政策と活動

介護保険料・国保税・後期高齢者医療保険料…値上げつぎつぎ

2月議会の保健福祉委員会には、3年に一度の介護保険制度の見直しにともなう条例改定、そして、毎年おこなわれている国民健康保険税(国保税)の引き上げ議案がかけられ、久保みき市議が審査にのぞみました。

 

介護保険制度の改定として、介護認定審査会委員の定数が変更され、委員の定数が増えることになりました。これまで党市議団は介護認定申請から決定までの日数がかかりすぎることを指摘し、改善を求めてきました。直近では昨年12月議会で久保市議が定員増を求めており、歓迎できます。

 

しかし介護保険料については、介護保険料段階設定が12段階から15段階に増えることになったにもかかわらず第1段階をのぞくすべての段階で引き上げになることが明らかになりました(右表)。2000年にはじまった介護保険制度は、制度開始時は一律1割の利用負担でしたが、2015年に2割負担、2018年には3割負担が導入されました。さらに利用料そのものの引き上げや介護サービス削減で、物価高騰に苦しむ高齢者やご家族はさらに負担を強いられ、必要な介護を受けられなくなる人が続発しかねません。「介護保険のための保険」という民間保険会社の保険商品がうまれる事態にもなっていて、「介護保険は保険詐欺」という言葉が横行しています。

 

久保市議は「今、自治体に求められているのは、介護保険を守るためにも基金や一般会計からの繰り入れをおこない、保険料のこれ以上の引上げをしないこと。岡山市では、物価高騰など踏まえ、基金の取り崩しで値上げしない案が出された。さいたま市の基金は2024年度末で50億円を超える見込み。さいたま市も岡山市のように基金を取り崩し、値上げしない努力をすべき」と主張し、議案に反対しました。

 

国保税も増税

 

国民健康保険制度は、2018年度の県単位化により、埼玉県が財政運営の責任主体になりました。さいたま市の国保税は、毎年県から示される納付金によって決められ、さらに一般会計の繰入れをなくすための計画があるため、いっそうの増税となります。

 

市は「被保険者の負担増に配慮し、2026年度までゆるやかに引き上げる」としていますが、被保険者の負担は限界を超えています。久保市議は「加入者にだけ負担を押しつけるやり方は認められない」として議案に反対しました。しかしいずれの議案も、立憲、自民、公明などの他会派が賛成し、可決されました。

 

後期高齢者医療保険料も値上げ

 

後期高齢者医療広域連合では、保険料の均等割1760円、所得割0.65%、賦課限度額7万円(激変緩和措置対象外は14万円)の引き上げが可決されました。保険料は年額9万3979円から10万2081円に、さらに後期高齢者は負担してこなかった出産育児一時金も、平均624円負担します。

 

広域連合議員をつとめるとばめぐみ市議は、「物価高騰と窓口2割負担などですでに受診控えが起こっている」と指摘し、「高齢者の命を守るには安心して受診できることが必要。負担増は高齢者をさらに追い詰め、医療から遠ざける」と述べました。党市議団はこれまで、保険料値上げに一貫して反対しています。

西部環境センター 停止が3年延びる

さいたま市のごみ焼却施設は西部環境センター、東部環境センター、クリーンセンター大崎、桜環境センターの4カ所あります。さいたま市は老朽化した西部環境センターと東部環境センターの2施設を統廃合し、東部環境センターの場所に新たにサーマルエネルギーセンターを整備し、2025年の供用開始にむけて進めてきました。

 

西部、東部ともに1日に300トンのごみ処理能力がありますが、サーマルエネルギーセンターは1日420トンの処理能力です。4カ所の焼却施設を3カ所にしていくためには、ごみの減量が必要です。ところが思うように減量が進まず、2025年に稼働停止予定だった西部環境センターを3年間、稼働を続ける(ごみ減量が進めば、1年を経過した時点で稼働停止予定)ことを決めました。

 

西部環境センターがなくなっても、市民のごみ出し(決まった曜日に収集所に出す)は変わりません。ごみ焼却の余熱を利用した施設「西楽園」も今までどおり利用できます。ただ、直接西部環境センターにごみを持ち込むことができなくなります。ご注意ください。

スクールダッシュボード 試験的導入がはじまる

閉会中審査で請願の討論をおこなうたけこし市議

さいたま市教育委員会(以下、市教委)は2月から、市立小中学校にてスクールダッシュボード(以下、SD)の試験的導入を行い、4月から本格運用を予定しています。市教委は導入目的を「教職員の負担軽減と、児童生徒の調子や授業の理解度を補助的に把握するために活用する」としていますが、課題は山積しています。

 

SDは、児童生徒に毎日「おはようメーター」と「授業アンケート」の記入を求めます。「おはようメーター」は朝の会に①心の天気(よい・ややよい・ふつう・ややわるい・わるいの5段階)②からだの調子③朝ごはんを食べたかどうか④就寝時間の4項目を記入させます。「授業アンケート」は毎授業後におこない、子どもたちに授業の理解度を記入させます。その他、テストの点数や通知表、タブレットでの学習記録などを一元管理し、教員がそれらのデータをもとに指導に生かしていく、としています。

 

党市議団は12月18日、市教委に対して、十分な準備期間がないことや、個人情報の提供に関する不同意が表明できないことなどを指摘し、SDの導入中止を求める申し入れをおこないました。その後、1月29日には党市議団としてレクチャーを受け、画面を見ながら運用や教員・児童生徒の動作を確認しました。レクに参加した金子あきよ市議は「毎日、朝の会や授業ごとに児童生徒がタブレットに入力するのは負担が大きいと思うが、児童生徒と保護者への説明があまりにも不足している」と話しました。

 

導入延期を求める請願に賛成

 

文教委員会には市民の方からSDの導入延期を求める請願が出され、1月30日に閉会中審査がおこなわれました。  たけこし連市議は「①児童生徒の心の調子など機微な情報の取り扱いへの危惧②デジタルデータを通してのみの生徒との人間関係構築への懸念③保護者への説明が不足しており、誰がなんのためにデータを取るのか共通認識がないまま実施することへの懸念④国のデジタル庁が今後、児童の個人情報をさまざまなデータと紐づけることを検討している(市教委は現段階でのデータの拡大利用については否定)ことへの懸念などがある。試験導入から2カ月余で本格導入というのはあまりに性急」と主張し、請願に賛成しました。しかし、立憲、自民、公明などの会派の反対で、不採択となりました。

市民のねがい 2024年度予算要望に市長が回答

党市議団が昨年10月に提出した「2024年度市政運営及び予算編成に関する要望書(736項目)」に対するさいたま市の回答書が、1月29日、清水勇人市長から手渡されました。

 

はじめに市長から、2024年度予算編成の柱とおもな項目について報告があり、予算総額は約1兆1816億円(前年度比528億円増)で、過去最高の予算額となることが明らかにされました。

 

要望項目に対する市長の回答では、

●不登校児童生徒への支援について、市内6カ所の教育相談室・教育支援センターにおいて、1人ひとりの状況に応じて専門職等による相談を充実させていくこと

●医療的ケア児を受け入れる認可保育所に対して、市単独事業による人件費に係る助成をおこない、「さいたま市医療的ケア児保育支援センター」において未就学の医療的ケア児や家族に対して相談等の支援を実施していくこと

 

●地球温暖化対策の推進に向け、新たに設置した「さいたま市脱炭素推進委員会」を中心に具体的な施策について検討し、温室効果ガス排出量削減を進めていくこと

 

などが示されました。

 

しかし、党市議団がかねてから要望してきた、大型公共事業の計画などを見直し、中止して、税金の使い方を市民が求める公共サービスや事業の財源中心に切り替えることについては、明確な回答はなく、あくまでも計画どおりに進める姿勢です。

 

要望した736項目に対する回答全体の精査はこれからとなりますが、2月6日からは2月議会がはじまり、2024年度当初予算が審議されます。元日に起こった能登半島地震を受け、災害への対応が注目を集めているなか、市長からも激甚災害への対策強化が予算の柱の一つとして言及されました。

 

市の回答を受け、松村としお市議(団長)は、「物価高のもとで市民の生活は厳しい状況が続いており、命や暮らし、営業を支えていくとりくみを進めるために、党市議団として2月議会でも提案をしていきたい」と表明しました。

岩槻区 2路線で国際興業バスが撤退

国際興業バス「蓮 11」「蓮 12」(岩槻駅西口⇔蓮田駅⇔蓮田よつば病院)が2024年3月31日で廃止となります。運転手不足・収支悪化を理由としたバス事業者撤退は今後も予想されます。これによってあらたな交通空白地域が生まれることから、市は沿線地域の自治会による「地域組織」と連携して乗合タクシーを導入、4月1日に実証運行を開始する準備を進めています。既存路線廃止に対し、「市民の足を守れ」との要望が届いたものです。

 

この事業に関して、まちづくり委員会に蓮田市内で市乗合タクシーを運行する計画を見直すことを求める請願が提出され、金子あきよ市議が審査に臨みました。審議の結果、現行の路線で運行することで乗合タクシー導入の検討を迅速に進められたことに加え、市は蓮田市との間で費用負担についても協議しており、乗合タクシーが蓮田市域を運行することによる不利益はないと考えられ、請願は不採択となりました。

 

金子市議は「乗合タクシーとなることで、乗車人数が少なくなる、土日運行がなくなるなどのサービスの後退が生じる。乗合タクシー制度そのものの改善が必要であり、議会でもとりくんでいく」と話しました。

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