学生に対しヘルメット購入費用が就学援助の支給費目としている事例があることを踏まえて、さいたま市としても①自転車用ヘルメットの購入費補助②就学援助の支給費目に自転車通学をする中学生のヘルメット購入費用を対象とすることに早急に取り組むよう要望しました。

 

市からもヘルメットの着用促進は必要なことだという認識が示されました。引き続き団として、議会のなかでも実現を求めていきます。

議員の個人情報も守りながら

議長(左から3人目)に申し入れる

5月12日、議長に対し、党市議団として「さいたま市議会ホームページにおける議員の個人情報に関する申し入れ」をおこないました。

 

5月臨時会後の議会広報編集委員会において、広報誌「ロクマル」臨時号で議員60人の住所と電話が公開されることについての問題提起がありました。議員は公人であり、市民にとって身近な存在であることは大前提ですが、連絡方法は多様化しています。市議会として15人の新人を迎え、無所属や女性、事務所を持たない議員も増えるなか、広報誌やホームページで、広く自宅住所などが公開されることに、危機感を覚える議員もいます。他政令市を見ると、掲載範囲はさまざまです。

 

申し入れでは①住所と電話の公開は、自宅、事務所のほか、議員控室も可とするなど選択肢を広げること②メールやホームページなど新たな掲載項目も検討すること③これらの課題解決までの一時的な非公開を申し入れました。会派代表者会議では「現状のままで」という意見もありましたが、協議継続となりました。

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