政策と活動

医療現場は命がけの奮闘

 11月24日、医療生協さいたまが主催し、救急専門医である守谷能和氏による講演会「医師が語る医療現場の奮闘と新型コロナウィルス最前線~保健医療行政の課題を学ぼう~」が開かれ、党市議団からとばめぐみ市議が参加しました。

 命を守る使命感に燃え、全力でコロナ患者や救急患者を受け入れてきた医療現場の実態や、死に物狂いで受け入れ先を探す保健所職員の姿が語られました。どんなにがんばっても、救急車からの連絡の半分は断らざるを得ないのが現状です。9月議会では保健所職員が1カ月253時間も残業していたことが明らかになりましたが、その保健所職員が、政府が全数把握をやめる方針を出すことに対して「感染経路が把握できなくなり、感染を抑え込むことができない」と反対したと言います。

 とば市議は、「医療従事者と保健所職員の命がけの奮闘で市民の命が守られている。みなさんの命と現場を守るため、議会でもとりあげていく」と決意を述べました。

市民のねがいを国へ届ける

 11月18日、日本共産党国会議員団埼玉事務所が主催する来年度の国の予算編成に対する要望行動が参議院会館で行われ、党市議団から松村としお、とばめぐみ、たけこし連、金子あきよの各市議が参加しました。

 

 要望項目について関係省庁から回答を受けたあと、個別の項目についてそれぞれの自治体の実態を伝えながら要望を行いました。

 松村市議は、「介護保険の利用者負担増が検討されているが、すでに利用料が高くて利用できない実態がある」と指摘。高齢者や介護現場の実態を踏まえて、保険料や利用料の負担増はやめるべきだと述べました。

 金子市議は少人数学級の実施を進めるうえで教職員の確保が大きな課題となっており、病休や産育休の補充もできていないさいたま市の実態を示して、教職員の確保のための国の制度的な支援を求めました。

 また、たけこし市議は高校へのタブレット端末配置について、市立高校の実態を示し「自治体によって保護者負担が生じているのは大きな問題。国が責任をもって財政的支援を行うことが必要ではないか」と指摘しました。

 各省庁からの説明や回答を参考に、来年度の予算審議に臨んでいきます。

持続可能で豊かな人間社会のために ~コミバス学習会ひらかれる~

講演する可児紀夫先生

 11月13日、党市議団は、可児紀夫先生(元国土交通省職員、愛知大学非常勤講師)を講師に、コミュニティバス(以下コミバス)の学習会「コミバスをもっと便利な市民の足に」を開催しました。会場いっぱいの参加者が、熱心に学習交流しました。

 

交通権と

クロスセクターベネフィット

 

 はじめに、可児先生から「交通権」という新しい人権の概念のお話がありました。交通権は、重度障がい者の「私も外出したい」という切実な思いから誕生した、憲法第22条、第25条、第13条などに関連する人権が集合した新しい人権です。1998年に交通権学会が提案した「交通権憲章」は、人間の夢と喜びを可能にする交通権の実現によって豊かな社会を形成できるとされています。

 また、「公共交通においては黒字、赤字の考え方は間違いで、クロスセクターベネフィットの考え方が重要」と強調されました。クロスセクターベネフィットとは、「ある部門でとられた行動(出費)が、他部門に利益(節約)をもたらす」という考え方です。つまり、公共交通の充実にかかる費用は、経済効果や医療費削減などさまざまな効果を生み出すということです。例えば名古屋市の敬老パス(65歳以上は公共交通利用が無料)は、316億円の経済効果をもたらしたという結果が出ています(2011年度)。

 

先進事例に学ぶ

 

 続いて、便利なコミバスをめざすための国内外の事例がいくつか紹介されました。たとえばアメリカのオレゴン州ポートランドは世界一住みやすいまちと言われ、中心市街地は歩行・自転車・公共交通が優先です。市内の広い区間で路面電車は無料で、車いすの障がい者も広い歩道を楽しそうに散策し、電動車いすを利用する障がい者でもすべてのバス、電車をひとりで利用できます。

 岐阜県岐阜市では「市民交通会議」を設置し、市民と行政が協同して交通政策を作り上げました。人口約42万人の岐阜市で、コミバスと乗合タクシーは現在20地区で運行し、路線バスと連携して全市域を網羅しています。料金は100円で、コミバスの利用者推移も年々増加しています。先進的な事例の紹介に、会場からはどよめきがあがる場面もありました。

 

さいたま市で実現するには

 

 そして、可児先生から「さいたま市でも前に進めるために、(仮)市民交通会議を開催すること。実際に乗ってみること。行政に勉強会や出前講座を実施してもらうこと。さまざまな考えや立場の講師を呼んで勉強会を開催することが大事」とのお話がありました。

 また、「コミバス等導入ガイドライン」については、住民組織をつくるところから行政はいっしょになってやっていくべきだとの指摘がありました。「交通手段は生活実態に寄り添う交通を選択することが大事。幹線的なところはコミバス、地域の小さい枠組みではデマンド交通。地域のバスをたくさん走らせ大手のバスを補完する。民間路線バスと協同して路線をひく。運行については、土日に運行するとまちが元気になるので、土日の運行は絶対に実施していくべき」と話されました。

 最後に、「交通は衣食住とともに人間社会を支え、持続可能な社会を形成する。人間社会を豊かに広げ、文化を育む。交通は人権です」と強調されました。

 学習会にとりくんだ久保みき市議は「党市議団はこれまで、コミバスはどこまで乗っても100円、土・日も運行、30分に一本の運行を求めて議会でとりあげてきたが、なかなか前に進まなかった。本市のコミバスの運行は、『コミバス等導入ガイドライン』に則って行われているが、今年度はガイドラインの改定の年。新規導入に課せられた収支率40%を撤廃し、料金や運行などを市民の願いに沿ったものに変えていきたい」と話しました。

 

さいたま市の少人数学級 1日も早く前進を ~教育委員会に要望~

市教育委員会と懇談する「会」のみなさんと(奥左から)金子・とりうみの両市議

 11月9日、「学びと健康を保障する少人数学級を求める会」が市教育委員会に、少人数学級の推進を求めて要望を行いました。とりうみ敏行、金子あきよ、とばめぐみの各市議が同席しました。

 

 国の施策により段階的に小学校の35人学級が進められています。さいたま市は政令市の中で1学級あたりの児童数・生徒数がもっとも多くなっており、少人数学級実現を「できるだけ早く」「中学校でも」との願いは切実です。1年ごとの段階的実施だと、今の4~6年生は一度も少人数学級にならないまま卒業を迎えてしまう、ぜひとも前倒しでの実施を、と参加者が強く訴えました。

 

 教育委員会からは「要望の内容は理解できる」としながら「少人数学級の実現は国の根幹となる基盤整備であると考えている。引き続き国に対して要望を行っていく」という、これまでも繰り返されてきた答弁内容にとどまる発言がされただけでした。

 

 金子市議は「これまで会のみなさんが毎年取り組んできた署名などの力で少しずつ国の制度が変わってきた。今後の議会でも少人数学級の前進のため力を尽くしていきたい」と話しました。

高齢者の交通権を守るために ~まちづくり委員会視察~

堺市役所前で(堺市は世界遺産の百舌鳥・古市古墳群が有名)

 10月31日と11月1日、久保みき市議がまちづくり委員会の行政視察で岡山市と堺市に行き、交通政策について学びました。

 堺市の「お出かけ応援制度」は、65歳以上の方はバス、乗合いタクシー、阪境電車を、専用の「おでかけ応援カード」を使うと100円で利用できる制度です。コロナ禍の2020年10月から12月は、国の地方創生臨時交付金を活用して無償化も実施しました。この事業は、2004年に高齢者の社会参加を目的に、健康福祉局が5のつく日のみ、南海バスだけでスタートしていましたが、2013年に建築都市局が公共交通の利用促進を目的に事業化しました。初めは約1600万円の予算でしたが、今は約4億円の予算となっています。

 堺市の財政難は深刻で、昨年度、この事業が見直しの対象になり、対象年齢を65歳から70歳以上にする案が出されたものの、議会が否決する結果となりました。それだけ市民に必要とされている制度であることが分かります。

 そもそも高齢者の外出支援は、高齢者の交通権確保はもとより、生きがいづくり、健康増進(医療費削減につながる)、さらに外出することでの経済効果も大きいといわれています。実際、堺市ではこの制度で8.8倍の経済効果があったとのことでした。また、利用が増えるので交通事業者への支援にもつながります。交通政策を考えるときは、交通事業者を守ることも大事です。

 久保市議は「これからさいたま市も本格的な高齢社会になる。高齢者の交通権をどう守るか本気で考えていくときだ。議会でもとりあげていきたい」と話しました。

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